エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P153L15~P164L4 第24回

※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
またエリクソン研究会では現在は別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html

P=ページ数 L=行数
読んだページ数P153L15~P164L4

アンコモンセラピーにもあったゴールデン・ドラムスティックの話
サリーの誘導に引き続いてこの話をしている
この話をする目的
サリーに伝えたいことがあるのか?何のために?目的は?
この話は自分の意志を言葉にする話だ
あやふやで受け身なサリーへの働きかけか

話の中身について、この話でのウィルへの働きかけはどういうものか?
話の中でNoセットが続く
「ここでなら気絶して良いですよ」

元々ウィルは親に言われたとおりに行動していた
基本は指示に従う人間だ
イヤなのに苦手な離婚をした女と食事させられたり

気絶でNoにひっくり返る。気絶するまでNoセットでない。

人間は指示命令に反発したくなる体のクセがある
相手が拒否しにくくなることを言う

狙いとしては
①カウンセラー(エリクソン)の提案と反対の方向にクライアントが行くことで
 カウンセラーの望んだ結末になる

②Noと相手が言うことを想定の範囲内とする

最初は嫌な感じをウィルはするが
次第にエリクソン相手にNoと言っても大丈夫と思うようになる。
ラポールが取れてYesと言いやすくなる。

今回の拒絶は①
ウィルがNoと言った結果エリクソンの望んだ形になる。
「ここで気絶はどう?」「あっちはどう?」
と指示の仕方もキモになって来る。
よりNoと言いやすくするために。
うるさいことを言われるとウィルは反発しやすいので。

細かく聞くことは大事
エリクソンは女性と気絶のことを細かく聞いている。
例えば尾谷が以前にワークショップを開いた際に悩みが無いのが悩みという人が居た。
詳しく聞いてみると悩みがあると人格的に成長ができるという世界観をもつ人だった。
では、人格が成長できれば悩みが無くてもいい?と聞いてみると「良い」と返ってきた。
更に「今は人格が未熟だと思うの?」「最近そのことでなにかあった?」と聞いてみると
「イラッと来ると態度に出てしまう」とそして「態度を表に出すのは良くない」と思っている。
「人格的に成長したら表に出さないと期待している?」と聞いてみるとその通りだと
それまでは、人格的に成長というざっくり、ぼんやりとしたもの言いだったが
最近の出来事は?と細かく聞いてみると、聞かれた側が自分の中で考えて具体的なエピソードが出てくる。

ウィルの話も同じで最初はざっくりと怖いという話だった
しかし詳しく聞いてみると
バン・ビューレン通りを渡れない
ノース・セントラル・アベニューを車で渡れない
ゴールデンドラムスティック怖い
女の人が怖い
と具体的に出てくる

エリクソンはP155の前半でのウィルとのやりとりで女の人について
より怖い女性/さほど怖くない女性をウィルに言わせている。
分離法をやっている

女の人について詳しく聞いてみると
若い独身の綺麗な娘、きれいな離婚した人、若い未亡人をディナーに連れて行きたくないと言う
性的魅力を持つ女性に対して恐れを抱いている
こうした具体例も聞かれないとぼんやりしていて何が怖いのか解らないままだ。
こうした質問をすること自体、ウィルにターゲットを見せていることになる。

一回やれることは次も出来る
問題は如何にやらせるか。

気絶だけがNoセット
他の指示とは意味が違う
それぞれの暗示がどういう意味を持っているか。

ウィルはどこかに行けない、渡れない、場所を避ける恐怖症だった
エリクソン曰く大人になることの拒否である
社会に出ること、交わる事への恐怖
ハンディキャップを持っていれば引きこもっていられる。
ゴールデンドラムスティックなどは実はどうでもいい
問題は人と関わること、繋がる事への恐怖だ

これには両親の影響がある。何故か?

ウィルは決断が出来なくなると親が肩代わりしてしまう
正しく動けたかどうかを評価基準にしてしまう
友達と会う時も何日はどう?と決めることが怖い
指示をしてくるタイプの人間としか関われない

若い男の子で人付き合いが苦手な人はこういうタイプは多い
タテ関係は楽だけれど、横並びの関係が苦手
タテ関係は決める/決められる関係が固定しているから楽だが
ヨコ関係は決める/決められる関係が常に入れ替わり判断で疲れてしまう
根本には上手く行かないこと、間違える事への恐怖がある。

ウィルは親が世界の代表になっている
親がこういうタイプだと
自分に対して望まない押しつけをしてくる
結果として人を恐れるようになる
そして何らかの形で恐怖症の症状がでて、社会と繋がらないようになる。
親は慣れているが、外は未知で怖い

キイチは親と似ていてウィルと噛み合うのだ

・気絶の話
気絶することは「ここから先はダメ」と唯一ウィルからNoが出せる方法
身体化は最後の手段だ。

しかしエリクソンが気絶を望むと気絶することがエリクソンの望みに添ってしまって
Noを出すことにならない
気絶でやりたくないことを避けるのが出来なくなる
エリクソンは何度でも気絶をさせる
こうすることで、気絶が無効化されてしまう
ウィルは気絶が使えないと段々と学習するようになる
嫌がることをやらせるのはウィルに大したことじゃ無いと解らせるため
最初はキイチで3ヶ月
ウィルは他の子でも行けるのでは?と思うようになる

・パターン化
人は問題解決のためにやりなれたパターンを用いて解決をしたがる
集会室のドアを開ける行為すらも、
初めてドアを左右に開こうとするか後ろに引こうとするか無意識でやる

エリクソンも患者に対してはパターンを持つ
患者に対してそれぞれ治療のパターンを作れとというパターン
エリクソンの中にも無自覚なパターンがある
人を見るパターン、アプローチのパターンをエリクソンは持っている。
患者に対して試行錯誤をしてみる。これもパターン
いくつかの可能性を想定して総当たりでやるパターン

どうやったらエリクソンみたいになれるか?
魚を取ってあげるのはダメで釣り方を教えてあげるのがよい
治療パターンを個別に教えるのではなく
治療パターンを作るパターンを個別に教えてあげること
治療パターンを作ることができない治療家が多い
一本道でこれだというと喜ぶ。考えないで済んで楽だから

患者はどこで詰まっていて、何をしたらいいのか?
試行錯誤で探るしかない
抵抗奨励が上手くいくケースと、上手くいかないケースがある

パラドキシカルなアプローチも
エリクソンは条件、場面を考えて使っている。

パターン、マニュアル、どのような状況、狙い、意図
エリクソンの言っていることは正しいが万人に求めるのはきついかも

・守破離の話
型に関する話
型とはパターンと言い換えてもいい
まず型を「守」る
型を守ることで、型の持つエッセンス、意味が解り身に着けることができる
エッセンスや意味をつかめない人もいるが
つかめないひとは上手くいってないことに気が付いていない
型を守っていいると、型でうまくいかない場面が出てくる
上手くいかないこととうまくいくことの違いは何か?と自然と考える
そこで型を「破」る
型を守ることで身に着けたエッセンスに基づいた次の実験をする
重要なのは型の背後にある意味に気が付いていること。
型がベースになって型を破る
そうした破る試行錯誤をしていくうちに
型を守らなくても型のエッセンスをいろんな場面で使えるようになり
最終的に型を「離」れることができる。

エリクソンは「守」の前に「見」て発見することをやっている

型を「守」ることをうまくやるコツ
期間を決めて、型をひたすら「守」り
そのあと期間を定めて型をひたすら「守」らないことをする
こうすることで、守った時と守らない時の違いが見えるのでデータが取れる

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