使途記載不要の「政活費」自民幹部に14億1630万円〜すべてがNになる〜

2023年12月31日【社会】

 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる疑惑で、政党が政治家個人に渡し、その先の使途が一切不明になっている「政策活動費」のあり方がテレビで取り上げられるなど、焦点になっています。
 これは、自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)に所属する鈴木淳司前総務相(衆院愛知7区)や、池田佳隆衆院議員(比例東海)が、「派閥から交付された政策活動費として認識していたため、政治資金収支報告書に記載しなければならないという発想にいたらなかった」などと説明しているためです。
 安倍派では、ノルマを超えたパーティー券収入のキックバック(還流)について、派閥側が各議員に「政策活動費なので(報告書に)記載する必要はない」と指示していたといます。
 「政策活動費」とは―。政治資金規正法に規定がある費目ではありません。規正法は、企業や団体から政治家個人への寄付を禁じていますが、「政党がする寄付」は例外のため、「政策活動費」などの名目で政党が党幹部らに渡し、それを受け取った政治家個人は政治団体ではないので、使途を公にする義務がないというのが現状です。
 たとえば、自民党は2022年の政治資金収支報告書によると、「政策活動費」が茂木敏充幹事長(9億7150万円)、関口昌一参院議員会長(5350万円)、高木毅前国対委員長(3470万円)など幹部15人に計14億1630万円が渡されていますが、その先はブラックボックスになっているのです。
 23日のTBS系「報道特集」は、「使途の記載不要 “政策活動費”とは?」と特集しました。茂木氏のほか、「安倍派5人衆」の高木氏、萩生田光一前政調会長、世耕弘成前参院幹事長らも「政策活動費」を受け取っていることを説明。岩井奉信・日本大学名誉教授は「何に使われたか、わからないところが問題。たとえば選挙に使われているとか、国会対策といって自分たちの政治家の仲間に渡しているだとか、いろんな使い道があると言われている」と不明朗さを指摘しました。
 自民党が22年に受け取った政党助成金は159億8231万円で同党の収入の64・3%を占めます。「政策活動費」の3分の2は国民の税金ということになります。裏金疑惑の全容解明とともに、「政策活動費」の実態にもメスを入れる必要があります。
 (藤沢忠明)


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