あの夏の日

8月15日。
少しだけこの話をしたい。

カゲロウプロジェクトことカゲプロが、10周年を迎えた年の8月15日です。
更新が盛んだった頃、当時中学生だった私はカゲプロに熱中していた。厳密に言えば知るのが遅かったのでリアタイ勢ではなくアニメからの後追いだったと思う(10年前は小6だけどカゲプロの存在を知ったのは中学生に入ってからだったはず)…けど、ともかく今思えばここがオタクの入り口だった。一番好きなボカロPと言われたら私はじんさんを挙げるし(とにかく曲が好きなのが一番)、コンテンツやキャラを深掘りして、二次創作に手を出すほどハマったのはきっとこれがはじめてだった。

楽曲のコンスタントな発表が終わり(サマレコまで)、アニメも終わり、小説や漫画の連載が終わってからも、新曲が出たら覗きに行くくらいにはずっと見てきた。ツイッターもフォローして、最新とまでは言わなくても情報はそこそこチェックしていた。なのでこの「好き」は過去形じゃない。今もなお身近にいてくれるので「懐かしい」とも思わない。そのはず。

それでもここ数年の展開は、どうしても権利の関係などでうまくいっていないのだろうなと察する度、そしてじんさんが進捗の遅れに言及したりそれを申し訳そうにする度に、もどかしい気持ちになってしまっていた。イラスト担当が代わったのもその一つで、しづさんのイラストやMVがもう見られないかもしれないという事実に少し落ち込みながらも、まあ人生こんなもんだよなと諦めかけていたのだ。そしたら、

上がっていた、しづさんのカゲプロ新規イラストが。絵、うま〜〜〜!!!!!変わらぬメカクシ団のメンバーと、少し大人になった彼らと、そしてしづさんのバチクソかっこいいイラストにウワ〜〜〜〜〜ってなりました。夜なのも忘れて思わず叫びそうになった。確かに中学生だったあの頃の私に戻ったのだ。

そして、8月15日に公開されたじんさんの新曲『後日譚』。アルファポリスのCMタイアップで何度かTVで実際に流れてるのを聞いたこともあったんだけど、おめぇ、カゲプロの新曲だったのか!?

で、聴きましたよ。そしたらところどころにカゲプロの曲らしき要素を感じてお前!お前!お前〜〜〜ってなってしまった。そりゃあ同じ人が作ってるんだから似たような曲調になるでしょというやつではなく、これは明確に意識してこのメロ入れてますよね!?聞き覚えありますよ!ってやつ。「歩きだしたあの頃と同じ」の所とか!爽快感と疾走感のあるギターの流れるようなバッキングとアクセント的にはさまるリフが好きなんですよね。←ギター全然弾いてないので表現間違ってたら普通に恥ずかしい。

ツイッターで誰かが書き起こした歌詞を見ながらもう一回聴いたらなんか涙が出てきた。私は歌詞よりメロ重視派なので歌詞は意識して聞き取ったり調べたりしないとずっと知らないままなんだけど、わざわざネットで調べて歌詞を並べながら繰り返し何度も何度も聞いたあの日が蘇る。
きっと中学生の、毎日そんなに楽しくないと思っていたあの頃の、数少ないオタク友達と集まって語り合ったもう戻らないあの頃を思い出して泣いているのかもしれない。作品をダシに感傷に浸るってるみたいで我ながらキモいんだけど、それでもなんとなく「帰ってきた」気がして嬉しかったんだ。深夜3時。

それから、『後日譚』のMVが12時30分に公開された。

MVを見て、これをどう受け取るべきか、どう受け取るのが正解なのかは私にはわからなくなった。でもこれはカゲロウプロジェクトの曲ではないがカゲプロを作り出した「じん」の曲であると感じた。タイアップのアルファポリスのCMも、無名の少年の物語がどこかにいる少女へ届いたというとので、きっとその誰かを「救った」…というほど大袈裟なものでもなかったけどそうした創作・執筆への賛美を描いたものだった。MVから受け取った印象としては、これはじんさん本人の曲で、誰かへの私信であろう。私は所詮消費者だから創作者の気持ちはわからないけど、物語を生み出す苦痛も、自分で作り出した物語にその自分が救われた悦びもきっとあるのだろうと、想像することしかできないけど。爽やかで懐かしい夏の曲だった。

ギター:じん
ベース:堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)
ドラムス:ゆーまお(ヒトリエ)

↑ここヤバすぎる。堀江先生とPGRのファンなので湧いたんだけど、思い返すと同じボカロ世代を生きた人たちが集まってるの個人的に激アツだった。

これからも続いていくカゲロウプロジェクトが、じんさんの作り出す新たな世界がより楽しみになりました。ずっとずっと応援しています。

最後に私は幼なじみ組(初代メカクシ団)好きのセト推しです。体育会系みたいな喋り方しながら一番とっつきやすくて花屋その他で働くアルバイターで一家の大黒柱で明るくて大らかで幼少期はあんなに引っ込み思案だったのにそれを直そうと努力して本当は誰よりも優しくてまっすぐで強いお兄さんすち。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?