オリオンのかみ会議 第一回「酒」後編

夏山栞のターン

せ「それでは、夏山さんのに行きましょう!」

夏「わーー!よろしくお願いします!」

せ「わたしはもう大五郎でやられました」

t「や、これはびびりましたわたしも…大五郎…(*´Д`)」

夏「大五郎に恨みがあるわけではないです!!!!」

せ「でもわかる!!!!!!間違いない!!!!!」

t「内容もセンセーショナルでめっちゃ攻めててすごい!!!ってなりました…!あと、これ韻律もすごいなあ、と思いました。」

せ「韻律」

t「酔って騒/ぎたいだけなら/ケツの穴/から大五郎/飲んでればいい」

せ「ケツの穴と飲んでればいいだけが定型ですね」

t「言葉にするとすげえ……!」

せ「わかります。」

夏「www
これ実は普段から私が言ってる罵倒で、それをただ31文字にしました!という感じなんですけど、もうこの内容なら韻律ぐちゃぐちゃでいいや、と笑」

t「普段から言ってる罵倒www
これ、すらっと作ったとしてもすごいし、作り込んでてもすごい。」

せ「普段から言っている罵倒www
その他が定型なのがまた更にグッときますよね」

夏「『うるせえ!酒を味わう気のない奴はケツから大五郎飲んでろ!』ってよく愚痴ってます」

t「自分、崩すのめっちゃ怖いんですよ…さらっとけっこうやるべき場面転換できてるのがすごいなあ、と思いました。」

せ「その他の歌も凄いですよねえ」

t「三首めで社会性のある私と素のわたしがでてきますね。」

せ「ポーチライトの歌ね!」

t「で、三首目を読むと二首目の丸括弧がきいてくるかんじ……。」

夏「wwww
大五郎の件は間違いなく「わたし」の発言ですね」

t「そうですそうです!玄関に入ってなんというか、自分に戻れるのもいいですね。」

夏「あと密かに1首目の約束の相手も「わたし」の方だったり…」

せ「わたし逆に6首めの祖母の拍手がグッときましたね。」

夏「おっ!」

t「6首目うたの日でも見た気がします、これ良かったです…!」

夏「バレましたねw
6首目既発表で、これを軸に組み立てました」

せ「そうだったんですね!」

t「自分もあみものとかではよくやります、その連作の作り方www」

夏「軸になる歌ひとつあると作りやすいですよね……笑」

t「夏山さんのうたの日はけっこう見てます////←ストーカー」

せ「6首め、祖母の拍手という原風景とその時には想像していなかった今の自分とのギャップがあっていいなと思いました。」

t「あーー、ギャップわかります…。
あ、あと自分の思ったのは、じゃが芋の歌があるやないですか、二回出てくる。」

夏「ありますねえ」

せ「はいはい」

t「しあわせもむなしさも煮崩れたじゃが芋なのか…!と。」

せ「でもしあわせってこの連作ではあまり触れられてないところがまた。」

夏「そこは完全に実景なんですけど、私週末におかずを作り置きするんですよね。
それを平日にちまちま食べ進める時に、しあわせと虚しさを両方感じるという……確かに、触れてないかも笑」

t「や、煮崩れたかぼちゃとかをしあわせにたとえた表現はあるとしても、それ、むなしさなんや…!みたいな。でもじゃが芋っめ煮てくると削れてきて溶けてくるっていうか…3日目ですしね……。ローリングストーンみたいな感じか…確かになあ…と思いました…。」

せ「あー!それ!ローリングストーン感!」

夏「私だけ分かってないw」

t「なくなりますもんね…。なんか日々を消費してるんだ感。」

せ「転がれば転がるだけ削れていくっていう。ほんとは厚みがでるってことなんですけども。」

t「これ、上手いなあ…と思いました。や、自分は比喩だいすきにんげんなんで真似したいです(*´Д`)」

夏「あーーーなるほど、理解です、なんかアーティストの方を想像してしまった笑ひえーーありがとうございます…!」

せ「転がれば転がるだけ削れるけど旨味もでるんですよねえ。その2つの意味をちゃんと併せ持ってる感じがしますよね」

t「そこにはまったく触れてないですよね…スープとかにしたらまたちゃうんでしょうが。スープは幸せの象徴みたいだからなあ…あと、そんなこともないのかもですが、なんとなく温めてない感じも連想しました。お酒のアテやとなんか冷たいもののような雰囲気もあって…。」

せ「あ、わかるー!温めてなさそう感ある!」

夏「あー、冷蔵庫から出してきてそのまま的な」

せ「むなしさの形って言っちゃうところとか!」

t「でも、つめたいおかずだけの食卓って心がさみしくなる…お酒があっても……そんな雰囲気も上手いなあ、と(*´Д`) 温めてなさそうですよね!」

夏「温めてないイメージ自分では無かったので新鮮です、なるほどー!その解釈気に入ったので温めてなかったことにします(?)」

t「採用された!!」

せ「いえーい」

夏「この煮物は温めてなかった(結論)」

t「あ、それとまた韻律の話になるんですが、ラストもすごいなあ、と。」

せ「それでも食うことが生きてゆくことという。ラストいいすよね」

t「しあわせとむなしさも一緒わに食うしかないと。」

夏「食わないと生きていけないのでね。」

t「あとなにげにひとつの歌に「それ」3回もいうてるのもすごい。」

夏「全部飲み込むという結論としてはtoronさんの連作の最後と似てるけど、やっぱり雰囲気違って面白いなあと思いました」

t「飲んでて食べてるwww」

夏「全部飲み込むtoron vs 全部食う夏山」

t「夏山さんの主体は生きてる感がありますね…!」

せ「いやいやとろんさんのもありましたよ!おぜぜを稼がないと生きていけないし!」

夏「それですねえ」

t「たまに見せる生きてる感でギャップ萌え(*´-`)b」


満島せしんのターン

夏「せしんさんの行きます?」

せ「行きましょう!」

t「わあ、いきましょーー!」

夏「これタイトルが「キッチン」なので料理の連作かなとは思ったんですけど、いや台所で飲むんかーーーいってなりました、1首目」

せ「ふふふー初っ端から飛ばしてます」

t「キッチンドランカー、めっちゃ飲んではりましたよねwww」

せ「ビール、ジントニック、白、赤と飲んでますねえ」

夏「テトリスみたいに消したい、って分かるなあとも」

せ「テトリスわかっていただけてうれしいす」

夏「飲みすぎなこの主体…笑」

t「わりと心配しました。」

せ「心配される主体www」

t「でも、飯作れてるし、冷蔵庫にセロリあるレベルやし大丈夫かな、みたいな…。」

せ「判断基準そこwww」

夏「それ!冷蔵庫にセロリあるの、結構すごくないですか。私はそれ思ったの2首目のローズマリーなんですけど」

t「あ、でもちなみに自分は二首目のジントニックは現在やなくて、過去のことなんかな、と思いました。」

せ「なるほど」

t「なんか、ほんとはちゃんとしたひとなんやな、みたいな。」

夏「そうそう、料理する人で、きちんとしてて、でも今荒れている」

せ「荒れてますねえ」

夏「ちなみに私は2首目も現在で読みました」

せ「ふむふむ」

t「あ、ほんまですか…なんかオーバーラップしてるんかなあ、とも思いました。」

夏「10首通して調理の過程かな、と。でも過去の読みもいいなあ」

せ「わたしは全部通しても読めるし過去にいってもいいかなあと思いつつ詠んでます。」

夏「どっちも正解だった笑」

t「なんか、こう1首目の消したいセロリがその思い出と重ねてるのかなあ、とか思ってて二首目で納得してました////」

せ「どっちも嬉しいす」

t「作者ありがとうございます…!」

せ「この荒れてる主体についてどう思いますかね。飲みまくってますが。」

t「あと、こうせしんさんの短歌は、さりげなく世の中の心理みたいになってるのが上手いです…!(語彙)」

せ「世の中の心理???そりゃまた大きいすね」

t「酩酊しててもうまくいく
ひとつまみとひとまわしは適量

あー、なんか神が料理してるっぽいなあ、とかも思ったり…。」

せ「ふむふむ」

夏「あ、真理か!」

せ「ですね」

t「真理////失礼致しました…、」

せ「いえいえー」

夏「ww
わかる気がします、この荒れてる主体、読めば読むほど本当に日頃ちゃんとしてるんだろうなってじわじわ」

せ「じゃないとこの献立は立てれない?」

t「だって段取りかんぺきですもんね。」

夏「ですです!
・冷蔵庫にセロリがある
・アサリをちゃんと生きてるとこから調理してる
・酩酊してても上手くできる
・圧力鍋がある」

せ「むちゃんこ観察されとるwww」

夏「普段めちゃくちゃちゃんとしててしっかりしてる人が、どうしようもなく荒れてるタイミングなんだなと思います」

t「ほんとそうですよね…献立というか、段取りが…すごいダメージを受けてるけど、狂えない感じかなあ。」

夏「それそれ!」

せ「うわああああむちゃくちゃ読まれてる感じするー(赤面)」

t「そこで赤面www」

夏「www
これ3つ全てに共通するかもですけど、出来る女ですよね、みんな」

せ「ですね」

夏「せしんさんの主体は特に」

t「や、ほんまに段取りで人間わかりますしね…。みんな出来る女、いいですね…!」

せ「3人ともちゃんと仕事してますよね」

t「みんな社会で戦ってますね…!
あ、まだいえてないことが!」

せ「はいはい」

t「せしんさんのフランベの歌は自分めっちゃ好きです…これかっこいい…自分が真似したいです……!」

せ「いぇーいあざーす」

夏「あーーーわかります、かっこいい。
私もひとつ!」

t「をを…!」

夏「せしんさんの連作も、最後乾杯(=飲み食い)で締めてますよね。
なんかこう、三主体それぞれが、最後飲み食いで締めてるの興味深いなと思いました。」

せ「たしかに」

t「あーー、確かに。」

夏「まあ、テーマが酒なのでありがちっちゃありがちかもですけど…何となく面白いなと。考察とかは特にないんですけど笑感想としてお納めください」

せ「ちゃんと明日に向かおうとする姿勢があるという意味では3人とも前向きな収め方をしている、と」

夏「それだ」

t「なんていうか、話の結末的につけやすいのもあるんですが、例えばこれから誰かと飲みに行く、的な終わり方は誰もなかったとも思いました。」

せ「たしかに」

夏「ですねえ」

t「酒に逃げてるようで逃げてないですね。あと、戦うときはひとりだ、的な…。」

せ「うわーーーーそれ」

夏「明日また戦うための酒ですね。戦士だ………」

せ「我ら戦士ですよ」

t「せしんさんの主体すら依存してないですしね、これは…。」

せ「つおい」

t「われら戦士……!」

夏「不器用な女戦士……逆にこのメンツで恋愛系詠んだらどうなるんだと笑」

せ「不器用でも戦っていかねばね!」

t「これ、次の連作も楽しみです////」

せ「次そっちいきますか!」


と、いうわけで、次回夏山のフラグは回収されるのか……!?オリオンの紙、次号もお見逃しなく!