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スパーズアカデミーってどうなん??

 こんにちは、大阪スパーズです。

 今シーズンのスパーズは怪我人の多さなどの影響もあり、アカデミー出身者について話される場面も多く見受けられる。
 
 なので今回は「未来を予想するためにはまず過去を知る」ということで、ここ7シーズンでどれだけの選手がスパーズでトップチームデビューを果たしたのか、などトップチームデビューしたアカデミー出身者について書いていこうと思う。

 なぜ、中途半端に7シーズンなのかというと、12-13シーズンからユース選手の出場するコンペティションが大きく変更されたことと、私自身がトップチームデビューする前からユースカテゴリで選手をみていたと胸を張って言えるのがこのシーズンあたりからということで7シーズンということにさせて頂く。

 ちなみに今回はスパーズアカデミー出身ということで18歳までにAcademy Scholarとしてスパーズに所属していた選手を対象にした。
 例を挙げると、キーオン・エテテやナビル・ベンタレブは対象、ジャック・クラークやデレ・アリは対象外ということ。

 トップチームデビューをした選手を表にまとめた。この表の説明としてポジションは私の独断と偏見で分けさせてもらった。デビューシーズンの隣の年齢はデビューした試合時点での年齢、現所属はスパーズからのローン選手だけLoanを付けている。出場試合数とスタメン数についてはミスがあるかもしれませんがご了承を。(出場データはTottenham Hotspur Official Handbookとtransfer marketを参照、3月22日現在)

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 ここ7シーズンでトップチームデビューしたのは22人で、2ケタ以上試合に出場している選手が6人、現在も所属している選手が12人となっています。思ったより多いでしょうか、少ないでしょうか。この表だけでは判断できないので個人的に調べたいトピックについて話していく。

 ちなみに12-13シーズン以前の近年にトップチームデビューした主なスパーズアカデミー出身者はハリー・ケイン、ダニー・ローズ、トム・キャロル、スティーブン・コールカー、アダム・スミス、ライアン・フレデリクス、アンドロス・タウンゼント、ジェイク・リバモア、ライアン・メイソンなどがいる。

シーズン毎のデビュー人数

 12-13シーズンのデビューは0人、それ以降は4人、2人、5人、4人、4人、3人(シーズン途中)で、平均して3.1人トップチームデビューしていることになる。
 そして、デビューの無かった12-13シーズンと一番デビュー数が多かった16-17以外は2桁以上出場した選手が1人以上いることになり、コンスタントに毎シーズンアカデミー出身者が多少なりともトップチームの戦力になっていることを証明しているのではないか。

監督別のデビュー人数

 12-13~13-14の12月までアンドレ・ビラス・ボアス (0人)
 13-14の12月~シーズン終了までティム・シャーウッド (4人)
 14-15~19-20の11月までマウリシオ・ポチェッティーノ (17人)
 19-20~ ジョゼ・モウリーニョ (1人)

シャーウッド・・・12-13シーズンにU21PLで準優勝を果たしたチームからベンタレブを抜擢したりと次々と教え子をトップチームにデビューさせる。また、11-12シーズンにトップチームデビューを果たすがその後、途中出場が多かったケインを本格的にレギュラーとして起用。自分の指導した選手を積極的に起用した。

ポチェッティーノ・・・プレシーズンで活躍した選手を積極的にシーズンでも起用。FWとしてローン先で活躍できずにくすぶっていたメイソンをCMFにコンバートしたり、TOBなどの17歳を起用したかと思えば、エイモスのようなアカデミー出身者としては決して若くない選手も起用。多くの選手にチャンスを与えた。

モウリーニョ・・・まだ、就任し日も浅いがデニス・サーキン(未デビュー)を称賛したり、タンガンガをビックマッチで起用したりとアカデミー出身者を積極的に起用する姿勢を見せている。

アカデミー出身者はどのぐらいの割合でデビューしているのか、また世代別で偏りはあるか

(アカデミーは9/1~8/31が同世代である。例:スキップは2000年9月16日生まれなので、2000年1月29日生まれのエヨマは一つ上の世代、2001年8月20日生まれのディラン・マーカンディは同世代、2001年9月2日生まれのキャスパー・クルロウィッツは一つ下の世代である)

95-96世代・・・12人中3人デビュー(ウィンクス、ベリコビッチ、レスニアク)
96-97世代・・・11人中6人デビュー(エイモス、ジョルジウ、ハリソン、オノマー、KWP、ウォークス)
97-98世代・・・13人中1人デビュー(CCV)
98-99世代・・・15人中4人デビュー(エドワーズ、マーシュ、スターリング、タンガンガ)
99-00世代・・・10人中2人デビュー(エヨマ、TOB)
00-01世代・・・16人中1人デビュー(スキップ)
01-02世代・・・12人中2人デビュー   (パロット、ウォルコット)
※途中加入のシロー・トレーシーなども含む

 これを見ると、世代別で偏りがかなりあり、96-97世代の半数以上がトップチームデビューというのは特筆すべき点である。
 これからも何人かはデビューするが、ここ7シーズンで89人中19人(20%)がデビューしている。これは予想だが最終的には25%ぐらいで落ち着くのではないだろうか。

デビュー当時の年齢

 17歳5人、18歳5人、19歳5人、20歳4人、21歳3人で偏りは見られない。また、デビュー時期が早いからと言って出場数が多くなるということでもない。早い時期にトップチームに出場しても与えられた環境(日々の練習やユースカテゴリでの試合出場)で結果を残さないと2度目のチャンスすら与えられない。

年代別代表経験者とトップチームデビュー

 トップチームデビュー経験者で年代別の代表に選ばれたことの無い選手はハリソン、ウォークス、マーシュ、ジョルジウであるがジョルジウはフル代表(キプロス)に選出されているので代表未経験は3人である。
 では、年代別代表経験者はほとんどがトップチームデビューしているかというと、そうでもなく年代別代表経験者でもトップチームデビューしていない選手はたくさんいる。

 U16からほぼすべての年代別代表に選ばれているようないわゆるエリートと呼ばれている選手に絞ってみると、17歳でデビューしている選手はもちろんU16やU17の年代別代表経験者である。
 しかし、タンガンガのようにU16からU20までの年代別代表経験者ながらデビューが遅めの20歳という選手もいる。それだけでなく、ジェイデン・ブラウンはほぼすべての年代別代表選手ながらトップチームデビューすることなくクラブを去る選手もいる。
 
 こうみると年代別代表とトップチームデビューにはあまり相関関係はないように思う。

ローン移籍を経験してデビューした選手はいるのか

 ローン経験者はベンタレブ、ベリコビッチ、コウルサースト、プリチャード、オノマー、CCV、エドワーズ、ハリソン、ウォークス、レスニアク、ジョルジウ、スターリング、エイモスと半数以上がローン経験者であるがローン経験後にトップチームに出場した選手はプリチャード、レスニアク、エイモスの3人のみである(KWP、マーシュ、エヨマに関しては初ローン中なのでここでは除外)。

 プリチャードはスウィンドンでの活躍後にスパーズに戻りデビュー、その後、ブレントフォードへのローン後トップチームの試合にもう一度出場している。エイモスも17-18の冬にスティーブ・ネイジにローンされ、ほぼすべての試合に出場し翌シーズンのプレシーズンで活躍しトップチームデビューを果たした。レスニアクに関してはローン先で活躍できずスパーズに戻りPL2で出場しデビュー。しかし、デビュー戦でアシストを記録も即放出された。
 
 ここ最近のシーズンでは「ローン=放出決定」の状況であった。しかし、これはポチェッティーノ政権下での事で、ポチェッティーノは起用したい選手は手元に置き育成させるタイプの監督であった。しかし、モウリーニョ政権になり多くの選手をローン移籍させ経験を積ませているので、今後は「ローン=放出決定」という式が変わるのか気になるところである。

デビューコンペティションについて

プレミア・・・ベンタレブ、ベリコビッチ、プリチャード、オノマーKWP、レスニアク、エイモス
CL・・・ジョルジウ、スターリング、ウォルコット
EL・・・コウルサースト、ウィンクス
リーグカップ・・・CCV、エドワーズ、ウォークス、ハリソン、TOB、スキップ、マーシュ、エヨマ、タンガンガ、パロット
FAカップ・・なし
※太字は2桁出場者

 大方の予想通りシーズンの序盤に行われ、ターンオーバーしやすいリーグカップでデビューする選手が最多であった。そして、リーグカップでは複数人が同じ試合でデビューすることが多い。ここでは特筆することはなくコンペティションによるトップチーム出場数に相関関係はほぼ見られない。

感想

 トップチームデビュー経験者について個人的に気になったことを調べた。今回調べて一番興味深かったことは、トップチームデビューしている割合が高いということとレギュラーまたは準レギュラー扱いの選手が思ったより少ないということである。96-97世代の半数以上がトップチームデビューしていることには軽く衝撃を受けた。

 ここ7シーズンでレギュラーとして活躍したのは、ベンタレブとウィンクスのみである。準レギュラーとして考えるとオノマー、KWP、スキップ、タンガンガの4人と人数的には物足りなく感じる。数字だけで考えるとスパーズアカデミーまずまずなのではないだろうか。

 みなさんはどう思いますか?

 ここで、アカデミー出身者のレギュラーが少なく即戦力を大量に獲れないスパーズがなぜこれだけの躍進を遂げたのだろうと考えると、18歳以上のプレミア未経験やプレミア経験の少ない若手選手をうまく獲得してきたということではないだろうか。ここについて近いうちにブログを書けたらと思う。

 7シーズンの傾向について調べたが4シーズン半という大部分がポチェッティーノ政権だったのでほぼポチェッティーノの傾向になってしまったのが悔やまれる。10シーズンぐらいのサンプルが集まればもう一度やってみたい。

 ポチェッティーノ政権のアカデミー運用について少し意見を書きたい。個人的にはポチェッティーノの運用についてはあまり不満はない。

 その理由は、今トップチームでレギュラーに定着している選手以外トップチームで活躍できそうな選手がいないからである。その後のキャリアやユースカテゴリでの活躍を見てもトップチームのレギュラーになれただろう選手はエドワーズぐらいかなと思う。そのエドワーズも素行不良が影響しているのでどうしようもない。(これに関しては、もちろんポチェッティーノのマネジメントに問題があったのかもしれないが)

 使い続けることで思いもよらない成長をすることもあるという指摘もあるだろうが(アカデミー時代のケインを見て世界を代表するCFになると思った人はごく少数であろう)。しかし、スパーズのプレミア・ヨーロッパでの位置付けがここ数年で大幅に向上したのでアカデミーの選手を我慢強く使い続けるのが難しくなっている。オノマーに関しては充分チャンスを与えていたと思う。

 確かにローンをうまく使えなかったという問題点はあるが、期待している選手は手元で育てるということはポチェッティーノの考え方であるし、そもそもローン先で活躍し、トップチームで使いたい選手もエイモスぐらいであろう。(エイモスもチャンスを与えようとしたら怪我で長期離脱を余儀なくされた)

 以上のことと、ウィンクスをレギュラーに定着させたこと、メイソンのコンバートと振り返ってみると不満はないどころか合格点をあげたい。

 モウリーニョ政権になりローン移籍を活発に行えていると思うので期待したいが、TOBやパリス・マゴーマ、ルイス・ビンクスを放出するなどアカデミー出身者の放出サイクルが早くなっているのはアカデミー厨としては懸念しているところである(これに関してアカデミー選手での移籍金などのビジネス面で考えると悪とは言い切れないところがある)。

 今後の予想としては、「アカデミー出身者の2極化が進んでいくのではないだろうか?」期待されている一部の選手に関しては出場機会が多く与えられ、それ以外の多くの選手がトップチームデビューすることなく放出されるのではないだろうか。今までのように1試合だけトップチームに出場する選手が少なくなると考えられる。

 その理由としては、ホームグロウン選手の稀少価値が高くなっていることがあげられる。ホームグロウン選手の移籍金の高騰や他クラブとの競争が激化し獲得が困難になっている。なので、どうしてもアカデミー出身者のトップチーム定着が必須で期待されている選手のトップチームの出場数が増えるのではないだろうか。

 また、冬の移籍市場から放出サイクルが早くなっているというのは前述のとおりである。一部の期待されている選手以外は値段がついた時点でトップチームに出場する前にガンガン放出され、値段のつかない選手はそのままユースカテゴリの試合に出場し時が来れば放出されるのではないだろうか。

 今現在、ローンで活躍している選手の動向が今後の未来についての答えになっていくだろう。

 トップチームデビューした選手についてまだまだ調べたいこともあるので近いうちにまたブログを書けたらと思います。

 ミスや疑問点、調べて欲しいことなどがありましたらご意見お待ちしております。長くなりましたがお読み頂きありがとうございました。

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