エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P246〜P254 第36回

※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
また、エリクソン研究会では現在別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html

P=ページ数 L=行数
読んだページ数P246〜P254

P246L4
何故雅歌の話をしたのか?
考えを引っ繰り返す為の話だ。「あなたと結婚したい男性~」雅歌と彼女の望みはマッチする。雅歌は結婚子供は素晴らしいという内容だ。信仰深い人には雅歌を使うのは有効だ。この時代はキリスト教の影響も強い。リフレ―ミングを起こすため。

最初彼女は大きなお尻という事実に、男性にとって魅力的では無いと言う意味づけをしていた。エリクソンはこの意味づけを分離させた(スプリッティング/分離法)そして、そのお尻は子供を欲しがる男性にとっては、最高のゆりかごでとても魅力的だという意味づけした(結合法/リンキング)。事実に対する意味を付け替える。纏めてリフレ―ミングと言う。

美しい/美しくないの枠から。子供を産むのに適しているという枠を持ち込む。子供を欲しがる彼女の価値観にもマッチしている。子供嫌いならこれは意味が無い。子供を持つのを無理だと思っていたから、他人の子供の面倒を見ていた。それまでの動きを受けての働きかけをしている。

分離法・結合法は、それぞれ単体でも使われるか?
使われる。

例えば勉強が嫌いな子が居たとする。その子にこんな質問をする。
「勉強の中で特に嫌いな科目は?」
「数学だ」
「その中でまだマシなのは?」
「国語です」

このようにおおざっぱな枠で段階的にわける。勉強が嫌いという枠から、苦手とまだマシという枠にわけることで、「全て嫌い」から「まだマシでやれそうな枠」という例外を見つけ変化させている。

じゃあ、マシな国語の勉強をするか?それとも苦手な数学の勉強をするかどっちにする?と聞くことも出来る。

このような例外探しは分離法だ。

他にも「いつも上手く行かない」「彼女がほしい」「彼女ができない」これらの言葉に例外はあるか?と聞いてみることも分離法になる。これまでに彼女が出来たときはありますか?と聞けば、彼女がいる私/彼女が居ない私にわけることが出来る。出来ている部分を見せてあげる。全部ダメというときは大抵解像度が低い。解像度を高くして出来ている部分をひろってあげる。できる部分が発見できると、もっとやるようになる。

結合法
催眠イス
イスに座ることが、催眠にはいることと結びつけられる。イスがすでにトランスにはいるための暗示の働きをする。催眠誘導をしなくてもトランスにはいることもある。ケロクソン先生(めんたね事務所にある催眠誘導に使う置物)も同様だ。

エリクソンの症例で、弁護士試験を受けているが試験当日に緊張してしまい受からないと言う患者がいた。エリクソンは試験当日に緊張したとき「手に持っているペンからポタリとインクが落ちたら書ける」という暗示をかけた。緊張をキーワードに暗示を発動させた。

統合失調症の患者がいた。私の周りを裸の男性が走り回っていて恥ずかしいと訴える。エリクソンは話を聞くと封筒を取り出して、裸の男性を中に入れた。時々患者が裸の男性を入れた封筒を見にやってくる。封筒を見て、中にちゃんと入っているといって安心して帰って行く。ここでは裸の男と封筒を結びつけた。

おみくじも同じ構造を持つ。おみくじで凶がでたら、木に結びつけるが、こうすることで、凶が私から離れて、木と結びつく。断捨離も同じ。物を捨てることにいっさいの悪運を乗せて結びつける。

東豊の虫退治も同様。
不登校の子供を持つ家族に、何故お子さんが学校に行けないかわかりますか?と聞く。こういう質問をすると大抵家族間で責任の押しつけあいになる。このようなコミュニケーションを持つ家族システムのあり方が、子供の不登校という状況を作り出している。そこで、このパターンを変え、ひっくり返すために「虫が湧いたんです」と言い「退治に協力して貰って良いですか?」と聞く。重要なのは家族の協力だ。外に虫という敵を作り出すことで、家族が一つにまとまり、コミュニケーションパターンが変わるのだ。

このような荒唐無稽なストーリーにクライアントを乗せられるかが、カウンセラーの腕の見せ所。本人が乗りたいと思えるリフレーミングを仕立ててあげられるかがポイントになってくる。

「私は悪くない」と思いたい人たちに虫は便利に働く。

しゃっくりの時間差をつけてエリクソンの治療だと思わせないのは何故か?
本人への気遣い。魅力的ではないと思っていると行動を制限する。好意を持って来る男性を拒絶する。エリクソンのトークの仕方はイエスセットを構築している。あなたの悩みは雅歌を読まなかったこと。確かに読んでいない。おそらくマニアックなもの。

この一年あなたを見てきた、子供の面倒、母への質問、子供が好きで、大きなお尻で、男性に相手にされないと思っている。全てイエスセット。男性に相手にされ無いという考えを変化させることには乗りたいと思っている。

P249〜11本の指の話
混乱技法だ。このような物言いには反論したいけど反論できない。なにがおかしいのか言えない微妙な感じになる。そうした感覚を作り出したい。

エリクソンが言っていた言葉
「バンビは耳をパタパタさせてとんでいったの?」
ん?ダンボだろ?という話だが、一瞬言われるとそうかな?と思ってしまう。どう対応しよう?と思う。その一点に意識が集中する。

言葉がでない状況を何度も作ると相手をトランスに入れやすくなる。エリクソンはその辺りを考えている。混乱で困っているところにトランスにはいると、楽になる方に抜けやすい。

何度も混乱させるとトランスに入りやすいモードができてくる。

父も母もエリクソンのことをからかっている。本当のことを言っていない。エリクソンをからかっている。エリクソンはおかしいと思うが子供なので反論ができない。確かにシカゴは南にあるが、だからといって母親は常に南に向いているわけではないし鼻と結婚がどう関係するのか?

子供に対しては「このように上手くからかって関わってやれ」とエリクソンは言う。このように言われると子供は興味を持って一生懸命考える。子供が言葉をもって言ってきたら子供の成長になる。

クライアントに対しての関わり方。エリクソンのセラピスト観は厳しい。常に強くあり、混乱をさせる。クライアントより有能で強くあらねばならない。

リーブレフトレフト
左手を後ろに回すと残るのは右手。右手ライトハンドだけど残ってレフトしてる

このようなやりとりをすると相手と自分のやりとりが子供のようになる。エリクソンが親で相手が子供のポジションになる。こうすると年齢退行が起きやすい。受け入れやすくなり、治療効果が上がる。

カードを裏から見たらOILがHELL。クライアントの話も色んな方向からみて気がつくことがある。そういう物事の見方をしなさいと言うこと。その事実にはどんな意味?なにが隠れている?

P252クリスティーヌ抵抗を示す。違った書き方でも7をひっくり返せば、OILはHELLと読める。論理が破綻している。

エリクソン「英語読めるでしょ?」この抵抗をスルー

P252クライアントの立場で聞き直す。
クライアントの気持ち、自分の言葉はどう聞こえていたのか?と想像をする。神田橋先生の言う離魂融合。

混乱技法。今までのパターンが通じないやりとり。説明する言葉を持っていない。必死で何とか解釈して、無意識に潜って、新しい方法を模索する。無理矢理にでもひねり出すことで、新しいパターンが生み出される。

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