見出し画像

CSKAモスクワは監獄ではない

こんにちわ。おろしすきーです。

相変わらず全部読めますが、読んでみて良かったら、一番下で投げ銭お願いします。

 いよいよ西村拓真選手のCSKAモスクワの移籍が決まりましたね。CSKAでは2013年まで在籍の本田圭佑選手以来、4年半ぶり。ロシアプレミアでは、2015年にウファに在籍した赤星貴文選手以来になりますね。

 しかし、このようなニュースが出ていました。

 これどうですかね。このリリースが出たときは、まだ移籍も決定していないにも関わらず、「幽閉」などという言葉が出てくるのは、CSKAモスクワを気にかけている方々にとっては、あまり気分がいいとは言えないと思います。気になった部分をクローズアップしたいと思います。

CSKAモスクワの立場を考えているのか?

 本田圭佑選手の移籍報道でも感じられたことですが、メディアや大衆は、本田選手が欧州4大リーグへのステップアップに期待をかけて、すぐにでも実現するかのように盛り上げていたのを覚えています。

 しかし、それは本田選手の立場だけを考えたものばかりで、CSKAモスクワの状況について、ほとんど触れることはなかったと思います。

 2011-2012シーズン冬のラツィオとの交渉では、ラツィオの提示額とCSKAの要求額に開きがあったため、交渉はまとまらず破談で終わりましたが、ラツィオの提示額は、当時で1300万ユーロ(約13億円)の分割払いと言われていますね。

 2010年のCSKAモスクワが、オランダのVVVフェンロから獲得した際は、900万ユーロ(約12億円)で獲得しています。しかし、移籍報道のほとんどは、CSKAモスクワがVVVフェンロから獲得した金額に触れていませんでした。CSKAの立場からすると、高額な移籍金で獲得し、欠かすことができない主力として活躍した本田選手を、安い移籍金で放出しようとは、まず思わないものです。CSKAモスクワの要求額は1600万ユーロ(約16億円)と呼ばれていますが、元々の獲得額から考えると、CSKAが妥当のようにも思えます。分割払いも相手の立場を考えると、好意的に受け入れられるものとも思えません。

 この後も移籍のニュースは多くありましたが、結局は2013年末の契約満了後にACミランへ移籍するまで、CSKAモスクワでプレーしていました。それまでCSKAモスクワが満足する金額を提示するクラブが無かっただけでしょう。本田選手を獲得したいなら、CSKAモスクワに後釜を獲得させるくらいの金額を提示することこそ、交渉するクラブには必要だったのでしょう。

4大リーグへの移籍は本当にステップアップか

 あらゆる反応を見ていて思ったことですが、移籍する前からCSKAモスクワからのステップアップを考えている方が見受けられました。少し引っかかることですが、「ステップアップ」というのは、どういう定義があるのでしょうか?

 CSKAモスクワとは、ロシア・プレミアリーグの優勝を争い、UEFAチャンピオンズリーグの常連です。調子が良ければ、決勝トーナメントに進出できる強豪チームです。

 本田選手がラツィオへの期待をされた方が多かったですが、私にはラツィオへの移籍がステップアップだと思いませんでした。当時のラツィオはCLから遠ざかっており、近年の欧州カップ戦での実績は、CSKAモスクワの方が上回っていました。上回っているのはリーグランキングであって、クラブのランキングとは言えるものではないと感じます。

 ただ、CSKAモスクワよりも欧州カップ戦の実績が乏しいクラブへ移籍する選手は、決していないわけではありません。2016年には、アーメド・ムサ選手が、プレミアリーグ初優勝したばかりのレスター・シティへ、当時のクラブ最高額の1660ポンド(約22億円)で移籍しています。

 CSKAモスクワと当時のレスターのどちらが強いのか分かりませんし、実績で言うとCSKAモスクワの方が上でしょう。しかし、CSKAモスクワを納得できる金額をレスターが払ったことには違いありません。

 ステップアップの定義をしっかり決める必要は私はあるかと思いますが、欧州カップ戦での実績を重視するものであれば、ムサ選手はステップアップと言い難いでしょう。

4大リーグが全てならフリーで移籍しましょう

 最も4大リーグこそ至高と考えるならば、最初からロシアプレミアや、最近日本人選手が多く移籍しているベルギーリーグは断ればいいと思います。仮にこれらのクラブが移籍金を満額払うようなことがあっても、全部断ってしまいましょう。

 所属のクラブとの契約を満了した後に、4大リーグのクラブへ売り込んでみた方が良いのかもしれませんね。日本代表に選ばれる、もしくは将来の日本代表候補でしたら、喜んで獲得してくれるかもしれません。

 ただ、移籍金がかからない補強だけに、昇格組のクラブなど、資金力も戦力も恵まれないクラブが獲得する程度でしょうし、そのクラブも「当たればラッキー」と思う程度のお試し感覚だと思いますが。

お金が払えず、仰々しいのでは、格好がつかない

 欧州のビッグクラブに在籍しながらも、中国のクラブへ移籍する選手が、ブラジルやアフリカの選手には見受けられます。サッカーファンとしては「まだ若いのに中国へ行くなど勿体無い」など思われるかもしれませんが、選手生命が短いサッカー選手が、一度に莫大な金額を得られる機会は、決して多いとは言えません。

 選手の価値観は様々ですが、やはりお金を多く出してくれるクラブの存在は大きいことには違いありません。そのうえで選手の待遇もきっちりしていて、設備も新しくなるなど、環境も良ければ、それまでのブランドイメージは関係なく、選手は移籍するものではないかと思います。

 世界に名高い名門こそ、太っ腹でいてほしいと思います。それまで築き上げたブランドをかざしても、お金を出さないと格好がつかないでしょう。CSKAモスクワが満足を出せないクラブへの移籍が、ステップアップと言えるのは、どういったエビデンスがあるのでしょうか?

 ただ、日本の場合は、極端に4大リーグに傾倒しているのでしょうね。実力、環境、資金など、どれほど向上させても、越えられないヒエラルキーが存在するみたいです。

「ロシアには何でも言っていい」と思っていないか?

 本田選手の名誉のためですが、移籍できなかったとはいえ、CSKAモスクワでベストを尽くしましたし、移籍を希望しても、決してチームを批判することを言いませんでした。心中は分かりませんが、「交渉がうまく行ってほしい」と本人が思っていても、「CSKAが出してくれない」というのは、飛躍し過ぎなように思えます。

 CSKAモスクワのように、移籍交渉が上手くいかずに破談で終わっても、「監獄」「幽閉」など言われるのは、おそらくロシアだけではないでしょうか?同じような4大リーグで起きても、「監獄」と呼ばないといけないと思いますが、人間は特定の先入観に左右されてしまうのか、なかなか一貫性持った言動はできないものです。

 スポーツメディアにとっても、ロシアかイタリアのどちらに本田圭佑選手が在籍したら良いかといえば、やはり日本でのファンが多いイタリアにいてほしいことには違いありません。移籍交渉破談にしても、ファン受けやイタリアに関わる人間の数を考えると、イタリア側を悪くは言えないだろうと考えられます。

 ロシアサッカーやCSKAモスクワのファンからすれば、交渉破談を「監獄」「幽閉」「軟禁」など言われるのは、理不尽極まりないと思います。しかし、日本でのファンが少ないだけに、好き放題に言われてしまうのかと感じられます。

 だから、先日W杯が行われていても、「人工芝だから」と言われてしまうのかもしれません。最近行われたことでも、自分にとって信じたい情報でなければ、無かったことにされるのは多々ありますからね。

せっかくなら好きになってもらいたい(追記)

 本田選手が在籍していた頃は、日本でもスカパーで放送されていたこともあり、たくさんの方々が見ていたと思います。

 ただ、せっかくロシア・プレミアリーグでプレーしているのに、メディアは本田圭佑選手についてしか触れられず、あまり深く掘り下げることはありませんでした。おそらくサッカーファンの多くも、日本人がプレーしているから見ているだけに過ぎなかったのでしょう。

 別に日本人選手を目的として観戦すること自体は否定はしませんし、移籍したら見なくなるのは当然だと思います。

 ただ、セリエAなど、4大リーグへ行けないからといって、選手をサポートしたクラブに対して、「監獄」「幽閉」などと言うのは、足蹴にする行為も同然で、ロシア・プレミアリーグを楽しむものとしては、とても悲しいことですし、ロシアサッカーの魅力を伝えたいと思う身としては、風評被害も同然です。

 日本人選手を中心にしか見ておらず、日本のメディアのフィルターを通したに過ぎない報道を見て、CSKAモスクワやロシアが一緒くたにされては、ごく限られたものしか見ることができませんが、「木を見て森を見ず」も同然でしょう。

 せっかくロシアでプレーすることになったのだから、ステップアップは活躍したあとで考えることにして、まずはロシアに興味を持ってもらいたいですね。CSKAモスクワのチームメートや、ライバルチームのゼニト、スパルタクなどにも触れて、ロシア・プレミアリーグを楽しんでいただけたら嬉しいと思っています。

ここから先は

0字

¥ 150

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?