世界で一番美味しい スパゲティー屋さんの話し

一年に二回か三回ぐらいですが、
家族の誰かが、
また久しぶりに
あのスパゲティーを食べに行こうよ
と言い出します。
その提案について、
誰も反対はしません。

あーそういえばそろそろ
また食べたいね。
と、話しがまとまります。

その店は駐車場がありません。
近くの図書館に車を停めて、
借りた本の返却と
予約した本を受け取った後に、
岡崎城を右手に見ながら15分程
歩いて行くのが、
何時ものパターンです。

大きなテーブルが真ん中にあって、
その周りに
4人掛けのテーブルがあります。
大きなテーブルの
真ん中には
綺麗な華が咲いている事が
多いです。
何時行っても
空いているという事は
ありませんが、
座れないで待つという事もありません。
制服姿の女性や、
サラリーマンらしき人達が
多いように思います。
ビルの2階にある
知る人ぞ知る
常連客達のみが集まる
そんなお店です。

注文するものは決まっています。
私が、ペペロンチーノの大盛りで、
女房がイカたらこです。
そして娘が、海鮮あんかけスパです。
ランチタイムに付く飲み物は、
コーヒーが二つと紅茶が一つです。
時々、カボチャプリンを頼む事も
あります。

兎にも角にも、
アツアツなんです。
どうして、
こんなにアツアツに
できるのだろうかと
何時も思います。
3つのスパゲティーを、
3人でまわして食べます。
何れも本当に美味しいんです。
それ以外の言葉が見つかりません。
ただただ美味しい・・・
それだけです。

女房と結婚する前から、
時々来ていました。
結婚してからも
二人でよく通いました。
娘が出来てからは3人で来ています。
その娘は今年、
就職活動を乗りきって
社会人一年生となりました。
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庭の百日紅を見ながら、
大きなお腹を女房がさすって
いた事を覚えています。
ソファーに座って、
百日紅のピンクが綺麗だよと
お腹の子に話しかけていました。
私が出来る事といえば、
無事に産まれてきますようにと
願う事だけでした・・・ ・
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今年も庭の百日紅が、
青い空の下で輝いています。
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そのスパゲティー屋さんは、
ご夫婦で営んでいます。
多分、同年代だと思います。
ご夫婦のお子さんが小さい時に、
隅っこのイスで絵本を見てた事を
覚えています。
多分その子は、
娘と同じ年なのかもしれません。
もう30年近く通ってますが、
ありがとうございますと
ごちそうさまです
意外の言葉を交わした事が
ありませんので
本当のところは
分かりませんが・・・ ・
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久しぶりに、
暑い夏の道を
世界で一番美味しい
スパゲティー屋さん
に向かって歩きました。

変わらずにある
スパゲティー屋さんが、
本当に嬉しいです。
そして変わらずに
今年も咲いた百日紅も
嬉しいです。
変わらぬ日々が
やっと
愛おしく感じるようになった
ような気もします。
それも何だか
嬉しいような・・・ ・
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本当にアツアツな
スパゲティーなんです.•*¨*•.¸¸♬ ・
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