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ストレスと作業療法

はじめに

今回はストレスに焦点を当てます。ストレスは、一般的にも理解されている健康問題の1つで、過剰になるとうつや不安を二次的に引き起こし、自殺にもつながることで知られています。ストレスというと心の問題と考えがちですが、実は生活や身体の問題も関わっています。

1.ストレスとは

元は物理学の用語で、「物体にストレスを与える」というように「刺激」や「加えられる力」を表していました。ストレスについてはボールを用いて説明され、ボールを押す指の力をストレッサー、ボールの硬さをストレス耐性、その変形具合をストレス反応と言います。

一般にストレスとは、ストレッサーのことであったり、ストレス反応のことを言う場合もあり、混在しています。現在は心理学で広く扱われていますが、元が物理学用語であったことを知ると、身体にも必然的に生じることは想像できると思います。これは細胞レベルでも起こります。ストレス反応には身体反応、精神反応があります。ここに行動(飲酒や喫煙、回避行動)を含める場合もありますが、行動は身体・精神反応に対する認知・判断の結果生じるものなので、一次的には身体反応、精神反応と捉えた方が理解しやすいと思います。うつや不安は精神反応に該当します。

注意すべきことは、ストレッサーの大きさがそのままストレス反応には繋がらないということです。そこには個人要因、サポート要因の2つが影響します。個人要因には性格、ストレス対処行動などが含まれ、サポート要因には家族、友人などの存在が含まれます。時に阻害要因になることもあります。ストレスモデルの代表はNIOSH職業性ストレスモデルです。ストレッサーを仕事によるものとそれ以外で分けていますが、real worldでは単純に分けられないため、生活で経験するストレッサーとして考えるとよいでしょう。

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