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3章 瞑想とは何か?
瞑想のテクニックをご紹介する前に、そもそも瞑想とはどういうものかということを理解しておくことが、さまざまな瞑想のテクニックの実践する上でとても役に立ちます。
そこで、瞑想についての説明を最初に簡単にしておきたいと思います。
テクニックだけを知りたい方は、10章の瞑想テクニックのところから読んでいただいても構いませんが、瞑想は初めてという方は、まず瞑想とは何かということを理解しておいてください。そうすることで、瞑想のテクニックの意味と効果的な使い方がわかります。
そもそも瞑想とは何かということがわかっていないと、どんな瞑想のテクニックを使ったとしても、その効果を得られなくなってしまいます。
瞑想というと人それぞれのイメージがあるかと思います。
日本では坐禅が有名です。1日何時間もじっと坐らなければならない修行だと思っているかもしれません。あるいはヨーガのようなアーサナ(ポーズ)をすることだと思っているかもしれません。
仏教では、仏陀が瞑想をして悟りを得たというふうに伝えられているので、瞑想とは悟りを得るためのものだと思っているかもしれません。
私が瞑想に興味を持ったのも、最初はその悟りを得たいと思ったからでした。禅寺に通って坐禅に励んだこともありましたし、悟りを得ていると思われる人に会いに行って、瞑想の手ほどきを受けたこともあります。実際インドにまで行って数ヶ月瞑想をしたり、瞑想の師のもとで30年以上にわたり瞑想に関わってきている経験もあります。その中でわかったことは、瞑想法を実践したからといって悟る保証はないということでした。
逆に、悟ろうとする欲望があったりすると、その欲望が悟りの妨げにもなるというのだから厄介です。なので、今では悟ることは諦めました。
それで瞑想のテクニックだけを楽しむというふうに方針を変更して、いろんな瞑想法を試してみたりしました。
そこでわかったのは、テクニックを実践するだけでも、それなりのミニ悟り的な体験があったり、至福の体験があったり、苦しみや悩みが減ったり、いろんなものごとに対するとらわれが少なくなったり、ストレスも少なくなったりという効果もありました。
また、最近は脳科学が発達し、測定機械の精度が格段に上がったおかげで瞑想の効果というものも検証されるようになり、ストレス軽減と能力開発にも役立つことがわかってきています。
アメリカではGoogle社などのITのトップ企業が「マインドフルネス」として社員研修に取り入れるようになったり、ハーバード大学のビジネススクールなどにも取り入れられたりもしています。アップル社の元社長のスティーブ・ジョブズも禅の師について瞑想をしていたことも有名です。
それはともかく、瞑想とは何かを理解する上で、瞑想と瞑想法(テクニック)との違いを理解しておくことは大切です。
<瞑想と瞑想テクニックの違い>
最初に理解しておくべき大切なことは、「瞑想テクニック(瞑想法)」と「瞑想」とは違うということです。
というのは、瞑想というのは「起こる」(無為)ものであって、「する」(行為)ものではないからです。
瞑想テクニックは「する」ことで努力が必要ですが、瞑想は自然に「起こる」ことです。
瞑想は修行や努力が必要ではなくなる状態です。でもそれが起こるために修行が努力が必要だったりもするのですが、その修行や努力が必要な部分が「瞑想法」です。逆説的で理解が難しいのですが、この違いを理解しておくことは瞑想法を実践する上で大切なところでもあります。
瞑想法は「する」こと(行為)なのですが、そこから得られる瞑想(状態)は「起こる」ものであって(無為)、瞑想法=瞑想とは言えないのです。瞑想は瞑想法を実践している中で起こるかもしれませんが、起こらないかもしれません。
とは言え、これから紹介する瞑想法(テクニック)には瞑想(状態)の要素が含まれているので、正しくその瞑想法が実践されれば、その瞑想が起こる可能性が高くなりますので安心してください。
瞑想法というのは、そのような何かを習得したりゴールを達成するためのものではなく、ただその瞑想状態が起こるための環境を整える準備でしかないということだけ、心の片隅に覚えておいてください。つまり、瞑想法は瞑想が起こるための橋渡しとなるものなのです。
別の言い方をすると、瞑想法の実践は、ちょうど井戸の水を汲むのに使う呼び水のようなものともいえます。井戸水を出すには最初に呼び水を入れます。井戸水を汲み出すとき、最初はポンプを動かしても空気が入ってスコスコという音だけして水が出てきません。しかしそこに呼び水を入れてあげると、水が出るようになり、そうするとあとは勝手に水が流れ出てくるようになります。
瞑想のテクニックというのは、その井戸水を汲み出すための呼び水のようなもので、瞑想が起こるための呼び水というふうにも言えるかもしれません。一度瞑想が起こり始めると、努力なく起こっていきます。
最初に何かをする(doing)(瞑想法)ことは必要ですが、そのあとは井戸水(瞑想)が自然に溢れ出て来るようになります。そのときには努力も必要なくなります(瞑想が起こっている状態)。そのコツがわかると、たった5分でもその瞑想状態を思い出すだけで、瞑想に入りやすくなります。
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