IP觀念の倒錯

土古戰場500位臺で自身の限界を悟る中、「新鮮ウナギ帝國」と云ふウナギのお祭り團の募集が流れて來た。グラブルの水屬性と云へば云ふまでもなくタコではなくウナギであることは明白なので、その團への移動を考へてゐたところ吿知ごと消えると云ふ事態が發生した。なにやら旣存の有名團と名前が似てゐたことによる配慮らしいのだが、この配慮とは一體何なのか。

「新鮮ウナギ帝國(以下ウナ帝)」から聯想される元ネタは通常「神聖ローマ帝國」であらう。從つてこの團名と似てゐる旣存の團も「神聖ローマ帝國」由來のパロディであると見做し、ゆゑに「神聖ローマ帝國」がまづあつて、次いでこれに似てゐる旣存有名團の名稱が聯想されると云ふ順番になるのが妥當である。とするならば旣存の有名團側に對してウナ帝側が名稱が似てゐることを理由に一言かける等配慮があつて然るべきと云ふ發想はどこからやつてくるのかと云ふ問題が出て來る。

無論有名團側の有名工合はエアプで有名な自分ですら聞いたことがあるくらゐにはグラブル內でも屈指の强豪團であり、その團を育てた思ひ入れから名稱に對するこだはりが生ずること自體は普通である。その思ひの表明に配慮して「ウナ帝」側が名稱使用を取下げ、グラブル上位層內での軋轢を解消すると云ふ選擇をすることもまた現實的な對應ではあるのだらう。しかしこの國のネット世論が保護を主張するコンテンツの順序はどう考へてもをかしい。元ネタはフリー素材と見做されるのに、それを利用したパロディがフリー素材にならないのは何故なのか。

本件でも「ウナ帝」の宣傳に使はれた商業マンガのセリフ改變のコマにIPの觀點から問題を外野が指摘する聲は例によつて聞かれない。このやうな指摘はそのコンテンツの權利者のみがするべきであると云ふ點から云へばこの狀態は正しい。この手のコンテンツの場合權利者は企業になるだらうから、そのイメージを考慮して殊更問題にせず默認してゐると云ふのが現狀であらう。ところがこれらを利用したパロディの作者の振舞ひは全くこれとは異なる。これが無斷に使用された場合には大抵無斷轉載が主張され、それを見た周邊もパロディ作者の發議に合はせてIPの問題を指摘すると云ふ場面がよく見られる。この振舞ひ自體はそのパロディ製作者の感情的には容易に推論されまた原則としても問題はないが、入力と出力の際に使はれる論理と振舞ひの乖離がどうにも引掛る。

これはそのやうなことを考へてゐたら水古戰場を走るモチベーションが下がつたと云ふだけのお話である。


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