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【全部見せます】 龍レリーフができるまで

みなさまこんにちは。くまちゃんです。

寒い日が続きますが、おかげさまで、僕は家に帰れたらネコネコちゃんがいてくれるので身も心もあったかいんです。

そんな中、ずっとコネコネしてきたのは粘土さん。

冬の粘土は冷たくて凍えます。でも、不思議なことに、ずっと触っていると、粘土も、僕のカラダも温かくなってくるのが面白くて、土ストロークが止まらなくなります。

さて今回、皆様へのお礼として作っている龍のレリーフは、一つ一つが手作りです。龍の顔も微妙に違いますし、大きさも違います。

今回八幡さまより、僕がこれをどうやって作ってきたのかという「龍レリーフができるまでのレポート」を公開しましょうとの提案をいただきました。

レリーフが送られてきた皆様が楽しんでいただけますよう願いを込めて、ここに製造記録をなるべく詳細に残しておきます。


レリーフ制作の全工程

1. 粘土の選定

まずはなんといっても粘土選びからです。色々悩みましたが、越前の土を選びました。日本六古窯に選ばれた歴史ある粘土です。鉄分が多く含まれていて、焼きしめると強度が日本一!  釉薬をかけなくても水漏れのない水瓶として、全国で重宝されたほどの強い土なのです。

2. 酒と米(粉)と水を捧げる

まず、土の分子を均等にするために10分ほど、腰を入れてしっかり練り上げます。その途中で、神棚から下ろしてきた神聖なるお酒とお米を混ぜ込みながら、さらに秘密の山の水を数滴垂らし、最終的に棒状にします。

3. タタラを作る

タタラとは、板状に薄くした粘土板のことですね。作業の過程でタタラに空気が入ってしまうと、焼いている途中にそこから破裂して、割れてしまう恐れがありますので、よく叩きます。叩けば気泡は潰れてくれて、良い板になります。同時進行で、500グラムのものを2枚作ります。出来上がりの形状は、菱形と、四角の2種類があります。どちらも効果は同じです。皆様にお届けするときは、ランダムです。どちらが届くかお楽しみにしておいてください。今後の販売は、全て菱形になります。

4. 龍の体の成形

粘土を板の上でコロコロ転がし、細い棒状を作ります。それを切り糸を使って半分にします。二つの龍の半身ができますので、切断面に山の水をつけて板に貼り付けていきます。

5. 龍の頭の成形&体と接着

これはもう、粘土細工ですね。僕がイメージする龍です。ここが一番気を使います。ツノを立ててしまうと折れてしまう可能性があるので、寝かせて成形します。

6. 龍の背びれと鱗を描く

まず指で背びれをつけていきます。そのあとすぐに、ポンスという道具を使って、鱗を描いていきます。陶土を彫っていくので、これを陶彫と言います。龍の目も入れて、ぶら下げるための穴も作り、成形は完成です。

わりと細かい造形です(僕にとっては)

7. 完全に乾かします

この時期は寒いので、4週間ほどじっくり乾かします。この時点で割れてしまう作品もあります。今回はひび割れてしまい、6枚ダメになりました。少なくてよかった。乾くとこんな色になります。

ひび割れちゃったのは土に還します

8. 窯入れ → 素焼き

完全に粘土の水分が飛んだら、窯に入れて、一回めの焼成です。800度で素焼きします。この素焼きの段階では、水捌けのいい茶色い植木鉢状態でしか焼けていません。水を吸い込むので、釉薬をかけても定着しやすいのです。

ずらっと素焼きの行列待ち
素焼きを開始直前。緊張〜

9. 釉薬(ゆうやく)で色付け

釉薬を塗っていく順番がありまして、これも公開します。

まず最初に、「うのふ」という白っぽい釉薬を龍だけに塗ります。この釉薬は1230度以上で焼くと、溶けて流れていく性質があります。お茶碗の口の部分に塗れば、白く絵の具が垂れたように演出できる釉薬です。それを多めに塗っておきます。

次に、「油滴天目」釉薬を龍の周りに塗ります。この釉薬は細かい温度調整をして焼くと、宇宙にある星のような演出ができます。今回は、そのベースになるように薄く伸ばして塗りました。

次に、「紺蛍」釉薬を塗りました。この中には、ガラスのかけらが入っており、うまくいけば、蛍が飛んでいるような、星のような柄になります。油滴天目と掛け合わせることにより、不思議な蛍油滴が現れます。

そして最後に「透明の青」の釉薬を一部分に適宜塗ります。

全て、微妙なバランスで乗せていきまして、溶け具合によっては窯変するように遊びを持って塗りました。ですので、同じ模様は一つもありません。

パワフルに塗りたくっています

10. 1日乾燥

たっぷり塗った釉薬を定着させるため、1日の乾燥タイムを入れます。釉薬が沈着するまでしっかり乾かすのが大事です。焦ってこのまま焼いてしまうと、ひび割れたり、剥がれたりする可能性があるので、我慢のしどころです。

11. 窯入れ2回目 

いよいよ本焼き。1250度で焼成し、さらに固く焼きしめます。さて、どんな色で焼き上がるか、楽しみです。土によっては、全く違う色で出てきます。

2回目〜!

12. 祈祷 & 完成

焼き上がった龍のレリーフに、祈りを込めます。龍神祝詞を奏上し、封入します。

魂込めました

龍レリーフの効能は?

八幡様:「大変お疲れ様でした。工程をシンプルに書くだけでも、これだけ地道な作業があるということがお分かりいただけたかと思います」

僕:「僕も書き出してみて初めてわかりました。結構面倒なことをやっていましたね。。。しかも、時間がなくて、何回かに分けて制作したので、焼成する工程はもう一回やりました」

八幡様:「面倒だと思わずにやっていたから、羅列してみてはじめて、工程の多さに気づいたのでしょうね。これも、一つの価値になります」

僕:「価値? 工程が、ですか?」

八幡様:「そうですよ。大きな価値です。手間をかけて、目的のために行動することは、全て、価値になっていきます。全て、時間のかかる手作業です。釉薬も一つ一つ手で塗り、乾かす時間も地球の大気が働いてくれています」

僕:「なるほど。そう考えると、この越前の土も、定期的に越前陶芸組合さんが土を採取して、天日に干して、異物を取り除き、粘土だけを精製して荒土などに仕上げてくれます。そこに僕がさらに、米と酒と山水を混ぜて聖なる土に仕上げます。これも価値、なのかもしれません」

八幡様:「それに、釉薬も信楽まで行き、そこでテストピースを見比べながら微妙な色合いを探し出して購入していますよね。それらの釉薬も専門の人間が化学テストを重ねてきて出た色であり、作家さんや職人さんが何度も何度も試した証です」

僕:「それで言えば、油滴天目と紺蛍を混ぜて幽玄さを出せることに気づいたのは、僕がこの6年で実験してきたオリジナルの結果ですから、これも価値な気がしてきました!」

八幡様:「そして、土・水・石・酒・米をベースに作った龍を、地球の大気で乾かし、火を使って焼き、陶器としてこの世に誕生させたことも価値です。地球にある元素を含む素材で、龍を降臨させたものであること。これは、皆様の住んでいる家屋の一番太い柱にくくりつけていただければ、家内安全まっしぐらとなります」

僕:「家内安全まっしぐら! いい言葉」

八幡様:「さて、あとどのくらいで発送ですか?」

僕:「3月21日に発送予定です。皆様、カウントダウンしながらお待ちください」

八幡様:「で?」

僕:「へ?」

八幡様:「あの話はしないのですか?」

僕:「あ・・・・・やはり言わないといけませんか?」

八幡様:「もちろんです。アニキの失敗は、人間である証です。言ってください」

僕:「・・・はい。まあ、当然ながらと言いますか、失敗はいろいろあったのです。まず、急速に乾かしてしまったことにより、何個かひび割れが起きてしまったことが最初の失敗です。乾いてしまったひび割れを修正することが難しく、全部土に戻しました。ですのでそこから、サランラップなどを使って、粘土の乾きをゆっくりめにコントロールした結果、ようやく2月末に最後の素焼きをして、釉薬を塗った後の本焼きは3月初めにできるという」

八幡様:「はずでした」

僕:「はい、素焼きのボタンを押したところまでは良かったのですが、窯の電力がまさかの途中で止まってしまい、どうしようもない状態になってしまったのです。全く動かなくなったのです」

八幡様:「電気系統を破壊してしまったのですね?」

僕:「してしまったって、やはり僕なんですね・・・(涙)」

▼ 僕の「◯◯体質」についてはコチラをどうぞ

八幡様:「どのくらいで修理できたのですか?」

僕:「メーカーに問い合わせましたが、窯の異常ではないようですと。ブレーカーの異常かもしれませんとのこと。とりあえず明日、電気屋さんにきてもらうしかないということで、まず1日待ちました」

八幡様:「こうやって、アニキには無理難題が容赦無く押し寄せてきますが、その理由はわかってますよね?」

僕:「いやほんと。最近はもう、ネタでしかないですね。笑うしかないです。どんなことが襲いかかろうとも、驚きません。無理難題が訪れる理由は一つしかありません。僕に、それを乗り越えろということですよね?」

八幡様:「どうやって乗り越えましたか?」

僕:「実は窯入れしてすぐ、2/26から広島、山口と出張でした。その間に焼き上がっていて、帰ったらすぐに釉薬がけをしようと思っていたのです。29日までに素焼きができないとなると、龍のレリーフだけではなく、一緒に焼こうと思っていた作品も焼けず、そちらの納期に間に合わなくなってしまいます。となりますと、非常に困ります。出張で対応できない僕は、社員さんにお願いするしかありません。お願いして、お休みのところを出てきていただき、事情を話し、電気工事の方を手配していただき、もし直った場合、素焼きのスイッチを入れていただけるよう、お任せしました」

八幡様:「それが功を奏して、全て完璧な流れで完成しましたね」

僕:「もう感謝しかありません。壊れていたのは、電気系統だけではなく電気窯の故障もあったのです。それに気づいた社員のKさんが、窯を購入したメーカーさんに連絡し、福井まできていただき、窯の修理をしてもらったことで、たった3日のロスで素焼きができました。修理費に結構な金額がかかってしまいましたが、新しく生まれ変わったと思えば、これはこれでよかったと思います」

お待たせいたしました

そして、今日。これを書いているのは3月9日です。

本日、本焼きまで終わりました。確か、1月8日に作り始めたので、約60日で完成したことになります。

あとは、ぶら下げるための紅紐を取り付け、割れないようにプチプチで包装し、皆様に向けたお手紙を書き、それを印刷して同梱し、箱に入れてお届けするだけです。

皆様。あともう少しお待ちくださいね。

届いたら、まずは心ゆくまで触れ合って下さい。持ち主の体温をその龍に染み込ませます。私がお守りするのはこの人なのだということを龍に教えます。

そして、写真を撮りまくって下さい。どの角度から撮れば、素敵か、どの時間帯で、どんな照明で、どんな場所で撮るかは皆様の自由です。水の中に入れて撮る方もいらっしゃるかもしれません。そして、その写真をできる限り拡散していただけると嬉しいです。

なぜか。それを見た人たちは、不思議な感覚になるはずです。皆様の祈りの力がその写真から滲み出ていき、その力強さと、優しさに皆様、安心されると思います。

そんな秘めたパワーを感じていただき、お家のどこか大切な場所にかけてあげて下さい。大黒柱がないおうちは、飾ってみて光が当たる場所がベストです。方角などは気にしなくてもぜんぜん大丈夫です。

壁にかけるのが嫌だなと思った方は、置いておいても構いません。

皆様の自由で、人の目が届く場所に飾っていただければ嬉しいです。

そして僕はまた、新しい陶芸を始めています。

6月12日(金)から、東京のある場所で、僕だけではなく、一緒に陶芸で面白い挑戦をしている作家の皆様と一緒にグループ展を開催する運びになっております。

渾身の作品を作る予定でおります。

もしよろしければ、遊びにきてください。詳細は決まり次第お伝えいたしますね。

それではまた次回、元気にお愛しましょう♡

あなたに、今日も幸あれ。


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