アケコン天板適正

アケコンを自作してきて感じた素材の適正に関する覚書。作る時の参考になれば

評価のポイントは以下の通り
・加工のしやすさ
・耐衝撃性
・耐久性

アクリル:▲

加工の面倒さ、耐衝撃性の低さ(要は対台パン強度)から正直アクリルは微妙と言うのが結論。
強度を出すためには最低でも5mm以上の厚みが必要で、5mmでは10キロのダンベルを片手で持てる程度の男性が軽く台パンした程度で割れる。
また板厚が5mmを超えるとはめ込み式のボタンが使用できず、ネジ式ははめ込みに比べてボタン間の隙間を多めにとる必要があるため部品に制限ができる(三和でクリアなどのボタンははめ込み式しか取り扱いが無い)

ABS樹脂:◎

加工のしやすさ、強度、耐衝撃性において優れている。それでいて安価に手に入るのもポイント。欠点としては軽量なため、重量が必要な場合は重りなどを仕込んで重量を確保する必要がある。
それなりの強さで台パンしても厚み1mmでも壊れない。レバーレスなら最適の素材と言えるが、横方向に力がかかるレバーでは強度に不安は残る。
レバーレスには最適、レバーなら別の素材を検討。
薬品、油など、有機溶剤以外の一般的にプラスチックが避けるべきと言われるものに対して強い耐性を持つが長時間の日光で劣化するため、車内放置は厳禁

ポリ塩化ビニル(塩ビ):〇

意外かもしれないが、3mm以上の厚みであればレバーレスアケコンならば強度を担保できる。
ホームセンターや通販で容易に調達でき、加工も比較的簡単で天板として使うなら非常に優秀な素材。
透明度、耐衝撃性、薬品耐性など、地味に色々と強いが熱に弱く、カイロの発熱程度で変形してしまう恐れがある。
また地味に比重がポリカーボネートよりも重い。

ポリカーボネート:〇

専用の設備無しで加工できる素材の中では最強の強度を誇る。
5mm程度の厚みがあれば鉄板並みの強度を得られる。機動隊の暴徒鎮圧用の盾に使われるだけのことはある。
ただし、安物の工具では加工に時間がかかったり、破損する可能性があるのでそれなりにいい道具を用意する必要がある。
加工の難しさを除けば天板には最適と言える素材ではあるが、問題はポリプロピレンの3倍ほどの価格。レバーを搭載する場合は強度の不安を考慮しポリカーボネートを検討してもいいのかもしれない。
なお、レバーを搭載する際に補強として使うのも一つの手。
熱、衝撃には強いが酸、アルカリ、有機溶剤には弱い。ステッカーをはがす際にはアルコールなどを使う必要がある
また、高温多湿状況下にて加水分解の可能性があるため、車内放置には注意したい(先に基盤が逝きそうだが)

鉄、鋼材:▲

強度、重量、耐衝撃性において申し分なく、レバーでもレバーレスでも適している。
加工には設備や道具が必要となる上に天板用となるとそれなり以上に高価になるため、カジュアルに使うものではないというのが私見。
素材としては最強格だが、自前で加工設備と加工の道具が無い場合はオーダーメイドとなり、またステンレス製天板を販売してくれるサイトもあるが、1つ最低5千円からと樹脂製に比べて高価なのがネック。
既存のアケコンを改造する場合はステンレス製天板を購入すればいいが、完全自作をする場合オーダーメイドが必要になる。その場合、価格は跳ね上がるためコスパは最悪の部類と言える。

MDF合板:〇

とにかく安価で手に入る上に適切な道具さえあれば加工も非常に楽でそこそこの強度が出る。ダイソーなどで手に入る6ミリ厚で強度は十分だが、水分に弱いという欠点を持つため天面をニスや塗料、透明なシールなどで保護する必要がある。また、加工の際に木の繊維が飛び散るので対策が必須となる。ドリルも木工用のものを使用するのが望ましい。

OSB合板:△

安い、加工しやすい、強度が出るの3拍子。MDFとは違い水分への耐性もあるが、木の破片を接着剤を使って圧縮加工しているだけあって表面がささくれやすく、また木片の剥離も起きやすい。
厚みも9mm~であるため、はめ込み式ボタンを取り付けるには取り付け部分を削るなどの工夫が必要。
素材としては安価で安い工具でも加工できる上に素人でも気軽に扱える、ホームセンターで必要な大きさにカットしてくれると言ったメリットも多くあるが、一方でささくれや剥離などから使用中けがをしてしまう可能性があるため、ニスやレジンなどを使って処理をするのが必須となる。
見た目にDIY感が出る上に、見た目もカッコいいが、ちゃんと処理をしないと物理的に痛い目にあう可能性が高いことに注意が必要。

木材:種類による

ホームセンターで気軽に手に入る上に加工も容易、素材をきちんと選べば強度も出る上に美しい木目と言うことが無い。
ただし良い素材はそれなり以上に高価であり、また表面の艶出し、防水用の加工なども必須となるため扱いは多少難しい。
また、ベニヤや合板でもない限り販売されている板の厚みは1cm以上になるため、ボタンの取り付けに苦労する場合もある。

桐:△

非常に手軽に手に入るし物理的にも軽く、更に安価ではあるが、木材の宿命として手汗対策の処理は必須。
また柔らかく、湿気に弱く反りやすいため天板として使うには最低でも9mm以上の厚みがあるものである必要がある。
無処理状態の手触りは非常に良いが、処理をしないとすぐダメになってしまうことに注意が必要。
安価で手に入るなら加工の容易さからボタン配置実験用としては優秀。

パイン材:〇

桐よりも強度があり木目が美しく加工も容易。また、桐よりは手汗にも強い。
表面を軽く目の細かい紙やすりで処理してやるだけで手触りも良くなる。
ただし、やはり長期間使用するには何かしらの処理が必要となる。
厚みも販売店により違うため、適切な素材が手に入るかは運ゲーでもある。

ベニヤ:◎

薄くそれなりに強度があり非常に優秀。また、複数の木材を張り合わせている都合上レバーのような異なる方向に力が加わる状況にも強い。
4mm厚も販売していることが多いためはめ込み式のボタンが使えるのも特徴。
ただし、端がささくれやすいものが多く、また表面も紙やすりできちんと処理をしないと物理的に痛い目にあいかねないのが欠点。
また、ベニヤと聞くと何となくチープなイメージが付くためそこも欠点と言えば欠点である。

オマケ:木材の表面処理について

木材を保護するにはニスで保護するか塗料でコーティングするか、オイルで処理するという方法がある。
ニスの場合、240くらいの粗目の紙ヤスリで全体をやすり掛けした後にニスを塗り、乾燥後に400番くらいでやすり掛けをした後再度ニスを塗り、再びやすり掛けし、ニスを塗りと2,3回工程を繰り返した後に600番→1000番とやすりがけをすると非常になめらかになるが木材独特の手触りは失われる。

塗料の場合はニスと同様の手順で下地を作った後に塗装すると綺麗になるが、木材の風合いは失われる。

オイルの場合、ワックスか液体のオイルの2種類がありワックスのほうが手軽。
液体の場合は粗目の紙ヤスリでやすり掛けをした後にオイルを塗り、15分程度で一度ウェス(キッチンペーパーで代用してもいい)でふき取り、もう一度オイルを塗って濡れている状態で400番の耐水ペーパーで研磨し、研磨後にオイルをふき取るという処理をする。
ワックスの場合、ヤスリで処理をした後にワックスを刷り込み、布やウェスなどで磨く。
オイルは最悪スーパーで売ってる胡麻油でも代用可能で、ワックスは薬局で売っているワセリンでも代用可能。
木の手触りを維持しつつ耐久性を上げられるが、磨きが甘いとべたつく、定期的に塗り直さないと耐久性が落ちる、汚れに弱いと言ったデメリットが多い。

ニスの処理はそれなりに作業スペースや作業するための環境、道具(100均で大抵手に入る)が必要だが、一度処理してしまえばメンテナンスの必要はほとんどない。
ワックスの場合、ワセリンで処理するならキッチンペーパーとワセリンと紙やすりでも可能なため作業環境自体は用意しやすい。その一方で、定期的なメンテナンスが必要となる。


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