ご相談 その13. 「一」について教えてください。( 想望 )
僕:「ヒカリさん、僕のありったけの語彙で言うと、なんかすごいご質問! ありがとうございます!」
八幡様:「ヒカリさんのおっしゃる通りです。よくわかっていらっしゃいますね。一とは、全てです。すべては一つ。この話をするためには、一つの物語を語らなければなりません」
僕:「一つの物語、ですか? 」
八幡様:「はいそうです。もちろん架空の物語ですが、本当にあった話を組み合わせてここに記します。」
僕:「かしこまりました。じゃあ僕は邪魔しませんので、遠慮なくお願いします。」
八幡様:「承りました。『想望』これが物語のタイトルです。」
僕:「そうぼう?」
八幡様:「想望とは、心の中に想い待ち望むことを言います。
どうしても叶えたいことがあったとしても、そこに行き着くまでには相当な時間がかかります。あっという間に叶ってしまうことがない場合、それを心の底から恋焦がれ、待ち侘びるものです。
しかし、ただ待っているだけでは何も訪れません。
人はどう行動に移し、望みを叶えるための布石をどう打っていくのか。人との出会いが、それを加速していくこともあるでしょうし、自分自身の気づきが良い結果を導き出すこともあるでしょう。
今回の物語は、全ての登場人物が、想望です。ぜひ、お時間のある時にお読みいただければと思います。」
想望
作:八幡
プロローグ
私がこの山あいの小さな町にやってきたのは、中学2 年生の夏だった。苗字が変わって、竹山から、野々宮になった。竹山ジュンも気に入っていたが、野々宮ジュンもかわいくていい。
母はいつも、逃げたんじゃないからねと口癖のように言うけれど、逃げなかったら今の私たちはない。唯一の心残りは、父に壊されて燃やされてしまった私のクラリネットのことだ。かわいそうなことをした。
まぁ、そんなことはもう過ぎたこと。私はこの町で、私の生きる場所を探すのだ。
とか思いながら転校したものの、全然慣れない。転校前と比べると私のことを悪く言う人はいないからそれは嬉しいけど、視線が怖い。ずっと避けられているような感じもする。噂は流れているのだろう。訳アリってことで。
休み時間になっても、声をかけてくれる人はいない。お弁当を一緒に食べることもない。教科書を見せてくれることもない。私から距離を詰めることもない。こんな感じで半年間ぐらいは誰とも全く遊ばなかった。
引っ越してすぐ母が働き始めた町はずれの裁縫道具のお店には案外お客様が訪れるらしく、遠くから来た母子家庭の身の上話はお客の格好のおかずになるわけで。
「なるべく人気がなさそうなお店に決めたのに、なぜかひっきりなしに来ちゃうのよ。お客さん。」
とぼやきつつも楽しそうに仕事ができている母。私としては思いっきり忙しくしてくれている方が癇癪が起きにくくて助かる。
そのうち偶然、私に行きつけのお好み焼き屋ができた。その名も「はなちゃん」。わりと年季が入ったお店だ。行きつけになった理由は、そこのおばちゃんが通りすがりにいつも笑顔で私に声をかけてくれていたから。
とはいえ最初は軽く会釈するくらいだったが、おばちゃんのお好み焼きみたいなまーるい笑顔を見ていると、私もいつの間にか笑顔になっていった。
おばちゃん:「ジュンちゃん。あんた足細いねえ。ちゃんと食べてる? はなちゃんモダン、食べていきなあ。」
私:「そんなお金はないの。お腹も空いてないし。ありがとう。」
おばちゃん:「いいよお。お金なんて。転校祝いだから!」
そう言って、なにかとよく私を歓待してくれた。ちなみに、今までおばちゃんが作った、私へのお祝いの理由がすごい。
派手に足擦りむいた祝い
前髪切りすぎた祝い
バスに置いて行かれて遅刻した祝い
勇気を出して漢検受けた祝い
漢検準2 級が不合格祝い
告白できなかった祝い
告白できた祝い
すぐにフラれて泣いた祝い
などなど。とにかく私の大きな胃袋と、小さな心をいつも満たし続けてくれたのがおばちゃんだった。
プレゼント
「はなちゃん」に通い始めて7 ヶ月が経っていた。日が落ちて、粉雪が舞う帰り道。街灯が少ない町だけに、はなちゃんの赤い看板の灯りがすごく暖かく感じる。
なんとおばちゃんはその日、外で私を待っていた。寒いのに。私を見つけると嬉しそうに手を振り、まーるい笑顔でこう言った。
おばちゃん:「ジュンちゃん! 見せたいもんがあるんだわあ。さあ入って。」
ジュン:「え〜! なになに〜? 」
軽い気持ちでお店の暖簾をくぐると、テーブルの上には赤いリボンのかかった細長いケース。
おばちゃん:「これ、あんたにあげようと思ってさあ。」
ジュン:「こ、これって。。。」
すでに私は鳥肌が立っていて、この大きさのもので、この太さのものといえばあれしかないとわかってしまっていた。
箱についているリボンがなかなか解けず、なんだか手が震えてきてしまって止まらない。寒くて指がかじかんだということにして、おばちゃんに手伝ってもらってやっと開けることができた。
そう。クラリネットだった。
ジュン:「おばちゃん、なんでわかったの?」
おばちゃん:「そりゃわかるさあ。あんたの親指のクラダコ。相当練習したんだろ。なのに部活やってるワケでもなし。店でかかってる曲の中で、クラリネットの音が聞こえるとすぐに反応するし、何よりもあんたが音楽について語る時の目の輝きは尋常じゃないからねえ。」
おばちゃんは全てお見通しだったのだ。
リードケースから一枚抜いて、舌で湿らせる。ちなみに、この頃は10 枚に7 枚は粗悪品の時代だ。一発でいい音が鳴ったためしがない。
リードを咥えたまま、まじまじとクラリネットを眺めまくる。すると、ハゲかけた文字で、Hanaとあった。元の持ち主か。あ、この店の名前だわ!
おばちゃん:「このクラリネットはもう使わなくなったからねえ、誰かにあげたかった。そしたらあんたが来てくれたからさあ。」
ジュン:「おばちゃ〜〜〜ん!ありがとう。」
おかえり!
私は湿ったリードをマウスピースにリガチャーで装着し、ゆっくり息を吹き入れた。柔らかくて、かすれたいい音がする。
私が吹き始めると、おばちゃんは驚いた顔をして、すぐに下を向いた。程なくして顔を上げて、笑おうとしてるけど顔が引き攣っていて、しかも目が真っ赤になっていた。
そしていつも持っているオレンジ色のハンカチ(おばちゃんのラッキーカラー)で顔を無造作に拭き始めた。あら、泣いてる?
私はあまり気にせず、久しぶりに音を出すことが嬉しくて、覚えていた曲を数曲、気持ちよく吹いた。
しばらくするとおばちゃんはどうやら仕込みをはじめたようで、私はその邪魔にならないようにお店の奥に移動して、さらに吹きまくった。
夢中で吹いていて、わからなかった。
お店が満席になっていた。いつのまにかお客さんが私のうしろに座っていて、皆、黙って聞いていたのだ。私がクラリネットを下ろして振り返った途端、拍手の嵐だった。
歓声の中で、誰かが放った言葉は、
「はなちゃん。おかえり!」
だった。このクラリネットの持ち主であり、このお好み焼き屋さんの名前にもなった人。
同時におばちゃんが叫んだ。
「さあ今日はお祝いだあ! クラリネットが壊れてなかった記念! みんな、はなちゃんモダンでいいかい? 」
ただいま!
私は嬉しいやらドキドキやら、感動の気持ちでいっぱいだった。
またクラリネットが吹けるなんて。しかも、クラリネットをプレゼントされちゃって。こんなに幸せでいいの? わたし。
「上手だねえ!」「また聴かせてよ〜。」などと嬉しい声をかけてもらいながら私はクラリネットを大事にしまった。
そして私はゆっくりとお店を見回した。
お店の中心にある大きな鉄板は長方形で、存在感いっぱいの年代物だが磨き抜かれてピカピカに光っている。その周りをコの字型にお客さんの椅子が取り囲む。
こんなに大きい鉄板を上手に熱してお好み焼きを次々と焼いていくおばちゃんの技術は素人の私から見ていてもすごい。
しかも、大人数のお客様を相手にしても全く動じないし、むしろ楽しそうに会話を回し、誰も置いてけぼりになっていない。
お酒は出さないせいか、健全で、店はいつも綺麗だ。
あ。
目の端っこに違和感を発見した。なんだろう。どこで引っかかったのかわからないまま、突然おばちゃんに名前を呼ばれた。
おばちゃん:「ジュンちゃん。今日はお客さんいっぱいだからさあ、ちぃっと中に入って料理を出すのを手伝ってもらえんかい?」
ジュン:「あ、いいよ〜。まかせて!」
私は渡されたエプロンを着て、招かれた厨房に立った。
いっせいに集中するお客さんの視線と、お好み焼きの香ばしい香り。そして鼻孔をつく甘辛ソースの匂いがたまらなく心地いい。
一人がつぶやいた。
「おかえり〜。」
みんな笑顔で、ニコニコ頷きながら満足そうに腕を組んでる人もいたりして、なぜだか私はこう答えていた。
「ただいま!」
その日のお店はおおいに盛り上がり、おばちゃんがご馳走すると言ってるのにみんなお金を払っていき、結局売り上げも最高記録間違いなしの食いっぷりをみせ、お客様たちはみなご機嫌で帰っていった。
おばちゃん:「ジュンちゃん。ありがとうね〜〜。助かったよお。」
丸いすに腰を下ろし、頭に巻いていた手ぬぐいで汗をぬぐい、おばちゃんは瓶ビールを勢いよく開けて飲み始めた。
私も丸いすに座り、クラリネットのお礼を改めて伝えた。
おばちゃん:「いい音だったよ。とーっても。」
おばちゃんの過去
満足そうに言うおばちゃんに、私は思い切って聞いてみた。
ジュン:「おばちゃん、どうしてクラダコって言葉知ってるの? 一般の人は知らない言葉だよ。これ。」
と言って、右手の親指のタコを見せた。クラリネットを吹く人は大体こうなる。最初は痛いが、だんだん気にならなくなる。
おばちゃん:「ああ。それ、うちの子もやってたから。」
やはりそうだった。じゃあ、このクラリネットは娘さんのものか。
おばちゃん:「あれ、全日本吹奏楽コンクールの時の写真。金賞だあ〜。」
懐かしそうに壁に貼ってある写真を指差した。
ジュン:「あ!」
わかった。さっき感じた違和感。
私には見慣れているブラスバンド。コンクールで吹いている時の写真。お好み焼き屋さんの中に貼ってあることがちょっと不自然だったし、見えているのに避けてきたこともあったのか今日、クラリネットを手にしてから見え方がまったく変わった。
ジュン:「娘さん。どこにいるの?」
おばちゃん:「娘? ・・・あ、ははは。娘じゃないよお。息子だわ。」
ジュン:「え? ほら、でもここにHanaって。」
おばちゃん:「息子の名前は、英語の英で、はなぶさというのさ。そのカシラをとって、Hana。あの子が子供の頃にここを作ったから、うちは『はなちゃん』。
ほら、この写真見てごらん。真ん中で一人だけピースしてる男の子、いるでしょお。」
そう言っておばちゃんは、レジ下の引き出しから一枚の写真を取り、私に見せた。でも、あまりにも小さくて、顔が見えない。かなり古い写真で、画素数も荒い。右下にオレンジ色で日付が印字されている。20X0年 10 月7日。
ジュン:「え! おばちゃん!この写真、私の誕生日だよ!」
おばちゃん:「 あら! 10 月7 日?」
ジュン:「そう。 10 月7 日! しかも20X0 年。」
おばちゃん:「えーーーーーーほんとお? 20X0 年? 」
ジュン:「20X0年!」
おばちゃんは驚きを隠せない顔をして、恐る恐る、私に向かって聞いた。
おばちゃん:「もしかしてさ、、、夜の7 時33 分?」
ジュン:「惜しい! 7 時34 分に生まれました!」
おばちゃんの顔がいっそうこわばり、あっという間に目が真っ赤になっていき、またうつむいてしまった。
ジュン:「どうしたのおばちゃん。あ、でもどうして、生まれた時間まで知ってるの? 一分違いだったけど。」
おばちゃんは、口をへの字にして、何も言わず、震えながら泣いてしまった。オレンジ色のハンカチを顔に押し当てて。
想望
その日から私は、正式におばちゃんの厨房アシスタントとして、はなちゃんでバイトをすることになった。
お店では自由にクラリネットを吹いてもいいことになった。暇になるとクラリネットを吹いては近所の人たちを呼び込んだ。ちょっとしたミニコンサートだった。それを楽しみに来てくださる人も増えた。
とうとう私の居場所ができた。
不思議だが、ここが居場所、と認識した時から自分の目の細胞が入れ替わっていくような気持ちになった。見るもの全てが懐かしくなってくるのだ。どれもこれも初めてのはずなのに、全てがしっくりくる感覚。
言葉にすることは難しい。既視感とも違う、デジャブでもない。ただ、満たされているのだ。ここに全部がある。そんな感じ。
自分がここにいてもいい。と思えた瞬間から変化したことを考えると、ストッパーをかけていたのは私?
・・・そうか。私、ここに居たかったんだ!
延々とキャベツを刻んでいるおばちゃんの背中も、蛇口からポタポタ落ちる水の音も、窓枠に付いているシールを剥がしたような跡も、お誕生日会の名残か、天井からぶら下がってる折り紙で作った紙鎖も、入り口に置いてある手のとれた招き猫も、おばちゃんが使い続けて擦り切れている毛糸で編んだ座布団も、全部が愛おしくて懐かしい。
自分がそこに居たわけでもないのに、昔そこであったであろう笑顔が見えてくる。
ジュン:「おばちゃん。吹いてもいい?」
おばちゃんは振り向いて笑顔で頷いてくれる。その笑顔すら懐かしい。
私は、クラリネットを取り出して、とっておきの曲を吹き始めた。
おばちゃんの背中が止まった。キャベツを刻む音が消え、じっと立って聴いてくれている。私は思い切り吹いた。私がクラリネットを好きになった、大好きな曲だ。
小学校の5 年生で始めたクラリネット。これは学校の先生が大好きな曲で、ソロで吹いても、ピアノの伴奏で吹いてもそれなりにいい感じになる神曲。
先生は気持ちよく練習させてくれた。大河ドラマの挿入歌で、主人公が亡くなるシーンの歌でもあったそう。
思いを込めて吹き終わり、顔を上げるとおばちゃんが厨房の床に座り込んでいる。私は慌てて駆け寄った。
ジュン:「おばちゃん! 大丈夫? 」
駆け寄って抱き上げようとしたけど、おばちゃんは涙が止まらず、しゃくりあげながら名前を呼んだ。
「はなちゃん! はなちゃん!! おかえりはなちゃん!!(号泣)」
言葉にならないほどの、叫泣で厨房は震えた。
おばちゃんは語り始めた。
回想
英:「お母さん。ロングトーンの練習曲聴いて〜。」
母:「ああ、ちょっと仕込み終わってからでいいかい? 」
英:「仕込みしながらでいいよ。いい曲見つけたんだ。聴いて〜。」
あたしが背中でその曲を聴いた時、英がどこか遠くに行ってしまう気がしてならなくてねえ。仕込みの手が止まるほど不安になって、思わず英を見た。
その姿は懸命で、少しでも息を長く吐けるように、少しでも一定の音量で出せるように、少しでも、少しでも、と吹いている姿に涙が止まらなくなったのさ。
あたしゃなぜかそのとき、この子の姿を一生分焼き付けておかにゃならんと思って、仕込みを放って聞き入った。
はあはあ、と息を切らしながら英は言った。
英:「いいでしょ。楽譜はなくてね。NHKのドラマの挿入歌。お別れの曲なんだ。」
笑顔で語る息子の言葉に、胸がぎゅっと痛くなって思わず言った。
「はなちゃん。あんた、死んだらあかんよ。」
それから程なくして心臓の発作で、息子はバス停でバスを待っている時に倒れてね。このケースを枕にして死んじゃったんだよ。
あれから13 年。
ジュンちゃんが生まれた日の、ジュンちゃんが生まれる一分前に、息子は、はなちゃんは死んじゃったのよ。
運命
私は絶句していた。あらゆるパズルのピースが揃っているのに、はめたくない状況になっていた。この場から逃げ出したい気持ちにもなっていた。でも、一つだけわかっていることがあった。
このクラリネットに、私は必ず出会う運命だったってことだ。
はなちゃんが亡くなった時、私という命に滑り込んできた魂が、きっとクラリネットを吹き続けたかったんだと思う。
案の定、私はこの楽器が好きになった。
案の定、お好み焼き屋のおばちゃんが好きになった。
案の定、クラリネットが手元にやってきた。
案の定、吹いたら街の人気者になっちゃった。
案の定、私は今、ここに居る。
安心して、逃げずにここにいる。
全ての事象が一つにつながって、腑に落ちた。
ジュン:「おばちゃん。私ね、はなちゃんが叶えたかった夢、わかるよ。」
思わずそんな言葉が口から出ていた。
おばちゃん:「夢?」
ジュン:「そう。はなちゃんはね、おばちゃんにコンサートに来て欲しかったんだと思う。写真見せて。」
おばちゃん:「コンサートか、、、そういや忙しくて一回も行けなかった。。確かにそうかもしれないねえ。写真って? これでいいかい?」
オレンジ色のハンカチ
渡された写真のはなちゃんの手首に写っているのは、オレンジ色のハンカチだった。
ジュン:「ほら。このハンカチ、おばちゃんがいつも持ってるハンカチじゃない? 手首に巻いてるからわかりにくいけど、これハンカチでしょう?」
おばちゃん:「あらほんとだ。同じ色、、、ええっ? あの子、あたしが行けないからって、あたしのハンカチを持っていったんか、、、ああ、、、あああ。」
ごめんよ。ごめんよ、はなちゃん。
とひとしきり泣くおばちゃんに、私はクラリネットを構えてあの曲を吹いた。力の限り、息の続く限り、涙を止めずに吹いた。
やがて、お店はお客様でいっぱいになった。
いまの私
それから4 年間。ここでバイトさせてもらったんだ。はなちゃんのお好み焼きはいつも満員御礼だった。
おかげで友達もいっぱいできた。私は今オーケストラでファゴットを吹いている。楽器は変わってしまったけれど、この時の経験が生かされて、その後の人生が大きく変わった。
母は会社に愛されて、なんと女店長として自立。一人ぽっちだったお店が、今では20 人のチームができている。
私は私で、素敵な仲間たちに囲まれて、音楽まみれの最高の時間を過ごしている。
あの時のまるで夢みたいな体験が、私の想いのルーツだ。私が始まったのは、「はなちゃん」なのだ。
ありがとう。はなちゃん。
はなちゃんの赤い看板はもうなくなり、おばちゃんも施設に入ってしまい、ここには誰も住んではいない。ある日、オレンジ色のハンカチをお店の格子窓に結んで、中に手紙を入れておいた。
「想望」
おわり
一とは全
僕:「・・・涙が止まらないんですけど。」
八幡様:「一人の命が消えて、一人の命につながって、一人の人間に愛を注ぎ、それを全員で受け止めて、その全員からまた一人に愛が流れ込む様子が見えると思います。
一とは全。全ての事柄は一つの事柄から発しており、一つの事柄は全ての事柄に成長して繋がって行きます。
循環と言えばわかりやすいかもしれません。繋がりあって、うまく干渉しあって、バランスを保って、一つになっています。無意味なものは一つもありません。」
僕:「よくわかりました。僕の病気も、母の死も、仕事の失敗も、お金の失敗も、苦しい事柄はたくさんありますし、それぞれが辛くて苦しいですが、それは結局僕という人間を形作ってくれるし、成長できるチャンスになっているし、生きるための動機づけにもなっています。」
八幡様:「そういうことです。さて、ヒカリさんがずっと昔。違う肉体を持っていた魂が望んでいることは、楽器を持つこと。」
僕:「え? まさか、クラリネットですか?」
八幡様:「クラリネットでなくても良いのです。音の出るものです。
音が出るものを持つことにより、ますます表現の幅が広がって行きます。言葉だけでは表しきれない心の澱(おり)を、楽器で出し切ることができます。
あなたの魂は、自分で出す音の響きを待っています。楽器を持っていらっしゃるのであればそれを鳴らしてあげてください。なければ、探してください。
あなたに降りてくるサインを、音で表現することにより、受け取る精度がより上がっていくことでしょう。」
僕:「楽器は僕も大賛成です! 心が豊かになりますし、弾いているだけで癒されます。」
八幡様:「できればその音を、周りに聞かせてあげてください。」
僕:「ジュンちゃんみたいに。」
八幡様:「はい。誰かのために、あなたの音を、プレゼントしましょう。それだけで、人生が大きく変化していきますよ。応援しています。」
おわりに
今回はまさかの小説での回答となりましたが、ヒカリさん、いかがだったでしょうか?
なにひとつ、無駄なものはないのですね。
今日もすべてに感謝して、この生命をありがたく味わっていこうと思います。
ではまた次回、お愛しましょう♡
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KAMI ing out マガジン
「僕のアニキは神様とお話ができます」「サイン」の著者、アニキ(くまちゃん)が執筆。天性のおりられ体質を活用し、神様からのメッセージを届けま…
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