第一話から鷲づかみ。いい意味で。

〜書評「スローシャッター」〜

会社員が出張先で見たこと、感じたことを集めて出版される。ホントにそれ、面白いの? …というのは先入観に過ぎず、第一話からぐいぐい引き込まれた。

ここに書かれていることは経験なんだろうか、それとも創作なのか。
今のことなのか、数年前か、あるいは20世紀の話なのか。
そう想像しながら読みすすめるうちに引き込まれる。情景が目に浮かぶ。
私とは会ったことももちろんない、きっと一生会う機会もないアブーやマウリシオが目の前で動き始める。
夜が更けるのも気にせず、何度か読み返した。

もともと、私が旅好きだというのもあるだろう。だから引き込まれたのかも…とも思ったが、著者・田所さんの文章は、決して主張が強すぎない。
こんなとこ知ってますか、すごいでしょ、こんな秘境に行ったんですよ…という旅自慢ではなく、ただ淡々と、でも豊かな表現でその地で出会った人の姿を浮かび上がらせる。そこで食べたもの、感じたこと、五感を思わせてくれる。
だからこそ、引き込まれた。

出張も悪くないね。もちろん旅行でも。
タンスで眠ってるパスポート、出してこようかな。

#スローシャッター
#田所敦嗣
#ひろのぶと株式会社
#ひろのぶと

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