エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P337 第44回

※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
また、エリクソン研究会では現在別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html

P=ページ数 L=行数
読んだページ数 P377

P337後ろから7行目
「さて、人間の性的成長や発達を〜」
赤ちゃんの話は何のためにしているのか?赤ちゃんは極めて無知だ。
大人はおねしょと不快という感覚が結びついている。おねしょをしたので、下着が濡れて気持ち悪いというふうに。赤ちゃんにはまだそれがない。おねしょをすることと、だから下着が濡れて不快だという感覚がバラバラだ。おねしょと不快だという感覚を結びつけるには学習する時間がかかる。

他にも手を動かしたり、立ち上がったり、いろんなことやいろんな形があることなど、大人が当然としているものを複雑な形で結びつけている。最終的におむつでおしっこをしておもらしをするのは不快なので、尿意を感じたらトイレに行って不快でない状態にするというのがゴールになる。赤ちゃんは何も知らない状態から段階的に学習していくのに、いきなりトイレでおしっこをさせようというのは早すぎる。トイレでおしっこに至るまでは、その他の学習、結びつきが必要だ。

エリクソンは赤ん坊のなかで何が起きているのかを深く観察している。患者も同じで患者の中で何が起きているのか?を深く観察せよ。「見る」というのはこういうことだぞという話。

ゼイクは「性生活の成長と発達の概要」(P335L11)をエリクソンに要請したが、エリクソンにとってはその要請は一般的すぎて雑なものだった。だから、一般的に性とは〜という話をするのではなく、この人の性的発達はどうなっているか?ということを一つ一つみる話をする。

P338真ん中「しばらくして〜」
赤ん坊に限らず、相手の反応には細かく意味があるので注意を向けよ。というアナロジーで話している。

もう一つは、アーリーラーニングセット。子供時代の学習がいい効果を産んだというポジティブな体験を想起させ、今ここの学習も学びやすくする。参加者のあなたたちも子供の時代があった。おしっこをして、ぬれる、気持ち悪いという学習をした。

意識が学習を邪魔するということ。
抵抗をしているとき、聞かない、耳を塞ぐ、怒る等の反応。これは〜ということですね。と既知の枠組みでの理解で返答する。この物言いが繰り返される。小さく自分の知っていることに押し込める。その人が好きな枠組みで語る。理解がその人の枠から出てることがないので、学習がない。

反応が早すぎる
「はいはい、そうですねわかりました!」
本当にわかっているのか疑問。

意識が学習を邪魔するのでトランスという麻酔で働きかける。これが間接的アプローチ。

基本的なメッセージの構造として
①私は ②あなたに ③〜と言っています
という構造がある。

①②③
のうち、どれかをずらせば間接的アプローチになる。そして③をずらすのがアナロジーになる。他には、例え話、隣のジョン、散りばめ技法、登場人物の入れ替え。

②は話しかける相手を変える
Bさんに働きかけたいことをAさんに話す。Bさんは隣で聞いているが、自分ではないと油断するのでストンと入りやすい。

①は
「〜さんが〜と言っていたよ」
直接本人に指摘するよりも入る。外しても反発されない。噂話の悪口が入りやすいのもこのアプローチだからだ。

エリクソンの話は事実と意味を結びつける話だ。
A+Bの話。これは結合法(リンキング)という。催眠暗示の基本だ。

「この椅子に座ると、催眠暗示の準備をします」

小学生に勉強を教えると×をつけたがらない、○をつけたがる傾向がある。
×をとる事実を無能と結びつけている。そこで、テストを受ける目的はわからないところを見つけることだ。満点のテストは受けても意味がない、×を発見することは自分の伸びしろを発見するということ。というふうに働きかけて、×を成績の伸びしろという意味に結合しなおす。

意味を消すのは大変なので条件を付け加えるのが良い。×を嫌がるという意味自体はいい。否定はしない。○にできるようにするモチベーションのために×が活かせればよい。

エリクソンは病気で体と脳のつながりがバラバラになっている。赤ん坊もそうなのではないか?バラバラなのではないかという仮説をたてた。だからこういう話をしている。

自分の体の位置の感覚が合致して初めて体が使える。子供は好奇心が強いので部屋を見回す。

こうした子供時代を喚起させる話は、アーリーラーニングセットでもある。参加者に対して起き上がって部屋中を見回せ、世界に興味をもてという暗示をだしている。エリクソンの話に興味をもち、微細な変化に興味を持つという話もするエリクソンの出す微細な無意識へのメッセージを受け取りやすくする。直接はないわない。無意識で見る。学ぶ。

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