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【読書感想文】マイノリティデザイン読んでみた!

どうも、おっさーです!
今回は、澤田智洋(ともひろ)さんの著書、「マイノリティデザイン」を読んだ感想についてお話したいと思います。

「弱さを生かせる社会をつくろう」

ぼくは、この言葉がとても気になり本を手にしました。
著者はこの本を書いた理由について、

誰かが持つもつマイノリティ性=「苦手」や「できないこと」や「障害」は、克服しなければならないものではなく、生かせるもの。
だれかの弱さは、だれかの強さを引き出す力になる。

ということが伝えたかったからだと述べています。

わが家では、重症心身障害のある7歳の娘を育てています。
生後すぐ、娘の障害がわかったときには、パニックになり、絶望的な精神状態に陥りました。
でもその後、時間の経過とともに少しずつ前向きに捉えられるようになっていき、今では微力ながら、障害者とその家族の生活をもっと豊かにしていくための活動として、こうやってYouTube や note での情報発信、ハンドメイド作品の出品などをおこなっています。
そんなわが家にとって、この本はとてもヒントになるんじゃないかと思いました。

あらすじ

大手広告会社で名だたる企業のCMを手がけるコピーライターだった著者は、目の見えない障害のある子どもを授かってから、その活躍の舞台を福祉業界というマイノリティの世界に移し、社会課題を解決する仕掛け人となりました。

その活動は多岐に渡ります。

・福祉器具である義足をファッションアイテムに捉え直した「切断ヴィーナスショー」
・視覚障害者の「足」と寝たきりの人の「目」を交換する「ボディシェアリングロボットNIN_NIN」
・過疎化地域への移住を劇的に促進させたPRプロジェクト「高知家」
・ユナイテッドアローズと立ち上げた、ひとりの悩みから新しい服をつくるレーベル「041」
・運動音痴でも日本代表選手に勝てる「ゆるスポーツ」

この本では、これらの活動の全貌や、著者がライフコンセプトとする「マイノリティ起点で世界をよくする」ことについて語られています。

弱みを「克服」ではなく「生かす」

今、僕は持っているものすべてを使って仕事をしています。コピーを書けるという強み、運動音痴という弱み、広告会社で働いているという強み、子どもに障害があるという弱み。 すべてをかけ合わせて、「 ゆるスポーツ」をつくっています。弱さを切り捨てて強さだけで勝負していたら、広告コピーしかつくれませんでした。

引用:10ページ目

ぼくは常々、弱みと強みは表裏一体だと考えています。
例えば、積極的に自分が中心となって人を巻き込んでいく人は、裏を返せば自分の意見を押し通して他者への配慮が欠けるということもあるし、他者との協調性がある人は、裏を返せば自分の主張に乏しい消極的な人ということもあるわけです。
つまり、最大の弱みの裏を返せば、最大の強みにすることができる。
ぼくにとっての最大の弱みは、やはり娘が重症心身障害児であるということ。
でも、不可逆的な障害で、どう考えても克服しようがないとき、著者と同じく生かすという発想に行き付きました。
それが、「障害者とその家族の生活をもっと豊かにのための情報発信」と「障害者とその家族の生活をもっと豊かにのためのハンドメイド作品の出品」です。
(詳細はプロフィール欄のURLから)
娘との生活を通して、ライフワークとして粛々とこれをやっていく。
個人でおこなっているごく小さな活動です。
それでも、少しでもわが家と同じような境遇の人たちの役に立ててもらうことができれば。
娘が重い障害を抱えているという弱みを強みに変えて、娘がこの世に産まれてきてくれた、その価値を最大化してあげられると思っています。

弱さから、楽しい逆襲を始めよう

引用:13ページ目

ユナイテッドアローズと協業 「041(オールフォーワン)プロジェクト」

041(オールフォーワン)プロジェクトとは、著者が障害のある友人と話をしている中で、障害のある人たちが日常的に着る服にさまざまな問題を抱えているということがわかり、ユナイテッドアローズとの協業で立ち上げたプロジェクトです。
ぼくがアパレル業界に勤めているということもあって、このプロジェクトにはとても興味があります。
今、アパレル業界は大きな構造的問題を抱えています。
アパレル産業は石油産業について世界で2番目に環境を破壊している産業だとか、
日本で販売される服の半分は一度も袖を通されないまま処分されているとも言われています。
こんなに世の中に服は余っていて、実際に捨てる程あるのに、障害のある人やその家族は服で困っている。
それは、わが家も同じです。
このプロジェクトは、実態の見えないターゲットやペルソナのためではなく、服に切実な問題を抱える6名を起点に服づくりが行われました。
そこで開発されたフレアにもタイトにもなるZIPスカートは、ファスナーを開いた状態だとフレアスカートなのですが、閉じるとタイトスカートになり、車いすの車輪への巻き込みを防ぐことができる。
スタイにもなるエプロンドレスは、一見するとドレスに見えるスタイという逆転の発想で開発されています。
著者は、ユナイテッドアローズのクリエイティブディレクターとこのような話をしています。

自分たちのつくった洋服が、お客様の手に届くことなく廃棄されることもある。次から次 へと新たな流行が生まれ、あっという間に忘れ去られていく。そんなことですこしずつモチベーションが削られ、自分のクリエイティビティがすり減っていく。
けれども障害当事者たちの課題が突きつけられたとき、社員さんたちの目の色が変わりました。 障害当事者のみなさんは、「わたしたちは購入対象ともされていない」というあきらめの中、それでも「 気に入った洋服を着たい」「それを着て、おでかけがしてみたい」その渇きを、クリエイターたちにぶつけたわけです。
クリエイターたちもまた、表現としても商品としてもつくり尽くされているファッション 業界で、障害当時者たちの課題が光り輝いて見えたのかもしれません。「たったひとり」のために、持てる才能を注ぐことができるこのプロジェクトが、みんなの心に火を灯したんです。

引用:120ページ目

ゆるスポーツ 誰もが楽しめる遊び場

著者の代表的な活動に「ゆるスポーツ」というものがあるのですが、著者がこのアイデアを持つに至った理由が本の中で二つ語られています。
一つ目は、目の見えない自分の子どもと公園に行ったとき、子どもが遊べるものが唯一よくわからない太鼓のようなものをたたくということだけで、「ぼくはどうやって、この先息子と遊んだらいいんだろう?」という疑問を抱えていたため。
二つ目は、著者自身が勝利至上主義、最強な人だけが生き残れる(結果として約60%の人は日常的にほどんどスポーツをしていない)今のスポーツ環境を変えて、スポーツの得意不得意に関わらず誰もが笑って楽しめるものをつくれないかと考えたことです。
そんなゆるスポーツの代表例として、「イモムシラグビー」というものがあります。
プレーヤー全員がイモムシウェアを着ることで、這うか転がるしか動く手段がない状態でおこなうラグビーです。
トライゾーンでボールを地面につけると「イモムシトライ」で2点。
「イモムシスロー」をして、ボールがゲートをくぐり抜けたら3点。
ラフプレーをしたら、その場でひっくり返って1プレイ分ひと休みする「イモムシフリーズ」がペナルティとして課されます。
片足切断の人や半身麻痺の人も、健常者と同じ条件で試合をすることができます。
ちなみに、ゆるスポーツでは、「女性が得点を決めたら点数を倍にしよう」といったハンディを設けて特別扱いすることはありません。
それではマジョリティの側からの目線に過ぎないからです。
そうではなくて、あらゆる人が同じ条件でプレイできるようにルールをつくるのです。

まとめ

例えばぼくは極度の近視なのですが、この世の中にメガネというものがあるので、とくに不便を感じることなく日常生活が送れており、メガネの存在によって、この近視という障害は取り除かれているわけです。
ゆるスポーツもまたしかりで、運動音痴や障害によるスポーツ弱者がスポーツを楽しめないという障害を取り除いて、すべての人に遊びを提供している存在なんじゃないかと思います。
わが家もぜひ参加してみたいです。
こうやって、一つひとつの障害が取り除かれていって、究極的にはこの世から障害がまったくなくなる、バリアーがまったくなくなる社会が実現できたらすばらしいですよね。

弱さを強さに
制約を翼に

ぼくも極微力ながら、重症心身障害の娘との生活を通じて、世の中から障害を取り除いていくための、バリアーを取り除いていくための活動を続けていきたいと思いました。

たとえ1mmずつでも。
日々粛々と。

https://a.r10.to/hNpnaY

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