エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P187L13~P201L14 第28回

※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
またエリクソン研究会では現在は別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html

P=ページ数 L=行数
読んだページ数P187L13~P201L14

相手にAせよと言ったときに、どういう反応をするのかを見ることで、その相手がどういう思考パターンで動いているかを把握することが出来る。

エリクソンのリックへの命令は今回リックは従う可能性があった。しかし反発の可能性はもちろんある。逃げ出した場合は、リックは目上の人の命令に反することになる。そうしたら「アメリカ人らしくなった」とエリクソンなら言いそうだ。結局従っても反発してもどっちに転がってもエリクソンの思惑通り。

反発されるようなことでも、相手の持っているルールに従って動けば、相手は動くとエリクソンはワークショップの参加者伝えたい。目の前のその人のルールを把握して、そのルールに従って働きかけよ。交渉ごとも同じ。相手の動く原理にしたがって働きかける。


P193のリックのメモ
線が引いてある部分は文字がひっくり返っている
例えば、「another」ならば「anothre」という風に。

P196L4~5
Q1.「リックは第一階層、両親は第二階層」と説明した理由は何か?
・ひっくり返す話
・レバノンで第一に偉いのは親という話
その前のミニとのやりとりは男が第一で女が第二という構造をひっくり返した体験だ。本を反対から読みなさいと言うのも逆のことをやらせている。
ミニのところで働かせ、本を逆から読ませた。この理由は何か?

リックのどもりの原因
→リックが三番目に生まれてきたということにあるとエリクソンは見ている。
レバノン文化の中で三番目ということ。なおかつ、リックの父親の存在もある。レバノン文化とは言えリックの父親もアメリカ人なので奥さんとは離婚できない。男の跡継ぎがほしいのに、女が先に二人生まれたことも甘んじて受け入れた。そしてようやく三番目でリックが生まれた。そのリックにたいして父が思うことは、三番目ではなく、最初の子供として男のリックに生まれて欲しかった。レバノン本国では男が生まれないと言うことで離婚できたのに、という今まで我慢して溜めていた怒りがリックの父親にあった。その怒りが弱いものに、リックに向かった。父親としてはおまえ(リック)が生まれてくるのが遅いから、屈辱を受けたのだと。このケースの場合その可能性はありそうだ。

要するにリックが一番目に生まれていたのならばもっと上手くいったのに。という感覚を強く受けて生まれてきた可能性があり、それがどもりにつながってるとエリクソンは見ている。

どもりは心因的なことが多い。特に親子関係。

数字アルファベットを書かせるというのも、並ぶ順番がおかしくなるだろうとエリクソンは見立てていた。出生の順番がリックのどもりの原因だろうから。家庭的背景も事前によく聞いていたはずだ。これは、生まれた順番に問題があるという仮説、見立ての裏をとったのだろう。


P197L9~「良い著者というは、物語に構想を持っていて~」
先を読め、推測をすることをせよということか?
ほんの最初の1Pをみて、最後を予想するのはエリクソンの好きなトレーニング。カウンセリングでも同じことをする。最初のセッションが終わった後、患者や治療に関する推測を書いて封筒に入れる。治療が終わった後開いて実際にやったことと比べて吟味検討をする。良いトレーニングになる。

初対面の人に兄弟はいるのか?居るとしたら何番目か?男女なのか?両親との関係は?その予測の根拠は?と見立てをたてる。後で親しくなって情報がわかり、裏がとれる。


エリクソンはシンボルというものを信じている。エリクソンがある女性を催眠誘導したのだが、その女性の催眠の入りが悪かった。ふと、エリクソンはこの女性は最近離婚しているのだが、この場で催眠トランスに入ったら、離婚を取り扱われるという恐れを抱いているのではないかと思った。そこでエリクソンは紙を丸めて筒状にし、その筒状にした紙を女性の薬指に抜いたり入れたりして、最後は捨てた。紙で作った筒は、結婚指輪の代用品だ。結婚指輪のシンボルをつくり、それを捨てることで結婚離婚には興味が無いという事をシンボリックに示した。

この話はホンマかいな?と思ってしまうが。ともかく、人はシンボリックに何かを伝えることをよくやる。そう思えないとシンボルに伝えると言うことがしっくりこない。

エリクソンはリックがどもりを抱えて困っている状況を、シンボリックに現して理解している。シンボルと無意識との関係はありそうだと思う。

尾谷のクライアント
この本は面白いですよと繰り返し言って、部屋に置くクライアントが居た。
その本を読んでみる。内容は道場人物の女の人が男に捨てられ現実を受け入れられなくて、娘が居るのだが「お父さんはステキな人だが、旅に出ていて居ない」と嘘をついている。母親は振られて捨てられているが信じない。娘はイカれた母親の下で暮らす。といった内容だった。
ある日、「実は・・・」とクライアントが、今まで話していたことは全て演技で嘘だったということを告白された。クライアントは自分の演技に気がついて欲しくて本を置いていったのか?クライアント本人は関係が無いと言っている。言い本だと思って置いていったという。本当のところは、演技に終止符を打って欲しいというメッセージだった。

他にも忘れ物をするクライアントと言うのも居る。忘れ物を取りに来ると一対一になり、対談が始まる。皆の前では話せなくて困っているからそうした状況を無意識が作るのだ。特に初日で忘れ物をする人は、何か相談があるのかな?と見ている。早い時間に来るクライアントも同じ。

色んな形でシンボルに乗せることがある。相手のやっていることには意味があって、無意識の意図がある。意味があるかも知れないが解らないことが多い。その解らないことを抱え込むことが大事。解らないと思っていられるにはエネルギーを使う。

目は悪くないのに目が見えないという女性が居た。何故か?原因は不明だ。彼女はネットアイドルをやっていて彼氏と同棲をしているのだが関係が悪い
キャバクラで働くようになり、客の愚痴が増えた。上手く行ってないことが多く、見たくないものが沢山あった。心因的なものから身体的な反応に出ることがある。

似たような話でアンコモンセラピーのレッドの話がある。
エリクソンの所に男の人が相談に来た。目が見えないと。焼け付くような真っ赤な色が見えるだけで何も見えないとのこと。再任誘導をして原因を探った。解ったことは奥さんがいて、その奥さんが浮気性で、沢山浮気する人だった。今回もガソリンスタンドの赤い髪の男と浮気していた。奥さんと、赤い髪の男とのやりとりを見て不安になった。自分の奥さんが浮気しているのを直視できない。
目が見えなくなるというのは理にかなっている。目が見えなくなった結果、奥さんはクライアントの男に注目して世話をするようになった。真っ赤な色というのも赤い髪がシンボリックに現れて居る。

拒食症、過食症も似ている。
どちらも愛情の欠如が起点。心理的に満たされないので、お腹を満たすか、満たされたいけど、願いは叶わないとおもっているので切り捨てるか。

症状の中にシンボリックに問題が隠れている。

リックの話に戻るが、エリクソンは家族の問題だと推測した。どうやったら治るのか?リックの中で何が起きたら治るのか?

レバノン文化の問題は以下の通り
・家父長制
・男尊女卑
・年功序列
・絶対的支配と服従
これだけであれば、どのレバノンの家庭にもあることだ。

では、リック固有のものは?
・リックは三番目に生まれた。
・父親か三番目に生まれたことに対してリックに怒っている。
・男が一番目に生まれるべきと言う父親が居る。
・アメリカに居て、生まれも育ちもアメリカだ。

以上に挙げたモノをバラしていけば、リックの症状は消えるんじゃないか?とエリクソンは考えた。

リックはアメリカ文化とレバノン文化の狭間にいたからおかしくなった。そこでエリクソンはアメリカ文化にリックを合わせてしまえと考えた。

レバノン文化に戻すのも一つの手ではあるが、しかしリックはアメリカに住んでいるので現実的ではない。

親は第二階層だけども、彼等がレバノン文化に従うのは尊重してあげる。でも、あなた(リック)はアメリカ文化の住人なのだから。ここでも相手の文化を利用した。あなたは第一階層だと。向こうは第二だと。つまり順序がある。正しい守るべき順序があるということは、レバノン文化の中に存在する。このようなことを言うエリクソンにリックが反発したら、年長者の男性であるエリクソンに反発することになり、年功序列のレバノン文化を破ることになる。
エリクソンに従ったら、レバノン文化の階層に従ってレバノン文化を破壊したことになる。エリクソンはリックのこれまでもったパターンを破壊したいのだ。「本を後ろから読め」というのも、後ろからも読めるし、前からも読むことが出来る、多角的に読むことが出来るという話か?これもまた本をシンボルとしての働きかけ。

お百度参りというのがあるが、あれは真面目に信じると効果がある。わざわざ神社に出掛けて、手を合わせるということをする。願い(望み)を強く望んで、お参りをする。神社に行くこと自体が、望みのシンボルになる。
ミサンガも同様。ミサンガ自体が望みのシンボル。手首に付けたミサンガを見る度に望みが想起されて、望みに向かって動きやすい。何かをシンボルにして、無意識にリマインダーをかける。
めんたね事務所に置いてあるケロクソン先生(カエルの置物)も、大きいカエルと小さいカエルが隣り合っている。これは良いシンボルだ。人によってはこの置物に親子関係を見たり、師弟関係を見たりする。子供のカエルはカエルの子供なのに、オタマジャクシではなかったり、カエルなのだけど、人間みたいな体をしていたり、違和感がある。こうした違和感や大小の関係が、シンボリックに頭の中に残りやすくなっている。カエルを見る度に、トランスを想起するシンボルになる。

本を逆に読むというのも、これまで正しいとされた順番では無く、新しい順番があることをリックに学ばせたかったのか。本を逆に読むという行為を通して体でやらせようとする狙いか。順序についての束縛を解放した。

every otherが重要というエリクソンの言葉の意図→解らない

クリスティーヌに向くのは何故か?
クリスティーヌに対してごちゃごちゃ言うなと言うメッセージ。自分(エリクソン)の指示に従え!そうすれば万事上手く行くから。とにかくクリスティーヌは余計なことを言ってくるので邪魔。冒頭の頭痛の話もクリスティーヌ。

リックの姉も上手く行くのは何故か?
レバノン人の女性はレバノン文化の中では不利な位置づけにいるのでレバノン文化から出やすい。しかし、男性はレバノン文化の中だと特権があるので、男性のリックが一番レバノン文化から出すのが難しい。エリクソンもリックの姉二人の方がレバノン文化から出すのが楽だと見立てていたはず。

P201L13
「すでに両親は大人だったのです」
エリクソンの価値観では、子供や若者は変わるが、大人は変わらないというものがある。つまり、マサチューセッツに来たときには既に大人だった親は変わらないので、レバノン文化からアメリカ文化の変化は出来ないと思った。リックはアメリカで生まれ育ったので、変化が出来ると思った。

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