【第1回】ソシオニクスの留意点と概要
ソシオニクスとモデルA
ソシオニクスは、Aushura Augusta(オーシュラ オーガスタ)(1927‐2005)によってつくられた理論です。人間を16タイプに分け、互いの弱みを補い合うことの出来るタイプを知ることが出来ます。
ソシオニクスは完成したものではありません。
実際に正しい理論であるとは思わないでください。
そして、ネットに出回るソシオニクスに関する情報には、オーガスタの考えたものとは異なっている理論が多くあります。
ソシオニクス含め、性格分類の理論や考え方は、様々な人によって解釈され、そしてその個人によってより良いものへと改変されていくからです。
オーガスタのソシオニクスは“モデルA”と呼ばれます。また、“Classic Socionics”と呼ばれる時もあります。Classic Socionicsという呼び方は、特に異なる理論と区別する時に使われます。直訳すると、「古典的なソシオニクス」という意味です。
モデルAの他には、Glenko(グレンコ)のモデルGやTangemann(タンジェマン)のモデルT、Grigory Reinin(グリゴリー レーニン)のカリナウスカスの輪など……様々なものがあります。
オーガスタの理論と異なっているものが誤っているという訳ではありません。
異なる理論が生み出されることで、元のオーガスタの理論の欠陥している部分を補うことが出来るかも知れません。
問題は本来オーガスタの理論では無いものがオーガスタの理論として誤解されてしまうということです。
また、特定のタイプが有害なステレオタイプとして認識されてしまうこともあります。
先程も述べた通り、モデルAを含め、ソシオニクスに科学的に正しいものはありません。
ですから、沢山ある情報の中から、より自分が納得のいく理論を見つけるのをおすすめします。
その情報が、「本来のものでは無い」のか「実際には使えない」のか「改良」なのか「冗談」なのか、はたまた「誰かが特定のタイプにヘイトを向けたもの」なのか……最終的には、全て自分で判断するべきです。
ひとまず、ソシオニクスについて発信したり、整理したりするときに、誰の考えたどの理論であるかをはっきりさせることは非常に重要なことです。
私の好きなものは、本来のソシオニクスとしてオーガスタの記事が集められた Classic Socionicsと、Pietrak(ピエトラック)が論文として発表したモデルAの解説です。
私の記事ではその情報を元に考えたことをお話していこうと思います。
Classic Socionicsはオーガスタの考えを英語に翻訳したサイトであり、ピエトラックは英語で論文を書いているため、私の記事では基本的に、タイプ名や二分法等をロシア語→英語(→日本語)に翻訳しています。
ソシオニクスの成り立ち
ソシオニクスは、オーガスタがJung(ユング)の考案した「人々を認知の仕方で分類する」という考え方と、Kepinski(ケピンスキー)の「人々は異なる方法で情報を処理する」という仮説を基につくった理論です。
16種類に分けられるタイプには各々に強みや弱みがあるとされます。
オーガスタは特定のタイプが他の特定のタイプと関わる事で互いにそれを補完し、情報転送の面でニーズを満たすことができると考えました。
平たく言えばソシオニクスは自分と相性の良いタイプを知ることが出来るということです。
しかし、それは情報代謝の面のみの話です。
例えば、ソビエト連邦の主権を争ったスターリンとトロツキーは、ソシオニクスの理論で最も補完的なタイプだとされています。
(トロツキーはスターリンのスパイによって暗殺されました)
ソシオニクスでの相性が良いからといって、実際にその人物と上手く関わることが出来るとは限りません。悪いからといって、全く上手くいかないということもありません。
他の性格分類の理論について
余談ですが、ソシオニクスの基になったユングの性格分類もたくさんの派生ができ、その結果、ソシオニクスと同様に本来創始者の作った理論が他の理論と混同されて誤って認識されるようになってしまったようです。
そのため、ユング本来の理論のみを扱うようにしたものは“Classic Jungian”と呼ばれます。
MBTIもユングの性格分類を基に作られた派生理論です。
似ていますが、ユングの性格分類ともソシオニクスとも同じものではありません。
しかし、「MBTIのタイプ相性」として、誤ってソシオニクスの理論が扱われることがあるので注意が必要です。(例えば、「ENTPとISFPは相性が良い」、「ESFJとINTPは相性が悪い」など)
また、そのMBTIとも混同されがちなのが、16personalitiesという性格分類です。こちらもユングの性格分類やソシオニクスとは異なるものです。
タイプの呼び方は似ていますが、全く別のものです。もちろん、こちらもソシオニクスの相性論とは無関係です。
今回参考にした記事
Classic SocionicsでSophia/Axionによって書かれた『Introduction to socionics』
https://classicsocionics.wordpress.com/introduction-to-socionics/
今回はここまでで以上です。読んでくださり、ありがとうございました。
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