キャッシュゲーム、動画用の草稿

1年半くらい前に、とあるクローズドサークルに殴り書きしてから、動画の草稿として倍くらいに加筆したもの。

だいたい動画にしてはいるものの、一部は「動画化したけど、質が悪いから非公開」にしたかもしれない。


・AKQゲームとバリュー(≒ブラフ)ベットの原理
片方がAA・QQ、片方がKKだけを持っている、リバー。
AA・QQ側は、AAのバリューに、QQのブラフを、SPRに応じた正しい頻度で混ぜる。
KK側は、一定頻度(MDF)をコールし、その他をフォールドする。
SPR1 の場合、KK側がコールに必要な勝率が33%
 →AA・QQは側は、バリュー:ブラフ=2:1(バリュー+ブラフ=3 ブラフ=1)で混ぜる。
  →KK側は、フォールド1:コール1。
SPR2 の場合、同様にして、勝率40%→真:偽=3:2→フォールド2:コール1。
SPR∞ の場合、同様にして、勝率50%→1:1→1:0。
※大きなベットサイズを用いる理由は「ブラフを多く混ぜて、ポットに対する自身のシェアを増加させる」こと。
 (「バリューベットをコールしてもらう」「ブラフベットで相手のキャッチャーを降ろす」ではない。)
※GTOからゲームを捉えると、ハンド単体でなくレンジ全体で見たとき、現在のポットの100%以上は得られない。
※復習として、SPR0.5、SPR3、の場合について、各場面の頻度を示せると吉。
ターン以前の場合は?→リバーからベットのバランスを考える。
 具体的には、「後のストリートにおけるAQ組を仮想バリューとして、ベットサイズに応じた割合のブラフを混ぜる」
例、全てのストリートでポットベットのみを選択できる。 バリュー:ブラフ=2:1。
リバー・・・バリュー1000:ブラフ500、つまりリバーベット1500。
ターン・・・リバーベット(仮想バリュー)1500:ブラフ750、つまりターンベット2250。
フロップ・・・ターンベット(仮想バリュー)2250:ブラフ1125、つまりフロップベット3375。
プリフロップ~フロップ間においても、複雑だがやっていることは同様。
リバーの完全ナッツ(バリュー)1000に対して、完全トラッシュ(ブラフ)2325を混ぜられる。
参考 GTO厨のポーカー日記 GTO概論① GTOの原理
http://mathpoker.blog.fc2.com/blog-entry-23.html

・オッズとアウツを考える≒ゲームを「数字」で認識する
ポーカー理解の本質→「いくらの損得」が「どの頻度」で起きるか、をより正しく把握。
そのために、まずは損益分岐点となるライン(≠そのアクションを採るべきかの判断基準)を知る。
1、オールインコール→ポットオッズ≒相手レンジに対する勝率。
 -(コール額)+(コール後のポットサイズ)×勝率
 または (コール後のポットサイズ-コール額)×勝率-(1-勝率)×コール額
 前回の動画も参考に。
2、ブラフベット(レイズ)→完全なブラフ(勝率0%)の場合、降ろせる頻度≒成功頻度。
 -(ベット額)+(元々のポット+ベット額)×ブラフ成功率
 勝率がそれなりにある手で、ベットしてポットを獲得しても、
 それは「弱い手で、相手のより強い手をオロし」てないので、ブラフ成功していないことに注意。
3、バリューベット→「コールされる相手レンジに50%勝っている」ことが成功条件。
 バリューベットの額を少し具体的に考えると、「大きい額で50%より少し多く成功する」より、
 「中くらい~小さい額で、かなり多く成功する」ほうが、バリューベット単体としての価値は高い。
4、セミブラフ(セミバリュー)→複雑でとても難しい。
 -(ベット額)+(成功頻度)×(ポット+ベット額)
 +(失敗頻度×{ポット+ベット額×2}×残ったエクィティ)
 ポーカーにおけるイチバン大切な式で、これを正確に立てられれば全部解決する。
 可能なら、「式を立てて、弄って、計算してみる」ことは、しっかりとした理解を生み出す。
例、5ベットオールイン。
オールインに必要な額→ 90bb
フォールドさせた→ +32bb
相手がフォールドする確率→f
コールされた場合のポット→ 200bb
コールされた場合の勝率→ ???
-90+(90+32)×0.5+200×(1-0.5)×w
=-90+132×0.5+200×0.5×w
=-90+66+100w=-24+100w=0
100w=24 w=24/100=24%
参考 solverを用いたpokerの学習について ~maspy~
https://note.com/maspy_stars/n/nb82e606801e3

・(セミ)ナッツアドバンテージについて
相手が(セミ)ナッツを持っていると、適切なレイズを返されると非常に厳しい。
ナッツは、ブラフを打たせずレンジ全体がSDしやすくなる効果も持っているため、高SPRでは一般の想像以上に価値が高い。
これを前提に、「(セミ)ナッツドロー」はガットショットやバックドアフラッシュであっても、高SPRのフロップでは価値を高く見積もる。
 →EQR(エクィティリアライズ)がレンジの強さとSPRによって左右される、ということをPioの具体例で示す。

・リバー、エクィティとバリュー(ブラフ)ベット、の関係
互いに完全に等しいレンジを持つものとするトイゲーム、複数のベットサイズを用いる、を考える。
OOP→(セミ)ナッツでは、大ベット・小ベット・チェック、を混合。
シンバリュー(EQが50~70%くらい)では、小ベットのみ。 下位10%くらいでは、適当にブラフ。
バリューを打つためのEQとして、1potに75%、2potに84%、0.5potに67%、±ブロッカー、が必要。
IP→セミナッツ~トラッシュを、下位と混ぜてなるべく大きくベット。
SPRの大小・OOPがナッツチェックをしている量に応じて、ベットサイズは異なってくる。
※GTO+でも再現可能、可能なら追試するとツールの扱いが上達しそう。 詳細はmaspyさんのトイゲームに関するツイートを参照。

・Pio、GTO+を用いた学習
3ベットポット、BBでコールした場合、が学習に対するリターンが大きい。
互いのエクィティ分布、自身のハンドが持つアクションライン別の(次ストリートの)エクィティ、を確認するとアクションの理由について理解しやすい。
「そのアクションが推奨される理由」を、バリュー:ブラフ組・プロテクション・プレーアビリティ、などで説明できることを目標に。
※Rake Solution について言及、具体的な座学方法について触れる。

・「プロテクションベット(レイズ)」の成立条件
高SPR(2ベットポット)では、「ナッツを持っていること」がとても重要。(しばしば、過小評価される。)
低SPRでは、「単純に今突っ込んだほうが、リバーカードを見るよりマシ」「ナッツに混ぜる形でマージナルハンドを利確」の2つ。
※典型例は、GTOをツールで勉強していればなんとなく把握できそう。 特に、低SPRの後者は言語的には非常に難解なので、雰囲気で・・・。

・レンジのエクィティ分布と戦略の組み立て方
互いのレンジが持つ分布により、大雑把に4通り。
1、ポラライズvsコール
 →ターン、リバーに多い。 ポジションに関わらず、大きなサイズを(セミ)ナッツ~トラッシュで組み合わせて打ち込む。
  コール側は、OOPであっても低頻度でしかx/rをしない。
2、ライナー(EQ有利)vsライナー(EQ不利)
 →フロップのドライボードに多い、Jh8h3d、など。 SBvsBB・IPvsBB・3betした側、であれば大抵は「少額CB・全レンジ」が有効。
  コール側はOOPであれば、中~高頻度でフロップx/rをする。
3、相互に「強い」ハンド過多
 →Aハイ・モノトーン・3連、の3ボードが特徴的。
 捲くられづらいセミナッツを互いに多く持っているので、CBが少額になりがち(頻度は、状況・レンジ・SPR次第)
 コール側は、極低(3ベットポット)~中(2ベットポット)頻度、でしかフロップx/rをしない。
4、EQ五分+ナッツ五分~微有利
 →OOPは全チェックでも構わない、IPは中頻度くらいでベットするが、全体的に難しいシチュエーション。
※リリアンさんの動画・noteに、わかりやすい形で紹介されているものが多い。

・ミスの大きさについて
結論から言ってしまうと、一番やってはいけないことは「大きくポットコミットして、(実質的に)エクィティを放棄」すること。
ここに例を挟む。
「ストリートが進む」「ポットが膨らむ」ほど、レンジは強くなる。
つまり一番大きなミスとは?→大きなポットにおける、過剰頻度のレイズ。
次いで、実質的にエクィティがないコール、降ろせないブラフベット。
ここで、具体的にミスの大きさを見積もる。
1ストリート進む(1ベット~レイズが入る)とき、状況はどう変化するか?
・ポットサイズ→おおよそ2.0~4.0倍。
・よりレンジが強くなりポラライズされる→自手のエクイティが全般に下がる。
ポットサイズに対して失う割合が同じでも、ミスは額面で1アクション毎に3~6倍。
 →「ストリートが進んだときに、大きなミスをする人は、絶対に勝てない。」
このことは、全ての座学・プリフロ~ターン、よりも絶対に重要。
また、「現実的に大きなミスになりづらいアクション」は、GTO上のEVと無関係に強い。
「明らかなナッツ・トラッシュでそれほど大きくない金額をベット(レイズ)」
「相手のエクィティを消しつつもレイズされないベット(レイズ)」
「強いドローを持ったハンドでのオッズコール」
の3つは非常に強い。
「レイズされ得るベット」「単なるキャッチャーでのコール」
はそれほど強くない。
「安易なベットフォールド」「マージナルドローでのコール」
はかなり弱い。
最後に、具体的な Pio の結果を用いて説明。

・実戦的なプレイング構築とレギュラーの戦術
持っている知識、プレーする量(時間)、実際に実行できる頻度、に応じてプレイングを意識的に変える。
「リバーで大きなミスをしがちな状況」と「相手がしがちで大きく付くミス」を把握し、ターン~プリフロを逆算して調整。
以下に、具体的な方法論として「有効な妥協」でありうるものを挙げる。
1、全てのポットで、「損益分岐付近のうちで、大きなポットでプレーが難しくなるもの」を、保守的にプレー、または諦める。
 →ミスの大きさ、を参照。 2~5の総括であり、基本となる考え方。
  ブレイクイーブンに近いほど、潜在的に大きなミスが発生しやすいため。
2、「セミナッツ」「ナッツドロー」「トラッシュ」で大きなポットに参加する。
 →後のストリートで、バリューベット(コール)・ブラフ、がわかりやすく打てるハンド、を残す。
3、適正よりやや高頻度にベット(レイズ)し、やや低頻度にコールする。
 →ごく単純に、レンジがキャップしない、エクィティを消せる余地が残る、の有無は実戦的に大差。
4、ベットサイズを、フロップ~ターンでやや大きく、リバーでやや小さめ、に寄せる。
 →フロップ~ターンは小さなベットでエクィティを消しづらく、逆にリバーはMDFで守ることが案外に難しい。
5、なるべく単一のベットサイズを用いる。
 →レンジの打ち分けミスを減らしつつ、相手のリーディングを難しくする。

これらを組み合わせると「有利なターンでも、オーバーベットを避け、単一サイズかつなるべく大きなもの、を用いる」などを考えられるようになる。
 →オーバーベットは、ポラーレンジ(セミナッツ+強いドロー+トラッシュ)がバレバレで、相手が保守的なプレーを選びがち。
  小さなポットの数%以下を代償に、自身のリバーは中サイズの弱いレンジのため、かなり難しくなる。
  75~100%くらいのサイズを適正~やや高頻度で用いるだけで非常に強くEVロスも少ない。

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