【今日の】#12 人よ、種を繋ぎとめよう。

軽いローラーが点字ブロックの上を過ぎる。
この季節に、よく慣れ親しんだ音だ。

マスクの下で酸素不足に頭が痛くなる。
この数日、考えないといけない事ばかりだった。

「パートナーを持たずに生きる」

自分の中では新しい時代の生き方として
素敵な選択だと思うんだ。
高校の恩師、社会人の兄貴、
彼らは自身の人生を謳歌していて
定年後の「孤独」のような、
独身の負の部分を感じさせなかった。

結婚や子を持つことが
孤独を埋めてくれる、と思っていた。
だから手段として誤っている以上
その報酬は満たされないと。

母に同じをした時、
「私はたくさん愛をもらった。
　おじいちゃんはそれでも
　親に愛を返さなくていい。
　その分同じ以上の愛を自分の子に注いでくれ、
　そういった。
　
　私は自分の両親を誇りに思うから、
　その血を引き継ぎたいと思うんだ」

子を持つことに固執して、
自身の夢を諦めたり、
保守的にならざるを得ない人を見てきた。
自分にとって血を繋ぐ新しい価値観だった。