いつの間にか、そっと背中を支えられてました。

今日・10月31日に発売となる、稲田万里さん著『全部を賭けない恋がはじまれば』を読んでの書評--というにはいささか大げさですが。
今日発売なのですが既に一部書店には並んでいるのを見かけたので、買った方、お読みになった方、もおられるかも知れません。

最初に一読した時には、なんだろうこれ、性がたくさん出てくる私小説なのか? と思いました。いいよねぇ若い人は奔放で、いろんなことできるよねぇ。ある意味うらやましい。

ただ、再読するうちに徐々に味わいが深くなり。
いやいや、これは実体験だけではなくて--全部がフィクションなのか、一部だけがフィクションなのかも知れないけれども--こういうスタイルの小説なのだ、と思いを改めました。初読と再読と三度目以降とで、こうも味わい方が変わるとは思っておらず、作者の筆の引き出しの多さに感服しました。

個人的に一番好きなのは、第二章に出てくるこのフレーズ。

未来なんか誰にも分からない。繰り返していくこのループを、まだ楽しめますように。

「全部を賭けない恋がはじまれば」第二章「恋心」より

混沌としたこの現代社会で、迷ってたり彷徨ってたりするのは私だけじゃないんだ、そうだよね、誰にも分からないんだよね…と思ったのが、この一節。
ちょっぴり(?)エッチなだけの小説ではなくって、あなたも私も思い悩んでいていいんですよ、一緒に生きていきましょうね--そんな風に、そっと背中を支えられた一冊でした。
読後感としては、よかったよ、の一言です。

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