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無駄な特技

人は誰しも、無駄な特技があるだろう。
いや、どんな特技も意味があるものだが、日常生活で滅多に使わない、レア度の高い特技だ。

私の持っているレアな特技を1つ挙げるとすると、『アッサム語の数字がわかる事』である。
聞き馴染みがないだろう。私も、人生においてアッサム語というものを知ることがないと思っていた。アッサム語はインドのアッサム州で主に使われている公用語である。

私の高校時代の大半は、じゃんけんで全ての運命が決まっていた。ジャンケン信者と呼ばれても過言ではない。

ジャンケンというものは、誰もがルールを知っていて、尚且つ公平性があり、負けても仕方がないと納得ができる1番の決定方法だと思う。
私たちは、その素晴らしさを16歳にして見出し、何か揉めていなくても無駄にじゃんけんをした。

じゃんけん信者になるきっかけは、カロリーメイトの自動販売機が高校に設置された事だった。
お弁当やコンビニや購買がある高校ではカロリーメイトの自動販売機は不評だった。買ってる人を見たことが無いという理由から、『じゃんけんで負けたやつ、売り上げ貢献しよう』と無駄に買わすジャンケンが始まり、私たちはほぼ毎日のようにカロリーメイトの売り上げに貢献をした。

何ヶ月か経った後に、カロリーメイトを買うというお金の無駄さに気づいた私達は「iphoneの言語設定、意味わからんのにしよう」と提案をした。

私は、ジャンケンをし、グーを出して負けた。
iPhoneの言語設定から何にするか選んでいると、『アッサム語いいじゃん』という言葉から、アッサム語に変更。
アッサム語は、私たちが普段使うほとんどのアプリに対応していないため、生活への支障は無いと余裕ぶっていたが
翌日の朝、私は頭を抱えた。

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時間が分からない。

アッサム語では、0~9までを下記のように表す。

                  

 0と2は似ているが、それ以外は全くの別物だ。特に4なんて8だし。

当時、私は腕時計をする習慣がなかったので、スマホで時間がわからないのは致命的だった。
いちいち、「今何時?」と友達に聞くわけにもいかない。

先ほど言った通り、「アッサム語を適応しているアプリが少ない」ということから、時計専用のアプリを導入すればいいのではないか。そう閃いた。
しかし、あくまで罰ゲームで行なっているこの言語変更。勝手にそんな事をしていいのだろうか。ズルではないのか。

そう思う方もいるだろう。しかし私は、友達に内緒で時計専用アプリを入れた。ズルをしようとしたのだ。

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当時、とても良いアプリを見つけた。ちなみにこの時の時間は16時2分。
きっと放課後、このアプリを見つけウキウキでスクリーンショットを撮ったのであろう。

このiPhoneに元々あるだろという機能しかなさそうな質素なアプリ。
このアプリが色々な言語に対応しているとは思えなかった。

これはズルではない。改めて考えてみると「時間を見るためにわざわざアプリを開かなければならない」という十字架は背負っているのではないだろうか。そう、自分に言い聞かせながらダウンロードをした。

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甘かった

丁寧に日付であろう文字まで書いてある。
黒背景で馴染みのないこの時計は秒数までも刻んでくれる。
私は、なんだか怖くなった。下に書いてある「おしらせ」も不気味に感じる。

しかし、人間の適応能力はすごい。
2週間もすれば、勝手に体が覚えてくれる仕組みになっているのだ。
私は、特に不便性を感じる事なくカレンダーも時計も使いこなしていた。

私は、約1年間このアッサム語と共存していた。



ありがとうアッサム


それから今まで、アッサム語に遭遇していないが、今後アッサム語で数字を伝える時、私は数少ない優秀な人材になれるだろう。
このような、特技を私はどんどん増やして、いざとなった時に驚かせたい。

その「いざ」となる瞬間が少なければ少ないほど、「すごい」と賞賛されるだろう。

他に、なんの特技があるか考えてみたところ、本当に何も思いつかなかった。
私はいざというときも、いざといわないときも、役に立つことができないかもしれない。

いや、むしろ人よりも、苦手なことが多い。
ウィンクもできなければ、耳を動かす事も出来ない。
ペットボトルのキャップを開けるのも苦手で、よく色々なものにぶつかり身に覚えのない痣ができたりする。
そして、小型犬に嫌われがちであり、先日もバイト先に来た可愛いポメラニアンに死ぬほど吠えられ、飼い主も「いつもはこんなんじゃないのに…」と困惑していた。

「生麦生米生卵」だけ異様に早く言える事くらいだ。
私は、滑舌があまり良くなく、よく「舌ったらず」と言われるのだが、その言葉だけは早くハキハキということができる。

これを機に、どんどん自分の特技を見つけていこうと思う。
まだやってないことを挑戦する、ということが好きなので、もしかしたら釣りの才能があるかもしれないし、ドラムの才能があるかもしれないし、ビリヤードの才能があるかもしれない。才能は眠られたままの状態だ。
火起こしだって、早いかもしれない。私は、死ぬまでにやりたいことを全てやりきりたい。



余談だが、私はこの記事を書いていて、スクリーンショットをよく撮る人間だなと思った。当時何を思ったのかわからないスクリーンショットだらけだが、こういう記事を書く時に役に立ったので、「証拠をとっておく」癖があるみたいだ。探偵になろうかな。

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