LIV WARFIELD ライヴ

リヴ・ウォーフィールド ブルーノート東京公演

2015.3.27

すでにブルーノートの公式サイトで原田さんがリポートされているし、吉岡さんもセットリスト付きの投稿をされているので、その他の情報と個人的な感想を。

日に2ステージを連日こなすこのタイプの公演の場合、最終日まで喉を持たせるために歌をセーブするシンガーが少なくない。抑えてもなお充分に聞かせるパワーは持っているのだから、オーディエンスとしてはとくに文句はない。

しかし、リヴには一切のセーブなんてなし。フルパワーでガンガン歌う!

ツアー・メンバーの誰よりも逞しい身体を持つ彼女は、歌手というより戦士のように見えた。ファースト・アルバムのジャケットではおしとやかそうに見えた長い髪をバッサリと切り落とし、いまや黄金に輝く長頭がトレードマークだ。プリンスのNPG入りをきっかけに音楽性も変わり、小洒落た典型的なジャジー風味のネオ・ソウルから、ロック寄りのソウルへと思い切った転換を図った模様。今回のライヴは転換後のスタイルが中心だ。

リヴの何がすごいって、ダイナミクスだ。抑えたトーンから全開まで振り切ったときの歌唱の幅の広さと言ったら、このすべてを記録するにはいったい何ビット必要なんだろうかと、もちろんリミッターかけるとかそういう現実的な当たり前の話をすっとばして、ひたすら圧倒されてしまうのだ。アルバム中でも際立っていたバラード“Stay-Soul Lifted”は、そんなダイナミクスが何の障害もなくストレートに届く生だとさらに際立つ。

リヴのヴォーカルを支えるバンドもかなりパワフルかつ、かっちり歯切れの良い印象。ベースはホワイトスネークに在籍したユーライア・ダフィ。っていつの話だよと調べたら、00年代後半だった。彼はそのほかにもスライ&ザ・ファミリー・ストーンやトニ・トニ・トニ、リリックス・ボーンなどでも弾いていたようだ。マニアックなところではマーティン・ルーサーのセカンドに彼の名前がある。というわけで、ユーライアはロックもファンクもいける口。実際、今回のライヴでもかなり派手なチョッパーのソロを見せていた。

ギターのライアン・ウォーターズは白のグレッチを持って登場。グレッチというとどうもカントリーっぽいイメージが強かったりするが、クリーン・トーンから歪み系までうまくコントロールし、その上、カッティングもロックの人にありがちな16分音符のストロークが表裏チグハグになる(ミュート・カッティングを嫌う)ということもなく、個人的に好感度が高かった。この人誰だと調べたらシャーデー系列の人で、オルーのアルバム『Soul Catcher』にも参加していた。納得。

(ギターの)ワウの音が出ているのに手足が合ってない!と思ったら、キーボーディストが弾いていた。ドラム、ベース、ギター、キーボードにコーラスという最低限のバンド構成なので、鍵盤はオルガン主体ながらなんでもやる。コンガの音もキーボードで出す(聴いてる分には違和感なし)。

リズムの要となるドラムはエリカ・バドゥからキム・バレル、ジーノ・ヤング、モンテル・ジョーダンなど、ネオ・ソウル/R&B/ゴスペルなどのライヴで叩いているというタロン・ロケット。片手で16ビートを刻むハット・ワークもキッチリカッチリの人で、安定感抜群。プリンス・サウンドの今回のリヴに合わせただけなのかもしれないけれど、バンドのまとまりは相当に良かった。

ちなみに、金曜セカンドのアンコールはルーファスの“You've Got The Love”。ロック風味のソウルというルーファスは、このバンドに合う選曲だと思う。機会があればまた観てみたい、出来ればこのバンドで、と思わせるステージだった。

MEMBER
Liv Warfield(vo)
Ryan Waters(g)
Uriah Duffy(b)
Chris Turner(key)
TaRon Lockett(ds)
Ashley Minnieweather(back vo)

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