シン仮面ライダーを見た男の怪文書①

1.はじめに
 初投稿です。いろんなもんの感想とかを言っていこうと思う。
 今回の怪文書のネタは『シン仮面ライダー』。ネタバレを豊富に含むので鑑賞された方は回れ右で、どうぞ。率直な本作の点数をまず個人的につけたので申し上げると75点。ちなみに『シンウルトラマン』は90点、『シン・ゴジラ』は85点と考えている。その理由とか諸々を次からお話しよう。

2.なぜ『シン仮面ライダー』は傑作とは言いにくいのか?
 まず『シン仮面ライダー』は傑作ではない。(個人の感想です。)他の庵野秀明氏が制作に関与した作品も作品に落とし穴があるものですが『シン仮面ライダー』にはそれが顕著に見られる。その落とし穴を大きく2つ挙げてみようと思う。
 まず第一にカメラワークの問題。ちょくちょく原作再現なのかただの失策なのかよくわからない部分がある。
 例を言うとまず最初のクモオーグと手下に囲まれた際の謎ワープ、いきなり場面が切り替わったのでどこか見落としてしまったのではないかという不安になってしまった。(おそらく原作もちょくちょく謎ワープをかますのでオマージュと映画という2時間に作品を納めなくてはならない事情に対する答えなのだろう。)
 前述のものはまだ養護できるのだが問題はここから。二号こと一文字隼人との戦いでは工業地帯を舞台とした空中戦を繰り広げた。シチュエーションとしてはアツいのだがカメラはほとんど引きでしか収めていない。それぞれの顔がアップしたり拳がぶつかる瞬間を強調したり等一文字の戦闘力と本郷の自身の特性を活かしたクレバーな立ち回りを描く方法はあるはずだ。それにも関わらず今どき珍しいあたかもcgで合成しましたよ感ある引きの空中戦を見せられたものだから首をひねってしまったものだ。ここだけは失敗だと思っている。最後に物申したいのはトンネル内の群生バッタオーグ戦。もうとにかく暗くて見えない、優勢なのが敵なのかライダーなのかわからん!せっかくスピーディーな殺陣をしているのがうっすらわかりかけているのに勿体ないのだ。あまり庵野秀明氏の作品でカメラワークに文句をつけることはないのだが今回は仮面ライダーに対する彼の熱い思いが裏目に出てしまったのではないかと推察せざるを得ない。
 大きな落とし穴の第二は「作品世界のスケールのコンパクト化」である。前に引き合いに出した「シン・ゴジラ」「シンウルトラマン」、この2作は共に日本人、ひいては地球の存亡をかけて戦うキャラクターの心にうたれる作品となっている。しかし「シン仮面ライダー」はそういった「人類の危機」感があまり表現しきれていないと感じた。
 原作となる「仮面ライダー」は敵組織「ショッカー」が世界征服を目論んで人類を洗脳したり暴力で服従させるという明確な目的を持った敵がほとんど一枚岩で活動している。それに対し「シン仮面ライダー」のショッカーはトップがAIな上に目的が「人類の最大幸福」というざっくりすぎるものに対して活動している。そのうえやり方はそれぞれ幹部のオーグがバラバラで組織と言っていいのかすら怪しい代物。世界征服という目的が現代では陳腐なもの故のリファインとは想像がつくが原作の「人を守るヒーロー」像がシン仮面ライダーでは出にくいのが残念に感じる。

今回はここまで。長くなって申し訳ない。ボロクソに書いたのだが正直映画なんてものは全体から何箇所か好きな場面があればそれは上等という思想なので次回はここすきポイントをお話する回にしようと思う。

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