エリクソン研究会記録『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』P296~P306 第40回

※本記事はめんたねにて2013年3月〜2017年6月まで行われたエリクソン研究会のメモ書きを文字起こししたものです。テキストは『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を使用しました。メモ書きなのでテキストを読んだ前提でないと、わからない書き方になっていることにご注意ください。
また、エリクソン研究会では現在別のテキストの『2月の男』を読んでいます。
http://mentane.net/workshop/pg167.html

P=ページ数 L=行数
読んだページ数P296~P306

プロの患者(レキイ)
死ぬまで決めない人。問題を解決する枠に乗るか否か?相談はしてくるが、枠をずらしてくる。こういう患者と対峙した時直感的にいやな予感がする。①厄介な要望が変なところで、何個も出てくる。
②「Aです」といった後に「Aではない」という
P298真ん中あたり「やる気があります」「やる気ない」
心理療法でやれるところはどこ?その基準は?謎めいている。手紙を送れと言っているのに電話をしてきたり、自分をこのように治療してくれと治療の指示もしてくる。自分を特別扱いをして、勝手にやり方を変えてくる。枠に乗れと言っても、枠に乗っからない。エリクソンは患者を見切るときは見切る。自分の中の軸で判断している。「気がする」という物言いにもいやな感じがする。後でひっくりかえせる物言いだ。断言をしない。すべての物言いに留保がつく。

「この問題を解決したいですか?」と質問しても、「意識ではそう思っていますが、無意識ではそう思っていないかもしれません...」といった感じの物言いになる。

P299ラスト
復帰の事例をもって一貫性を証明できること。
P300「大事にとっておいた問題」
「患者になりたいか?」と聞いて「はい」と答えているのでプロの患者ではない。この問いかけでエリクソンは彼の問題を処理できるかもと思えた。「あなたは私の患者になるつもりはありますか?」という質問には前提として「エリクソンの患者になることは、エリクソンのやり方に従う」ということを意味する。こういわれたときに、レキィは「はいよろこんで」とは言わないのだ。これまでの人生で言い切らないように、責任を取らないように無意識的努力をしてきたからだ。この質問をされると、いままで触れてこないようにし来た本丸に入るので心がざわつく。もしからしたら、自分は治ってしまうのではないか?ということに気が付く。

ここは、エリクソンは勝負をかけている。これで「いうことを聞くのでお願いします」と言わせたら、治すことができる。たぶんこの患者は変なことをいうかも、でもひょっとしたら?という感じか。

P300ラスト
「形式的儀礼」
この表現が形式的で率直でない。「いやな気分になりました」というほうがよほど率直だ。通常治療者と患者は治療者が働きかけ、患者が受け入れる関係性だ。レキィは治療者の働きかけに、戦いを挑んでいる。通常は圧をかければ戦いのベクトルは消えるがレキイは消えなかった。
「わかっています」←わかっていない問題
たとえば直方体があり、直方体の辺の長さについて話をしていたとする。すると唐突に「なるほど、正面から見ると正方形ですよね」と文脈とは違う話をしてくる人が出る「うん、そうですね、でも僕がここで言いたいのは...」「この正方形は素晴らしい」といって文脈を破壊し話のターンを奪う。

こういう会話が出てくるときは、当人の中で何か聞いてはいけないゾーンに触れている。その話をさせまいと無意識的であれ、意識的にであれ、話をそらす。意識では学習させにくいゾーンであるので、このときに催眠トランスを使う。自分で気が付いたと思わせるため。抵抗なく学習させるため。

P301L3「私にはもう、欺くつもりはなかった」
では、これまでは、欺くつもりがあったのか?ということだ。もちろんあっただろう。変なところで、変なうそをつく人どこかで、うそをついて相手をだましたい。本当の自分を知られたくないから。自分が嫌いで、でも見つけてほしい。そして相手をだます。上手に隠れた私を見つけられる?かくれんぼ、うそつき発見ゲームをやっている。ゲームをやめてしまうと、隙間ができて、不安や怒りやネガティブな感情が出てきてしまう。人生の問題に向かい合う必要がある。本当に解決したほうが良いことがある。しかし、ゲームに注目し暇をつぶし、目をそらす。

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