見出し画像

西宮ストークス観戦記 #2 vs大阪

いよいよ来週末にはリーグ戦が開幕。その前哨戦というか、プレシーズンマッチという位置づけのアーリーカップ。B2の西宮ストークスはもちろん1回戦から登場。今年は大阪エヴェッサとの対戦となりました。B1の格上を相手に、跳ね返されるのか、それとも自信を付けるのか

画像1

ストークスのスタートは、松崎・道原・谷口・ブラッド・バーンズ。あれ、谷選手は? 手首にサポーターのようなものを付けていたので、怪我でもしたのだろうか。心配。代わって谷口選手が起用されたのは、大阪がアイラ・ブラウン選手の加入によってサイズアップしたためでしょう。その大阪はジョシュ・ハレルソン選手がお休み。京都から移籍した伊藤達哉選手とのコンビが観たかったな。

◎予想外のスタート

お互い細かいミスからスタート。なんかシーズン前らしいなと思ったのも束の間、バーンズ先生とのミスマッチを突いてヘンドリックスにポストアップをさせて落ち着かせる伊藤。さすが。

苦戦は承知、負けても上等。その中でどれだけやれるかを確かめるのだという謙虚なストークスブースターの希望は、開始早々、それすら不遜であったことを思い知らされます。伊藤&長谷川智也選手の激しいプレッシャーに晒され、慌てるストークスのバックコート陣。特に長谷川選手の道原選手に対するDの厳しいこと。

攻めては、バーンズーヘンドリックス、アイラー谷口のミスマッチを徹底的に突いてくる大阪。アイラってSFもできるのが強いよね。スクリーンもらってドリブル&ジャンパーとか、完全にエースのプレー。あっという間に0-9になって、ベンチから谷選手が登場します。

西宮はフィッシャーHCがシーズン前に話していたように、PNRを使いたい。だけど、大阪のプレッシャーが速いので、スクリーンをセットする前にボールマンの体勢が悪くなり、シュートにほとんど繋がりません。ブラッド→バーンズのピックでも、バーンズがアイラにマークされてるからスイッチさせてもミスマッチにならないし。5分を切っても得点が奪えず、0-13となったところで思い切ってバックコート2枚替え。新加入の2人、岸田&俊野選手が登場します。

アイラがベンチに下がると、途端にインサイドが空いて、バーンズの仕掛けからブラッドが合わせて連続得点。おおっと思わせたところで、ハシタクのスリー。今日は「ここ」というところで大阪のシュートが全部決まった印象。逆に言えば「そこ」を押さえられない西宮。B1の壁は厚いことをまざまざと見せつけられます。

ところが、ここから面白くなります。残り2分強から土屋選手が登場。バーンズ先生と代わっておいおいと思ったら、ウィングから1on1。トラベリングになったけど、いい仕掛け。こんなの初めてだぞ。そして、フィッシャーHCが両腕を高々と掲げると、西宮はオールコートのゾーンプレスから、3-2ゾーンへ移行するディフェンスにチェンジ。8-23で点差は開いたものの、大阪のシュートも落ち始めて、淡い期待感とともに1Qが終了します。

◎3-2ゾーンという新しい武器

2Qは頭からゾーン。このゾーンのキモは、1-2-2ぽい感じで、前列3人のうちの真ん中の選手がかなり運動量が必要なこと。この位置に入るのは谷選手が多かったけど、谷さんの守備のカバレッジの広さを活かすためのゾーンならば、フィッシャーHCは選手の能力を活かしたシステムを採用するコーチなのだと言えるでしょう。

で、面白いのはこの位置に土屋選手が入る時間帯があったこと。真ん中の選手はかなり広い範囲を守ることを求められるため、体力的にしんどいはず。でもトキオの身体能力ならやれる。こんな風に活かす方法があったのか(ただ、手を使いすぎる)。ウィングからジャンパーまで決めるトキオ。そしてゾーンが功を奏して、点差は11点差にまで縮まります

2Qの前半はオフェンスでもリズムを取り戻したのですが、大阪のプレッシャーに慣れてきたという要素もあったでしょう。伊藤選手がベンチだったこともあるけど、岸田選手なんかは特に上手くボールコントロールをしていて、完全に正PGという風格。スピードは普通だけど、ハンドリングやボール捌きは松崎選手より上手い。伊藤との元同僚マッチアップはヒリヒリするほど。やられたらやり返すぜ。

5分過ぎに内藤選手が登場して、ゾーンの真ん中に入ると立て続けに失点。簡単に真ん中を割られてしまった。まだ慣れないと言えばその通りだけど、内藤選手にはこのポジションは難しい(で、交代)。というか、選手によってできる・できないがはっきり分かれそうなゾーンではある。それはいいのか?

タイムアウト明け、西宮はスタートのメンバーに戻すも、これが裏目。タイムシェアだったんだろうか。PG松崎でウィング谷口だと、ハーフコートオフェンスがしんどい。途端にボールが動かなくなって、1Q序盤のような外から打つだけに。ここから大阪のスリーが連続で決まって、あっという間に点差は20点オーバー。スリーを打つべき選手が打っている大阪と、スリーしか打てない西宮の違い。

残り1分を切り、相手が疲れてきたのを見透かし、走ってフリースローをもらう大阪。抜け目がないなあ。西宮の勝負所に対する意識が低いとも言えるが。見せ場はあったものの、結局、23-47と、ダブルスコアで前半を終えます。ところで、なんで浜高選手は出ないんだろう。最終盤にちょろっと出たけど。

◎PG俊野の可能性

後半は松崎・谷口に代わって、岸田・俊野がスタートに。すると、その俊野選手がトップからオフェンスをコントロール。遠い位置からのスリー、ボールを外に振ってブラッドのローポストアタックをお膳立て、ピックから遅れ気味にロールしたブラッドにゴール下へドンピシャのアシスト。ほぼPG俊野。なんと7-0のランで3Qをスタートさせます。

これに続いたのが岸田選手。俊野選手のドライブで生まれたズレをきっちり活かしてバーンズ先生のコーナースリーをアシストしたかと思えば、トランジションから自分でスリー。あっという間に13点差まで。おいおいおい。それもこれもPG俊野がもたらしたリズム。ブラッドのピックを活かすのは誰かと思っていたら、まさかね。

これは西宮のアジャストとも言える。伊藤&長谷川のきっついプレッシャーに悩まされているバックコート陣ではなく、比較的ボールを楽に持てる俊野選手を起点にするのは合理的。自分でシュートも打てるしね。大阪の前半の守備に対して、きっちりアンサーを用意してきたフィッシャーHCと西宮と捉えることもできるのでした。

これはシーズン開幕後も大きな可能性となりそうです。これがありなら、浜高選手だってできるはず。シュート力のあるハンドラーが多いことは、西宮の武器として通用することはわかりました。

しかし、落ちない大阪のスリー。やっぱりアイラ選手の存在が大きくて、必ずどこかでミスマッチができるため、インサイドもアウトサイドもパスを通しやすく。西宮も決してサボっているわけではないのですが、無慈悲にもシュートは美しくリングに吸い込まれていきます。きれいなカールカットからキャッチ&スリーを決めるアイラ。そんなのありかよ。これが通常営業なら、大阪は今季はかなり強いのではとも感じさせる内容ではあります。

20点差前後を行ったり来たりしながら、残り1分を切って16点差まで。ところが、残り20秒で松崎選手がスリーポイントファウル(3本とも成功)。その後、バーンズがFTの2本目を落とし、リバウンドからの速攻でエンドワンを決められます。わずか15秒で6失点し、53-74の21点差となったところで、勝負は決していたと言えるでしょう。16点差ならまだわからなかった試合を、集中力のなさで自ら終わらせてしまいました。

◎戦える部分と高い壁

画像2

4Qは省略。点差が付いたことで俄然動きがよくなった大阪は、中に外にと面白いように得点を重ねます。3-2ゾーンもやってたけど、やはり真ん中の選手の理解度によっては簡単に突破されるリスクも。ゾーンとは言え、かなり運動量が必要なので、シーズンを通して使うのなら、チーム全体への浸透が求められます。とはいえ、派手なプレーの後でも、決して下を向くことのない岸田選手など、折れないところが垣間見えたのはせめてもの救いでした。

最終のスコアは63-102で完敗。戦える部分があるところは見せたけど、やはりB1の壁は厚く、高い。序盤に一気に離されたように、一つ一つのプレーの精度・速さ・強度にその差は表れています。だから、期待は持てるとは言っても、それはB2での話。ではB1ならどうかと考えると、それは果てしない道のりに思えるわけです。

対する大阪は、外国籍選手の堅実でタフなプレーもさることながら、橋本選手や合田選手の思い切りのいいプレーが目立ちました。伊藤選手や長谷川選手のディフェンスも恐ろしい。ここにさらにハレルソンが加わるんだから…と思ったけど、ターゲットがいたらいたで、そこを使いたくなるわけで、今日みたいなボールムーブがそのまま観られるのかどうか。

ストークスにとっては、どのレベルで考えるのかで、評価や印象の大きく変わる試合ではありました。


※このnoteは単なるファンの個人的な感想であり、
西宮ストークスとは一切関係のない非公式なものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?