十四字詩 カレー屋

カレーがうまいスナック跡地

換気扇から香るスパイス

安物スプーンいい音した

室外機の熱うるさい昼

自転車のみ新しい夏

シヴァがいて手書きのメニュー

三日連続同じ店ゆく

夢中で食べる椅子を揺らし

毛穴から毛穴からスパイス

汗とめどないカレーの余韻

カレーもとめさみしさまぎらす

以下、長文です。
読むのはお任せします。

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〜あるカレー屋〜

良い店を見つけた。
天六の北西の外れの路地裏にある。
スナックか何かの居抜き物件だが、ほぼ改装はせず、その古めかしいまま使っているようだ。
店主はインドでも調理経験のある男性で、一人で切り盛りしている。店のBGMはインドの歌謡曲のような音楽が流れていて、独特の雰囲気を作っている。
何回か行ったうちの1日、女性が一名お手伝いをしていたが、アルバイトか何かか、店主も対応に気を使っている感じがした。

メニューはノート一枚に手書きで書かれてある。
・キーマカレー 850円
・フィッシュカレー 850円
・チキンカレー 850円
・ヤサイカレー(2種盛りのみ)
・2種盛り 1,000円
とある。
ライス大盛り 150円

初日、2種盛りを頼み。
キーマカレーとヤサイカレーにした。
キーマはひき肉をスパイスで煮詰めたような仕上がりで、食べるとスパイシーな旨味が洪水のようにやってくる。ヤサイカレーは、ヤサイをスパイスで炒めたドライカレー的なものだった。とてもうまかった。

翌日も未食のフィッシュとチキンが気になり、2日連続で行ってしまった。
チキンは多分この店で一番辛い。
一口目から辛さが来て、汗が止まらない。鳥のもも肉が二本具材として入っていて、スプーンで難なく身がほぐれる。フィッシュカレーは鯖のカレーで、いつも鯖なのかはわからないが、鯖好きにはたまらないくらいうまい。具材として鯖の切り身が三つほど入っている。店は自分ともう一人女性客がいただけで、店主は2名分作り終えると、店員に話をし外に出て行った。自分は食べ終えると、その女性にお礼を言い支払いを済ませ店を出た。
店を出た時、外の自販機の横で喫煙していた店主より、「昨日も来てましたね?」と声をかけられた。「美味しかったので来ました。」と素直に答える。店内で寡黙な印象を受けた店主の嬉しそうな顔が印象に残った。

しかし、そう考えると、これら個性的なカレーをいろんなパターンで食べることが可能だと知った自分は、是が非でも自分好みのパターンで2種盛りを食べたいと思い、そう思うと、いてもたってもいられず、また翌日もこのカレー屋に来てしまっていたのだ。
土曜日の朝11:30オープンの店に11:20ごろに着くと待ちは3名ほどいた。程なくオープンし、店に入る。注文は一人づつ店主が聞いていき、自分は2種盛りでキーマカレーとフィッシュカレーにした。まず先の3名のものが作られて配膳される。先頭に座っていた男性はこれでもかと写真を撮っていた。2番目に座っていた女性も何枚か写真を撮り食べていた。3番目の年配の女性は何も写真は撮らずにそのまま食べられた。
3人目が食べ始めても、先頭の男性のシャッター音が響いていた。
そうこうしているうちに自分のものが来る。
店の中はと言えば、最初の流れで入店したのは自分までだが、オープンしてから、2名入ってきて、残り一席となっていた。その一席も店主が2巡目を作っている間に埋まった。
自分に配膳される時には1名待ちが発生していたが、それは程なく解消された。
自分は、配膳されたカレーの写真を2枚撮った。そしてスプーンを持ち、まずはそれぞれのカレーをそれぞれ味わった。
やはりキーマカレーは別格のうまさ。
おそらくこれほどスパイスが効いたのは食べたことがないんじゃないだろうか(そんなにスパイスカレー自体食べ歩いていないが)。
フィッシュカレーは魚の出汁が抜群に出ている、これが昨日うまいと思わせた要因だとわかった。キーマ、フィッシュなど交互に食べ、キーマの上からフィッシュカレーをかけて食べたりと、あらゆる食べ方を試みた。ご飯は通った3日とも大盛りにしている。ジャスミンライスらしいが癖は感じなかった、カレーと見事にあっている。付け合わせに大根のピクルスが付いているが、3日目には、少しヨーグルト的な酸味を感じた。漬物も3日後には進化していたのだ。
隣の男性はカレーの入った器にご飯を移して食べていた。なるほどこういう食べ方もありだなと思った。自分は器からカレーをスプーンで移し食べていたのだ。そして、どの食べ方が自分にベストなのかはこれから試していけば良いなと思った。今回は前回ほどは汗をかいておらず、やはり昨日はチキンカレーが原因であれほど汗をかいたのだと分かった。
キーマカレーのスパイシーな旨味とフィッシュカレーの魚の旨味の相性はとてもよく、自分を満足させてくれるのに十二分だった。
店主に料金を渡し、「美味しかった」と感謝を伝え店を後にした。本当に満足したご飯を食べると、帰りの道が楽しくなる。外は暑く、夏であることをいやが上でも身を以て体験するが、その汗ですら心地よい。また来よう。

スパイスカレーの店に最近よく行くのだが、どの店も女性率が高い。しかし、この店に関しては明らかに男くさい。これから女性がたくさん来てくれるのだろうか。自分に関係ないのに心配をしている。と思ったら最新の関西のタウン誌に同店が掲載されていて、そこには"女性一人でも行きやすい」と書かれていた(笑)

#十四字詩

長文最後まで読んでいただきありがとうございました。

"カレーもとめさみしさまぎらす"

背馬拝

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