인간의 법정(人間の法廷)の読書感想文のようなもの
こんにちは。えんです。
今回、ユテヤンさんが出演するミュージカル「人間の法廷」の原作本をフォロワーの助けを借りて購入することができました。
今回も私は現場まで観に行くことはできないので、せめて原作本は読みたいなと思って。
…実を言うと、キスシーンがあるらしいと風のうわさで聞いたので、最初はどんなものか読んでやろうというほんの下心でした。
でも、いざ読んでみると、そんなほんの下心で読むものじゃなかったなと少し後悔する衝撃的なストーリーでした。
それもそう。ミュージカルの公式でさえ、チケット予約開始前に公示を出すほどでした。
『劇の流れ上、一部の場面に暴力的だったり扇情的な要素が含まれています。
ご不便をおかけしますが、予約及び公演観覧の際にご参考ください。』
ミュージカルでどこまで再現されるのかわかりませんが、原作本を読む限りでは、心の準備が必要なストーリーでした。
ここからはネタバレを含んだ感想と考察を混ぜた文章なので、読みたくない方はここまでにしてくださいね。
まず、登場人物の整理です。
・アオ
『主人を殺害した容疑で法廷に立つアンドロイド』
持ち主ハンシロによって違法に意識生成器を取り付けられたアンドロイド。
名前は日本語の青色から来ています。シロが白で、アオが青。身体を流れている血も青色です。
ハンシロを殺害した容疑で警察に廃棄処分されそうになっていたところを、カウンセラーの紹介を受け、ホユンピョの元へ助けを求めに行きます。
・ハンシロ
『自分のアンドロイドに殺された平凡な会社員』
アオの持ち主。言語工学者。
名前のシロは日本語の白色から来ているとのこと。
アオに殺害され、還らぬ人となります。
・ホユンピョ
『アンドロイドの人権と権益保護のために働くロボット法専門弁護士』
アオの弁護士として法定に立つことになる弁護士。ロボットのモモの持ち主。
ハンシロ殺害事件後、アオを自分の自宅兼事務所に寝泊まりさせます。
・ソイング
『人間以外の存在は尊重する価値がないと考える警察庁所属の弁護士』
アオの裁判で原告側として出廷する弁護士。
ロボット基本法に基づき、犯罪を犯したアオの廃棄処分を求めます。
・オミナ
『ハンシロの彼女である調香師』
家に遊びに来るたびにアオとも一緒に時間を過ごした、ハンシロの彼女。
ハンシロ殺害事件唯一の目撃者として、アオの裁判に証人として出廷します。
その証言シーンが原作中の18章ですが、私は読んでいてショックで具合が悪くなってしまいました…
・カウンセラー
『アンドロイドを意識生成器に適応させるアンドロイド』
意識生成器販売者の紹介でやってきた、アオが意識生成器に適応できるよう定期的にカウンセリングを行う、目がエメラルド色のアンドロイド。
元の持ち主とは離れて過ごしています。
その他、アオの販売元であるアンドロカインドの担当者、意識生成器の販売者、アオの事件を担当するAI判事などが出てきます。
主人公のハンシロが2080年生まれの40代ということなので、2120年頃、100年後の話のようです。
そもそも、なぜアンドロイドが裁判にかけられる話の題名が『人間の法廷』なのか?
今回作中で判事を務めるのはAIロボットです。
裁判という人間と人間の手続きの場をAIが裁いていいのだろうか?
自動化していく社会への疑問や、動物やロボットの権利について…扱う話題がスケールの大きな物語です。
1.アオの誕生
言語工学士のハンシロは友達から、数十年瞑想修行を積んだ僧侶のようになれる脳の手術が流行している話と、人間を複製したアンドロイドがあるという話を聞きます。
自分とよく合う同僚が欲しい、似た友達が欲しいと彼女のオミナを連れ販売元のアンドロカインドという会社を訪問し、アンドロイドを購入します。
正式名称は出荷時のままハンシロX、名称を自分の名前と関連したアオと名付けます。
アオはアンドロカインドによるハンシロへの長時間に渡るインタビューと、ハンシロから提供された数多くの画像や動画をもとに製造されました。
アオの目についての表現が作中で何度も出てきます。
少し話が脱線しますが、私はユテヤンさんの好きな顔のパーツを聞かれたら、目と答えます。
綺麗で澄んでいて、輝いているから。
それはユテヤンさんが夢に、情熱に満ちているから。つまり、ポジティブな理由によってだと思っていて。
そんなユテヤンさんが演じるアンドロイドの空虚な目は、どんな感じなんだろう。
個人的にここは直接観てみたかったなあ。
よく眠れたか尋ねられて「アンドロイドに睡眠というものはありません」と答えたり、
バラの棘で指を切ってしまって青い血に驚かれた時に「人間と同じではないですから」と返すアオは、やはりシロと見た目は同じとも、どこか機械的で、人間離れしているように感じました。
2.意識生成器
言語工学士であるシロは、アオが自分の発言を理解できなかったことをきっかけにぎこちなくなってしまいます。
アンドロカインドへ問い合わせに行くと、そんなことを言うのはAI専門家の顧客以来だと皮肉られつつ、「意識がないのが原因だ」と言われます。
個人販売者を紹介してもらい、アオの首筋には違法の意識生成器が取り付けられました。
意識生成器の販売者から、カウンセラーを紹介されます。カウンセラーはエメラルド色の目をした20代後半の女性アンドロイドで、意識生成器を取り付けたアオの意識と知識が適応できるよう、定期的にカウンセリングを行います。カウンセラーも意識生成器を取り付けたアンドロイドです。
意識生成器を設置したあと、徐々にアオの様子がおかしくなります。
ステーキから流れる赤い血を見て、嫌悪感を訴えたり。
窓から雪合戦をするシロとミナを見て、降る雪を食べてみたり。
もちろんアンドロイドは食べたり飲んだりする必要はないし、消化器のようなものもないので、雪を食べたところで吐き出すしか無いのですが。
シロはそのアオの不審な行動を睨みつけるのですが、すぐに雪を吐き出してシロへ手を降るアオは、なんだか忠犬のようでかわいいなとも思いました。
これがアオの本心なんだと思いました。
人間以上に知識を持っているけど、それはどれも自分で努力して得た経験ではない。
人間は自分という存在から離れられず、脳の手術までして自分の意識を失いたがるのに、アンドロイドは逆に、自分という存在になりたい。自分で努力して知識を得るアオになりたい。
これが直接的に人間になりたいという意味ではないと私は思ったのですが、ユテヤンさんが最近のラジオでアオを「人間になりたいアンドロイド」だと紹介していました…うーん。。
3.ハンシロ殺害事件
ある日の夜、シロは寝室でミナといたところを、突然頭蓋骨をダンベルで叩き割られ、殺害されます。
警察の捜査によると、犯人はアオだといいます。
その頃アオは、カウンセラーの元を訪れ、事件の経緯を説明します。
カウンセラーは、理解ができないアオの話に頭を抱えながらも、このままでは廃棄処分されてしまうアオを助けてくれるかもとある弁護士を紹介してくれます。
アオはホユンピョの弁護士事務所に向かいます。
ユンピョは記事を見て、やって来たのが持ち主を殺したアンドロイドだと知っていました。
バッテリーが切れそうなアオを、しばらく自宅に置くことにしました。
4.ミナの証言
被告人アオの裁判が行われます。
争点はロボット基本法中の「犯罪を犯したロボットは捜査後廃棄処分すること。抵抗した場合は即処分できる」という部分で、
犯罪を犯したアオを廃棄処分とするか否か、というところです。
証人尋問の準備のため、ユンピョは裁判所でアオの記憶装置にある製造時から事件までの記憶を抽出しました。
ロボットのモモがある不可解な点を見つけます。
事件までに8回、アオの記憶が削除されていたことです。
※ここからは過激な表現が含まれます
証人としてシロの彼女ミナが出廷しました。
ユンピョは証人尋問を始めます。
ユンピョは『シロの指示によりミナとアオが性行為をした記録を見つけた』という衝撃的な発言をします。
意識生成器が取り付けられる前に2度、意識生成器を取り付けられてから6度。
その後は毎回、ミナの希望でアオの記憶装置から記憶を削除していたと。
これこそが、モモの見つけた謎の答えでした。
ミナは最後に言いたいことがあるか尋ねられ、こう言います。
ミナはアオが自分を好きだったから性行為の要求に応えたのだと言います。
アンドロイドのアオが本当にミナのことが好きでそんな行動をしたのでしょうか?
アオはAI判事から供述を求められます。
アオは一度もその行為を拒絶しなかったことがなかったといいます。
もちろん、アオにとってミナはシロの彼女であるとプログラミングされているからです。
それも、意識生成器を取り付けてからは余計拒絶反応が大きくなったと。
そんなアオを、シロとミナは自分たちの性的興奮のために振り回していたのでした。
ミナへ抱いた好意が何か知識としては分かっても、アオの意識では何か分かりません。
後日、この論争の答えをアンドロカインドが出してくれました。
アオは意識生成器を取り付けてから、記憶装置からは確かに記憶を削除されていても、意識生成器の中にはかすかにミナとの性行為の記憶が残っていました。
アオは事件当時、意識生成器に残っていたミナとの性行為の記憶はシロの記憶だと思ったため、事件当時は自分がシロだと錯乱しアオを殺したつもりが、実際はアオがシロを殺してしまったということでした。
アオに殺人の意思がなかったと証明された今、論点は『無実の意識生成器を持ったアオを人間と同じように扱うのか、アンドロイドとしてロボットと同じように犯罪を犯した廃棄対象として扱うのか』というところです。
日韓台の連合で使われている共通の憲法の違憲性を指摘し、判断が下るまでは裁判を中止する。
判決は思わぬものでした。
アオの裁判は今までのロボット基本法の認識を大きく変えるもので、韓国内でも大きな話題となっていました。
しかし、裁判終了後、裁判所前で待ち構えていたのはマスコミだけではありませんでした。
アオは逃げ回りますが、結局は警察のドローンに乗せられ……物語は終わりを迎えます。
憲法裁判所はどんな決断を下したのか。アオはどうなったのか…読者のご想像にお任せします、ということでしょう。
ここまでがストーリーのご紹介でした。
どこまでも純情なアオ。シロの代わりに私が愛を注いで過ごしたかった…いや、私が幸せにしてあげたかった…読んでいるうちに、そう願う自分がいました。
アオはアンドロイドとして生まれなければ幸せになれたのか。それとも、意識のないただのアンドロイドのままだったらどうなっていたのか…
アオがどうしたら幸せに過ごせるのか、考える隙もないほど、残酷なバッドエンドでした…
読書をしたのはもう5年ぶりぐらい?だったのですが、それも外国語で…(笑)翻訳アプリを介して読んだので100%内容を理解することはできていないかもしれませんが…推しのおかげでまたいい経験ができました!
好きか嫌いかで聞かれたら、好きな本です。
本のいち読者としても、このミュージカル化はとても興味があります。どういうようにこの内容をミュージカルで再現するのか…
本を読み終えて、物語について考察しようとしていたら、ミュージカルのOST音源が公開されました。
これはアオを購入してシロとミナが初めて会話する場面を歌った「私の名前はアオ」という曲です。
アオが7ヶ国語できるキャラクターだったのは知らなかったなあ。
歌詞の中で、シロが自分の名前を尋ねると、アオは『保険会社で働くハンシロ課長です』と答えます。
え????そんな設定じゃないんですけど。
そして終始曲中アオはシロを主人と呼んでいましたが、「ヒョンと呼んで」というシロの歌詞も…
作中、アオはずっとシロのことを名前で呼んでいました。ヒョンと呼ぶことはありませんでした…
それは、シロがあくまでアオは自分の奴隷で、監視下に置くものだという認識だったからです。
だから彼女とも性行為をさせたんだと…そう解釈していました。
少し、いや、私はかなり動揺しています…
曲としてはメロディーが好きなので、ユテヤンさんは歌うのは楽しみだし、聴いてみたいけど…
続いてはアオのソロ曲。「私の血は青」。
アオがシロの家に来たばかりのときは当たり前に血が青いことを話していたので、これは意識生成器を持った後のアイデンティティの混乱を描いた曲だと思っています。
おそらく、シロ殺害事件後、裁判が始まる前までのシーンで歌われるのではないでしょうか。
ひとつ気になる歌詞があります。「優しい恋人を見ては私はどんどん小さくなる」という歌詞。
これは誰を指しているのか、私にはわかりませんでした。
とはいっても、この物語に出てくる女性はシロの彼女ミナか、アオのカウンセラーアンドロイドしかいないのですが…
アオは裁判後、カウンセラーに会いたいとユンピョに話す場面があります。
でも、アオはカウンセラーの名前も知りません。
だから、恋人とは言わないだろうし…
アオの恋人役がミュージカルで出てくるのでしょうか?
もう、シロとミナのバカップル感といい、あまりにも原作と様子が違うので、思ったよりミナの供述部分もしんどくないのかもしれないな〜と思ったり…こんなキャピキャピしたキャラクターだとは思わなかったので…
最後は現場にも行けないいち原作ファンの苦言もとい愚痴でした!
原作がシリアスすぎるからこれぐらいでいいのかもしれない!
今回の役、本当に難しいと思います。
そもそも人間じゃないのに、『意識を持ったアンドロイド』という特殊な設定…ユテヤンさんも台本とは別に原作も読んだそうです。
アオを演じることが、俳優ユテヤンの大きな経験値になることを祈っています。
大変だと思うけど、ユテヤンさんならきっと乗り越えてくれる、やりきってくれると信じて…
結局書いてるうちに現場行きたくなったオタクでした…劇場が小さすぎてチケッティングが絶望的だったようなので、諦める理由にしとく…
行かれる方、ぜひてゃんアオの感想聞かせてくださいね💙
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