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#9 みんなが大嫌いなシロアリについて

私たちのような不動産仲介会社は、住宅を見る機会が多く、過去にはシロアリの被害にあった住宅も見てきました。シロアリと聞くと嫌なイメージしかなく、できれば会いたくないし、見たくないです。

今回はそのシロアリについての記事になります。あまり知識がないので、詳しく知りたいと思い記事にしました。

日本にはどんなシロアリいるのか?

まず、日本にはどのようなシロアリがいるのかみていきます。住宅に被害を与えるものは主に3種類とされています。

・ヤマトシロアリ
大きさは4〜7mm、北海道の北部を除く日本全国で発生
被害件数が最も多いと言われている、巣から10メートル程の範囲で生活

・イエシロアリ
大きさは7〜8mm、千葉県以西の海岸線に沿った温暖な地域で発生
被害が大規模になりやすい、巣から100メートル程の範囲で生活

・アメリカカンザイシロアリ
大きさは7〜10mm、関東を中心に増えている寒さに強く、本州の各地に点在するため、今後各地に分府を拡大する傾向

日本にいるシロアリの殆どがヤマトシロアリとイエシロアリになりますが、この3種類のシロアリは大阪でも発生する可能性があり、可能性としては
ヤマトシロアリ>イエシロアリ>アメリカカンザイシロアリの順番となります。まずはヤマトシロアリかどうかの確認から始めましょう。

いつ気づくのか?

ほとんどの方はシロアリを見たことが無いかもしれません。それもそのはずで、シロアリは人目につく場所にほとんど現れません。地中(土の中)で生活しているので、庭いじりなどをしない限り見かけることは、ほぼ無いかもしれません。庭などがなく、建物の周囲はアスファルトで舗装されているというような場所であっても、アスファルト舗装は歩道であればアスファルトの厚さは5cmあるかないかで、車道であっても10cmあるかないかです。その下は土な訳で、そこに巣を作っています。(家の中の木部に巣がある可能性もあります。)ですので、シロアリに気づくには被害にあってからか羽アリの群飛期に気づくというケースが多いのではないでしょうか?この羽アリの群飛期というのは、巣がいっぱいになったら、外に出て次の棲家を探すという時期です。この時期だけはシロアリの羽アリが人前に姿を現します。

私も実際、シロアリを発見したことが何度かありますが、どのケースも春から夏にかけてこの羽アリが飛んでいるのを見つけ、何の虫か調べるアプリで写真を撮り、ヤマトシロアリの可能性がありそうという判定だったので、保健所に持っていきました。そこでシロアリであるとほぼ確定されました。
下記はそれぞれの羽アリの群飛期です。

ヤマトシロアリ:4~5月の昼間

イエシロアリ:6~7月の夜に群飛して電灯に飛来

アメリカカンザイシロアリ:6~9月の昼間に数回ずつ何度も群飛

シロアリが多い地域や場所はあるのか?

どこにでもいるシロアリですが、特にシロアリが多い地域や場所は有るのでしょうか?色々と調べてみると下記のような場所には他と比べると若干多いのではという意見があったので、記載しておきます。

  • 山林を開発した住宅地

  • ジメジメした土地

  • 周辺に雑木林や公園がある

これらの地域や場所も他と比べると若干多い程度であるらしいので、この場所を避けたから大丈夫ということではありません。どこにいてもシロアリは普通にいるので、どこにいても被害に遭う可能性はあるということです。

どのような被害が出るのか?

シロアリは木材の内部を食べます。また、木材だけでなく、ダンボール、プラスチックや合成ゴム製の新建材も加害し、特に発泡スチロールや発泡ウレタン系の断熱材については、木材より好んで加害される傾向があります。金属でも比較的軟らかい鉛や薄板は食害の対象となり、ときには煉瓦やコンクリートにも穴をあけることがあり、コンクリートの割れ目を拡げたり、給排水管との隙間を通って建物内に侵入します。私も調べる前は「木だけでしょ?」と思っていましたが、結構なんでも食べるんですね。

ヤマトシロアリは、日当たりの悪い、湿気の多い、割と暖かいところに多く見られるようで、「 台所、洗面所、トイレ、風呂場、床下、玄関まわりなど」に多く、換気の悪い床下では、土台や床束などに被害が多く発生するようです。イエシロアリの場合は、水を運んで湿しながら加害するので、被害はやがて建物全体に及ぶこともあるようです。

シロアリ自体に家を倒壊させられることはまずないと思いますが、シロアリ被害によって家の倒壊リスクは高くなるでしょう。シロアリが木材を食べることで、柱や梁などの構造材が弱くなり、建物の強度が低下し、放置すれば床がぶかぶかしたり、主要構造材が空洞になったりして耐震性に問題が生じ、地震などの災害で倒壊する原因になる可能性はあります。実際、阪神淡路大震災では倒壊した建物の多くがシロアリ被害にあっていたという報告もあるようです。

被害に遭う確率はどんなもの?

シロアリ被害の確率については、2013年に国土交通省の補助事業として行われたシロアリ被害実態調査報告書で調査・考察されています。その結果は下記のようになっています。

・築10年未満の建物では、被害発生率は5%
・築15年以上では、10%を超える
・築20年~30年では、約20%

ただし、これは木造住宅のみでシロアリ施工の保証が切れ、再施工しなかった物件5,000件程度の築年数ごとのシロアリ被害率となり、2013年のデータとなりますので、参考程度にお考えください。

昔に比べ被害率は減っていますが、ごくまれに発生するというような被害率ではありません。いつ自分の住宅に起こってもおかしくない確率でしょう。

鉄骨造の家はどうか?

「鉄骨の家は流石に大丈夫でしょ?」と私も考えましたが、そのあたりはどうなのでしょうか?結論から言うと鉄骨造は柱などの構造部材が食害を受けるわけではないので、建物の強度という面では安心できるようです。しかし、室内の内装材は木材でしょうし、木材が全く使用されていない家はほぼないと思いますので、鉄骨造だからと言って被害に遭わないということはないでしょう。

発見したらどうすれば良いのか?

見かけた場合はできるだけ早く駆除を行いましょう。巣から飛び出した羽アリだけを市販の殺虫剤などで駆除しても意味はありません。巣には数万単位の働きアリや兵隊アリが残っていますので、十分な知識や機材等を持った専門業者に依頼して駆除してもらいましょう。信頼できそうな業者数社に見積依頼することをお勧めします。

何か対策はあるか?

自分でできる対策といえば主に下記のようなものになるでしょう。

  • 床下の状況を確認する

  • 屋根裏に雨漏りがないか確認する

  • 常に浴室を換気する

  • 玄関に水を流さない

  • 普段使うものは押し入れの下段に入れる

  • 排水管の水漏れがないか確認する

このようなことが考えられますが、多くは防除処理の保証期限が切れてから数年の内に被害を受けてしまうのが実態なので、専門家による定期の床下点検を充実させるとともに、再処理を含めたメンテナンスを適切な時期(5年程度)に実施することが被害や被害の再発を防ぐ上で最も重要なことになります。

まとめ

シロアリはゴキブリから進化した虫です。それこそ日本中どこにでもいて、住宅に被害を与える嫌われ者ですが、自然界においてはセルロースの分解に携わる重要な働きを持っているようです。もし、シロアリがいなくなってしまったら地球上の生き物同士のバランスが崩れ、私たちの生活も成り立たなくなってしまうようです。そこだけ見れば、シロアリの方が役に立っているのでは?と思ってしまいます。人間目線でいうと、都合は良いですが、シロアリには絶滅してもらっては困るが、私の木造の家には入ってこないで!ということです。

今回の記事を書くためにシロアリについて色々と調べましたが、シロアリというリスクをある程度知ることができ、過度に恐れる必要はないと思いました。火災は起こるものだし、事故も起こるもの、そのように理解しているし、自分だけでは防ぎようがないので、みんな火災保険や自動車保険に入ると思うのですが、シロアリもその感覚に近いと思います。

被害にあうときはあうので、そうならないように防除処理をする。保証期間が切れる前に専門家による床下点検を行ったり、再処理を含めたメンテナンスを行うことで、被害に遭う確率をかなり減らすことができるでしょう。では、なぜみんなそうしないのでしょか?

それは、シロアリについてよくわからなかったり、シロアリが発見しづらかったり、シロアリ駆除業者の過去の事件のせいでなんとなく悪いイメージがあったり、いるかいないかもわからないのに点検なんてしたくないだったり、点検や防除処理に払うお金をもったいなく思ったり、点検して本当にいたらどうしようだったり、本当に様々な要因や理由があると思います。ですが、ある程度シロアリやシロアリ被害の現状を理解することができれば、その対応も少しは変わるのではないかなと思います。

私もシロアリについては、よくわかっていなかったのですが、今回調べたことにより、ある程度シロアリやシロアリ被害の情報や状況、現状などを知ることができました。今回のこの情報を今後の営業活動や物件調査に活かしていきたいと思います。

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