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こんなところで絶対死ねない

2017年、初夏の訪れとともにバレンシアに引っ越した。冬から春にかけて、4ヶ月ほどスペイン北部の街で孤独に引きこもっていた私は「なぜ友達ができないのだろう」とずっと考えていた。自らのスペイン語力やコミュニケーション能力が原因だとは1mmも考えず、この街は呪われているんだ...となぜか周りに全てを押しつける怖い思考回路で無理やりハッとし、怯えながら荷物をまとめた。 バレンシアでは友達をつくりたいな...。 「ここが私のアナザースカイになっちゃうカモ...」と胸を躍らせつつF

    • 太った亀

      小学2年生のとき、生きもの係に憧れていた。だけどわたしは実家でペットを飼っていないことに負い目を感じていたので、生きもの係に立候補することができなかった。それで昼間はノート配り係の仮面を被り、誰もいなくなった放課後1人で水槽をつっついてニヤニヤしていた。 うちのクラスには2つの水槽があって、それぞれメダカと亀を飼っていた。 わたしは特に亀の水槽がお気に入りで、生きもの係だけが与える権限を持つ「変なニオイのふりかけ」みたいなエサを放課後こっそり与えていた。水槽のフタの上がふり

      • 軽い気持ちで救急車を呼んではいけない

        ちょうど1年前のある夜。自室でスヤスヤ寝ていると、突如として心臓を掴まれたような激痛に襲われた。カッと目を見開き、直感する。 「心筋梗塞だ」 心臓の病気は1つしか知らないので間違いない。 ズキン 間髪入れず、鈍い痛みに襲われる。死ぬのかな、ママ・・・(泣) スマホをたぐり寄せ、ググる。 『心臓 イタイ 』[検索] もしかして… 心筋梗塞 ママ(泣)(泣)(泣)(泣) 運命は突然だ。こんなところで死ぬとわかっていたら部屋を片

        • 私が尖っていた頃の話

          「部活引退してから勉強はじめるんじゃ、遅いと思うんだよね」 高2の冬、担任の言葉をそのまま引用して塾に入りたい旨を伝えたとき、両親は神妙な面持ちで「ほんとうに頑張るんだね…?」と問うてきた 小学校6年間のあいだに5回も進研ゼミを入退会しているわたしは、すかさずあのキラーフレーズを口にする 「ぜったい、ぜったい頑張るから!」 ーーーーーーーー ところが、ぜったい頑張りたかったはずのわたしは、入塾してすぐにめちゃくちゃ尖りはじめた。 理由はシンプルで 友達をつくれなか

        こんなところで絶対死ねない

          おじいちゃんと中国人しかいない大学院で学ぶ多様性

          わたしの大学院には、おじいちゃんと中国人しかいない。厳密に言うと、わたしはおじいちゃんでも中国人でもないので、おじいちゃんと中国人とネタツイッタラーしかいない。 カフェテリアで知り合った中国人に専攻を聞くとセブンイレブンでレジを学んでいると言っていた ゼミの先輩は、文化の違いで 教授にもふつうに「ああ?」と聞き返す。面白いので誰も指摘せず2年が過ぎたらしい。教授は今日も「ああ?」と聞き返されていた。 これは、そんなカオスな大学院でのお話。 ーーーーーーーーー 春学期

          おじいちゃんと中国人しかいない大学院で学ぶ多様性