エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P282L3~P287 第39回

※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
また、エリクソン研究会では現在別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html

P=ページ数 L=行数
読んだページ数P282L3~P287

アーリーラーニングセットで子供時代を想起させる目的は?
意識をAとかOとかを区別するそのイメージに向けることが目的。意識がトランスに入ることを妨害する人に対して、AとOの話をすることは、意識では私の話はどうでもよく、私の話はあなたの無意識がきく。私のいうことを聞く必要がない、好きに考えればいい。当然そういう話を聞いた人は、連想して考えてしまう。考えることに意識が集中する。

集中しているので、そのほかの話や暗示は無意識に入る。イメージ誘導は意識の集中を集めるためのダミーだ。

催眠に入ることと混乱をセットにして本人の中でバグを起こす必要がある。解けない問いを投げるのがコツ。

その人の意識でやり慣れてないことをやらせる。禅問答的。

あることを思いつけば、そのことから頭が離れず取り去れない。その人に自分をトランスに入れさせる。

P283L6「鏡のなかのあなたの像を見なさい」
通常トランスに入ろう入ろうと思うと、思うことは意識の仕事なので主体的能動的な要素が活性化される。これはトランスに入るための妨げになってしまう。トランスには入れられるという客体、受容体を強くしたい。意識が休んでいる状態だからだ。

鏡の前で自己催眠をすると、鏡の前に映った自分を見ることになる。鏡に映った自分は客体受動態だ。

トランスに入るという意思が強くなるほど、トランスに入ろうというその時の自分を見ることになり、主体が強くなるほど鏡に映った客体も強くなっていく。客体が強くなれば入ろうという意識がぼやけてくる。こうしていると無意識にトランスに入ろうというメッセージが届く。

意識は入れようとする自分がいて、無意識には入ろうとする自分がいる。意識が強ければ効きやすい。主体としては入れようとしてない入ろうとしている。鏡に映った映像は無意識に入る。入ることに一切の主体的努力をしない。能動と受動をうまく分割できる。入れようとする自分を鏡で見ることで。意識には入らないが、無意識に入り込む。中村天風も鏡の前で自分を見ろという自己啓発を言っているが、無意識への働きかけとして理にかなっているかも。

私はキリストという妄想を言い続ける人がいて、同じことをいう人を何人か一堂に会せば一人か二人は治ったりする。鏡の催眠も似たような効果がある。

鏡がないとトランスに入っていく自分が見えない。鏡があるとトランスに入ってく自分が見える。これが大きい。真剣にやればやるほど混乱が起きる。


P283~284
ヘイリー
苦行療法と名付ける。絶対やってもらう必要がある。本当に暗示に反応したいか?本当にやりたいのか?問題解決のためなら、どんなことでもやる覚悟はきまっているか?

やり方
AができないときはBを必ずやる
と約束させる
Aは不随意なこと(おねしょ、ねる)
Bは苦行だが、有益なこと
無益で有害なことはダメ。
Bをやることになっても有益でないとダメ。

不眠の問題は2度目を作りたい。15分後。

1回目は眠ることができるという現実をつくる。パラドキシカルアプローチ抵抗奨励。苦行療法自体がパラドクスだ。

不随意な症状
「Aをしなければならない」(眠らなければならない)と意識で思う
思えば思うほど「Aできない」(眠れない)
さらに「Aをしなければならない」(眠らなければならない)と意識で思う悪循環だ。

これを止めたい

そこにB(有益なこと)をやるという枠を持ってくる。Aができなくても有益なことをやれるという枠を作る。これならAができなくても有益だし、苦行であるから逃げたいと思ったらAをやるしかなくなる。A,Bどっちに転んでもOKという構造を作り出す。

「Aしたい」と「Aしなければならない」は違う。したいは無意識的、しなければならないは意識的だ。Bしなければならないが強くなると、Aしたいが強くなる。

おできをかく子供に対して、おできをかいたら、文字の書き取りを命じる。親もそれに付き合う必要があるので、親も大変な目に合う。もともと、おできをかくという症状をつかって家族を困らせていたのを、書き取りを行うことで家族が困る状態を作る。症状を有害なものから有益なものに変える。家族を困らせるという症状は利用できる。

「床みがき」P284後ろから4行目「わかりました」
これからあなたにとって嫌なことですよという枠 イエス
それには8時間の睡眠を使う イエス
なくせると思いますか? イエス
ここではイエスセットをとる。それから苦行の提示をする。強迫的な人はイエスセットの効果も強迫的だ。「はい」と言えば、その言葉にしばられる。一人一人に合わせて指示の内容が微妙に違う。芸が細かい。

なぜ立って読むから始めるのか?
負担が高く、眠れない。というか寝かせないため。座って読むも同じ。
読むために、立ったり座ったりする。寝るためではない。

ベッドで15分
眠らせるのが目的「眠らなきゃいけないのに眠れない」をひっくりかえす。
「寝てはいけないのに、寝てしまう」そのうえで苦行療法を課す。

AしたいのにAできない
Aしなければならないのに(意識的努力)Aできない(無意識的結果)
ひっくりかえして
Aしてはいけないのに(意識的努力)Aしてしまう(無意識的結果)

こういう状況を作り出す

いったんさせてから、15分ルール。起こしたい行動に条件付き禁止令を出す。15分以内に寝なければそのあとは寝てはいけない。条件はAしなければ、禁止令はAしてはいけない。混乱する指示。

試験の際に緊張してしまう弁護士志望の男性に対する働きかけ。緊張する人に対しては、暗示のスイッチを緊張にする。緊張しないと暗示に入らないようにするこれなら緊張しても暗示が働いて試験がうけられるし、緊張しなくても普通に試験がうけられる。

トランス
健忘を起こしたいとき、「これは覚えておいて」というと他を忘れてしまう。覚えておいては意識的努力。他を忘れるのは無意識的結果。条件の変な付け方をエリクソンは使う。

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