令和2年司法試験刑事系第1問設問1

※規範や文言の使い方などケッコー適当です。厳しくみないでいてくれると嬉しいです(笑)

0.はじめに

まず1発目は刑法です。刑事系はずーーーっと苦手で、また、周りが刑法が得意な方が多い分、相対評価である司法試験での成績は全然期待していませんでした。

しかし、蓋を開けてみると、めっちゃよかったっていう。受けてみないとわかんないもんですね。苦手だったから、演習の授業などを積極的に取って頑張ったのがよかったかもしれないですけど。

ちなみに、刑法は不得意というだけでなくて、苦手でした。「違法性が連帯する??とは??」って感じで、短答の論理問題も「この説を採ると…?ん??わからん!!」って感じで解いてました。ひとえに論理的に考えるのが苦手なんだと思います(法律家として致命的では?という指摘は悲しくなるので言わないでください泣)。

まあそんな感じで、刑法はあまり期待せずに受けたわけですけれども、感触としては、なかなか解けたのでは?という感じはしていました。早速問題のほうに移ろうかと思います。

1.設問1

どのような問題か、自分の言葉で説明するのがめんどくさいので出題趣旨から拝借。

「甲がAから依頼されたBに対する貸金債権(以下「本件債権」という。)の回収に際し,その金額は500万円であるのに,600万円であると水増ししつつ,自身が暴力団組員であると装うなどしてBを畏怖させ,D銀行E支店に開設された甲名義の預金口座(以下「本件甲口座」という。)に600万円を送金させた行為について甲に成立する財産犯に関し,被害額が600万円になるとの立場と100万円になるとの立場のそれぞれの理論構成を検討させた上,甲に成立する財産犯について検討」させる問題でした。また、損害額が600万円になる立場①と、100万円になる立場②の両方に言及する必要がありました。

問題を見て、「あ~正当な権利の範囲内であれば、方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度を超えない場合は、違法性が阻却される的なやつだ。」と思いました。

②の構成としては、②500万円の貸金債権の回収につき、正当な権利の範囲内であると考える場合には、その範囲については違法性が阻却されるが、500万円を超える100万円については違法性が阻却されず、恐喝罪が成立するとしました。

①の構成と自己の見解としては、600万円に全体に恐喝罪が成立する、としました。まず恐喝罪の構成要件を充足することを述べたうえで、違法性についての検討のところで、500万円については貸金債権を有していることから、正当な権利行使の範囲内であるとして、違法性が阻却されるか、というような問題提起をした気がします。

そのうえで、判例の規範を述べた後に、貸金債権を有していたとしても、方法として、自身が暴力団組合であるかのように装い、組員が、BやBの家族に危害を加えるといったことを暗にほのめかせて取り立てる行為は、社会通念上認容されるものではないから、違法性は阻却されない、としました。

以上がおおまかな流れですが、ほかには、恐喝行為の中身で嘘をついていることから、詐欺罪と恐喝罪どちらが成立するかという論点について、詐欺罪は恐喝罪に吸収されます~的なことを書いたと思います。

ちなみに、銀行の送金だったということを失念して、249条1項で書いた気がします(多分)。

2.出題趣旨

出題趣旨を見てみると、

「甲に成立する財産犯が,恐喝罪か詐欺罪かが問題となり,両罪の区別基準を示した上,具体的事実を摘示して当てはめを行う必要があるところ,判例の立場(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号83頁)に従えば,Bが甲を暴力団員であると誤信した点は,Bに畏怖の念を生じさせる一材料にとどまっているため,甲に成立する財産犯は恐喝罪と考えられる。」

→この点について触れはしましたが、両者の区別について判例の規範は出せませんでした。

「この場合,恐喝罪の客観的構成要件要素として,まず,『脅迫』の意義を正確に示した上で,具体的事実を摘示して当てはめを行い,次に,Bの『畏怖』,そして,これに基づく600万円の送金事実を摘示した上,Bと甲との間に現実の現金移転がないことから,同事実が,『財物を交付させ』たことに当たるのか,『財産上不法の利益を得』たことに当たるのか,すなわ
ち1項恐喝罪と2項恐喝罪のいずれが成立するかについて,自説を根拠とともに簡潔に論じる必要がある。また,主観的構成要件要素についても検討する必要がある。」

→恐喝罪の構成要件については、要件を出して解釈を示し、具体的にあてはめしたと思います。ただ、送金させたことで財物を交付させたにあたる、として1項のほうで検討したのか、ちょっとあんまり覚えてないです…。

「ところで,本問では,甲に成立する財産犯である恐喝罪の被害額(1項恐喝罪の場合,「財物」に当たる現金の金額,2項恐喝罪の場合,「財産上の利益」に当たる預金債権の金額)が,①600万円になるとの立場(以下「①の立場」という。)及び②100万円になるとの立場(以下「②の立場」という。)双方からの説明が求められており,それぞれの立場の理論構成を根拠とともに論じる必要があるところ,甲は,AからBに対する本件債権の回収権限を与えられ,その権利行使に際し,恐喝的手段を用いてBから弁済の趣旨で600万円の送金を受けているため,本件債権額の範囲内については権利の行使といえるから,その範囲内についても恐喝罪の構成要件に該当するといえるか否かが問題になる。この問題については,恐喝罪の保護法益の内容や同罪における「財産上の損害」の要否及びその内容に関する理解が重要な前提となる。すなわち,①の立場からの説明としては,権利行
使に際し恐喝的手段が用いられている場合,a.債務者の占有の適法性や要保護性を問わず,600万円全体について占有侵害が認められるとの説明や,b.同罪を個別財産に対する罪と捉えた上,甲の恐喝行為に基づくAの交付行為により600万円の現金ないし預金債権が失われたことから,600万円が「財産上の損害」に当たるとの説明等が考えられる。」

→…ん???まったく書いてないです泣

「他方,②の立場からの説明としては, 権利行使に際し恐喝的手段が用いられている場合でも,c.債務者には履行遅滞に陥った債務の金額を適法に保持する正当な利益を欠くとして,債権額を超過する100万円の限りで法益侵害が認められるとの説明や,d.500万の範囲ではBが金銭を交付することによって同じ金額の債務が消滅するため,実質的には100万円の限度で「財産上の損害」が生じているとの説明等が考えられる。」

→同上泣

「さらに,甲は,Aから与えられた本件債権の回収権限に基づいてその弁済をBに請求しているため,その行為について,違法性が阻却されるか否かも検討する余地があるが,甲の請求額は,本件債権額を100万円も超過し,かつ,甲がBに恐喝的手段を用いる緊急性はもとより,必要性も相当性もないため,違法性が阻却される余地はないと考えられる。」

→緊急性等については考慮していませんが、一応ここについては触れました。

3.コメント

出題趣旨に触れられていない点が多くありましたが、以下の点はできたかなぁと思います。

・恐喝罪の構成要件について、解釈をしめして、しっかりあてはめをしたこと

・詐欺罪と恐喝罪との関係に触れたこと

・違法性阻却の点に触れて、①・②の見解を展開できたこと

そんなに出来は良くないかなぁと思ったのですが、ここの配点があまりなかったんでしょうかね。

長くなったので、設問2と3については、違う記事にすることにします!

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