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徹底追及 統一協会自民党との関係 鈴木エイトさんに聞く(上)〜すべてがNになる〜

2022年9月27日【社会】

安倍元首相と思惑一致

 統一協会(世界平和統一家庭連合)と自民党との関係がなぜここまで深まったのか、長年、取材してきたジャーナリストで作家の鈴木エイトさんに聞きました。(統一協会取材班)

 統一協会と安倍晋三元首相の最初の接点は、2005年ごろの反LGBTの運動です。関係が深化したのは第2次安倍晋三政権からです。ただし公然と付き合ってきたわけではなく、やはり隠したかった。ただ17年から協会や関連団体のイベントが生配信で一般の人も見られるようになり、安倍氏側の気も緩んでいたと思います。

鈴木エイト氏=8月4日、参院議員会館

改憲の“手足”

 なぜ関係が深まったのか。第1次政権が安倍氏にとって不本意な格好で終わり、12年の自民党総裁選では異例の逆転勝ちで安倍氏が総裁に返り咲いた。長期政権と改憲のためには、うまく手足として動いてくれる統一協会が必要だと安倍氏は考えたのでしょう。協会側は霊感商法が警察から摘発を受け、解体しかねない事態に直面したので、政権からの保護がほしかった。両者の思惑が一致したといえます。

 安倍氏は統一協会との関係をなるべく隠したかったのではないでしょうか。21年に協会関連団体である天宙平和連合(UPF)のイベントにメッセージを送った時も、映像は当日しか見ることができないようにしていました。それが一部メディアで報じられたとしても、自分の政治生命と自民党になんの影響やダメージはないだろうと判断してのことでしょう。確かに、それを報じたのは「しんぶん赤旗」やいくつかの雑誌だけでした。大手メディアは黙殺しました。

 統一協会は議員をイベントなどに呼んで箔(はく)をつける。議員も「それぐらいたいしたことない」と協会との関係を続けてきました。問題視されるようになって、うろたえているのが今の状況です。

 萩生田光一自民党政調会長や山際大志郎経済再生担当相らはもともと、統一協会丸抱えの政治家だと指摘されてきました。

信者ポイ捨て

 協会との関係を否定する萩生田氏については、現役信者が「彼は市議会議員時代から協会(施設)に通っています」と証言しました。脱会者でなく現役信者が証言したということは、協会のコントロール下で発言しているということです。萩生田氏が協会に首根っこを押さえられているのではないかとすら感じられました。

 萩生田氏と統一協会の関係を最初に告発した脱会者は、関係を否定した発言に、当初は「悲しい」と私に言っていました。その次は憤りで、最後は「ダッセーな」と。協会の思惑は別として、お世話になっていながら、「知りませんでした」というのは確かにダサい。人として、世話になった人を“ポイ捨て”してはだめでしょう。

 信者たちはカルト被害者です。それを政治家が利用している。私の取材の原動力は、そういう怒りです。勧誘するなら「霊感商法をやっている統一協会」とまず名乗るべきだし、政治家も統一協会を利用するなら公にすべきです。私は、隠しているところを暴いて、有権者の判断材料にしてもらいたい。投票行動に必要な情報を提供しているだけです。

 いま、日本のメディアが一斉に統一協会問題を報道しています。ジグソーパズルのピースが次々と埋まっていますが、政界ルートなどで埋めていくべきピースはまだまだあります。私は持っている情報を出し惜しみせず提供して疑惑解明に協力していきたい。

 (つづく)


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