参考資料:「きょうだい」のライフサイクル

例会で配布される資料から。
幼少期から「きょうだい」である方が、これまでの人生を振り返りまとめられた資料です。
共感される方も多いのではないでしょうか?

**「きょうだい」のライフサイクル**

●「親は半生、きょうだいは一生」という言葉がある。
●人生85年と考えたら、親の人生には障害児者のいる家族との出会いまでの人生(約25年)と障害児者のいる家族と過ごす人生(約60年)がある。
たいていの親は障害児者のいない家庭に生まれて育ち、青春時代を過ごす。
●しかし、私たちは初めから障害児者のいる家族の一員として生まれ、その一生を障害児者の兄弟姉妹として生きることになる。
きょうだいの人生は障害児者のいる家族と過ごす人生(約60年)と親なき後の人生(25年)ということになる。
●障害のある兄弟姉妹と親は外から見える存在だが、きょうだいは家族の中で、世の中で光の当たらない見えにくい存在でもある。
きょうだいは自らの生きづらさを人生の様々な場面で親や友人など誰にも相談できず、問題を独りで抱え込んでしまうことが多い。 

■【子ども時代(0歳~15歳)】
・「親を独占する」「甘える」「駄々をこねる」「自分の要求を通す」など、「自分ファースト」(自己中)なのが子どもの本当の姿だが、親の態度が自分と障害のある本人との間で異なるときょうだいの心の葛藤が大きくなる。
・姉=母親代わりを、兄=父親代わりをやらされる。弟・妹=甘えん坊なのに家庭生活では自分が姉や兄よりも上になってしまう。家庭内役割の混乱が起こる。
・「子どもらしさ」を抑えて自己主張を我慢すると、家庭内での「自分の居場所」が分からなくなりどうしたらいいのか迷ってしまう。気持ち(自己肯定感)がゆらぎ、自分に確信を持てなくなる。

■【高校生(15歳~18歳)】
・小中学生時代よりも生活圏が広がる。校区を離れ自分の家族のことを知らない友だちとの出会いが、自分の世界を広げる。同時に人生についての悩みも深まる。自分の進路に迷い、思い悩む。将来の兄弟姉妹の世話など心配事が絡んでくる。
・子ども時代から医療・福祉関係の仕事に触れる体験が多く、親の不安や期待をいつの間にか感じとっている。

■【青年期(18歳~30代)】
・「自分だけが幸せになっていいのか?」・・・、きょうだいの強すぎる責任感(使命感)が自らの生き方を狭めていく。恋愛・結婚・出産に対するためらい。結婚を意識してつきあい始めても、なかなか本人のことを言いだせない。
・自分の家庭第一で考えるが、「親亡き後」の不安がいつも頭にある。実家の近くに住む。転勤のない職場を選択する。医療・福祉関係の仕事に就くきょうだいも多い。

■【成人期(40代~50代)】
・親の病気や介護などに向きあう。親の相談相手になることも増えてくる。親に代わって本人の世話をすることがでてくる。自分の家庭でも家族の病気や介護の問題などがでてくる。「介護離職」を考えはじめることもある。

■【高齢期(60代~)】
・「親亡き後」が現実になる。親に代わって本人の保護者となる。同居は難しい。
・自分も高齢になり、健康上、生活上で様々な問題がでてくる。「きょうだい亡き後」の不安も抱えている。親と高齢の本人の介護、死別などと向きあう。
・きょうだいとしてのアイデンティティ(自分自身感)のゆらぎを感じることもある。

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