ご相談 その41. 35歳ですが、親離れができません。
いつもありがとうございます!
今日は「はな」さんからのご質問にお答えいたします!
八幡様:「さすがですね。親に感謝して、いつもありがたいと思いつつ、自分を守ってくれたことに対して大恩を感じていらっしゃいます。そして、はなさん自身が親に甘えることによって、親を喜ばせようとしていることが伺い知れます」
僕:「はい。はなさんの心根の優しさがにじみ出ていますね。八幡様、はなさんは『良い大人なので、甘えてしまうのをやめたい』とおっしゃっていますが、どう思われますか?」
八幡様:「甘え上手で良いと思いますよ。ただ・・・」
僕:「ただ・・・? なんですか?」
八幡様:「はなさんは、ご自分でもわかっていない、計り知れない力をお持ちのようですね」
僕:「ええっ! 未知数のパワーがあるんですね?」
八幡様:「はい。人間は皆それぞれ、自分では理解できず、一生かけてもわからない能力を隠し持っているものですが、計り知れないと言うのは、読んで字のごとく、どんな数字にも表すことができないほど大きなものであることを指します」
僕:「めっちゃ興味深いです。。。一体どんな力があるのでしょう」
八幡様:「はなさんは、パントマイマーになる素養をお持ちです」
僕:「パ、パントマイマー?」
華麗なるパントマイマー
八幡様:「なぜそんなに驚くのですか?」
僕:「いや、パントマイマーって、人形劇をやっている僕からしても、難しいことなんですけど。パントマイムをする人は、終始無言で、全身を使って、あらゆる表現力を駆使して、人の心にグサリと風刺をしたり、笑いを引き出したり、自分の持っているパフォーマンス能力を全身全霊で出さないと伝わらないものです。それを、はなさんはできる。ということですか?」
八幡様:「そうですよ」
僕:「そうですよ、ってとても簡単に言っちゃってますけど、きっと、これを読んでいるはなさんにとっても、青天の霹靂だと思っていますが、どうですか? はなさん」
八幡様:「激しくうなずいておられますね」
僕:「わ。もう見えてるんだ! でしょう。激しくうなずく理由もわかります。突然、見知らぬおじさんから、あなたはパントマイマーだ! と言われて、びっくりしない人がいないわけありませんから」
八幡様:「わかりました。では、その根拠をお伝えしていきましょう」
僕:「お願いします」
八幡様:「パントマイムに必要な素養としては、まず恥ずかしがり屋さんであること」
僕:「ちょちょっと! 早速ですが、異議ありです!」
八幡様:「おや。ダメでしょうか?」
僕:「恥ずかしがり屋さんが人前で、舞台に出て、パントマイムを披露することは、恥ずかしいから難しいと思います!」
八幡様:「最後まで聞いてください。はなさんの場合、恥ずかしがり屋さんであることが、とても重要なのです。その理由は後でお話しします。次に必要な素養は、想像力が豊かなこと。そして、人の苦しみを心の底から共感できる人。さらに、家族を大切にできる人。最後に、笑顔が素敵であること。以上です」
僕:「えーっと。なんだか、どれも、僕が知っているパントマイマーさんたちとはかけ離れている気がします。みなさん、体を鍛えていて結構ストイックな方が多いです。パントマイムをする上において、体力がないとダメだとか、体が柔らかくないとダメだとか、体幹がしっかりしてないとダメだとか、そもそも表現力が豊かじゃないとダメだとか、八幡様はそういうことを一切言ってませんけど、本当に大丈夫なんでしょうか」
八幡様:「はい大丈夫です。体力とか、ストイックさは必要ありません。今私が言った条件、
恥ずかしがり屋さん
想像力が豊か
共感力が高い
家族を大切にする
笑顔が素敵
であることを、はなさんはおそらくすでに網羅しているはずです」
僕:「ふむ・・・網羅していたとして、すぐにパントマイマーになれますか?」
八幡様:「もちろん、そう簡単にはなれるものではありませんよ。自分の意思をしっかり持って、それをやるためには何が必要か、そこからどういう動きで、どういう考えで進むか、結局どういうことをすればそれになれるのか、を考えて行動していくでしょう。どんどん動いた後には、その経験が積み重なって、最終的な目標の位置に到達することができるのです。しかしながら、今私は、はなさんに華麗なるパントマイマーになれとは言っておりません。なれる素養があると言っただけです。そこをまずは理解しておいてください」
僕:「あれ? そうだっけ? あ、確かに、なれとは言っていませんね」
八幡様:「はなさんは、
自分が何をすればいいのかわからないし、
どう行動すればいいのかわからないし、
何を考えればいいのかわからないし、
なぜこういう状況になっているのかがわからないし、
なぜ私は、今ここに生きているのかがわからないし、
でも、家族が大好きだし、
病気で相当苦しい思いもしてきたし、
人前に出るのは苦手だし、
でも人が笑っているのは好きだし、
絶対笑わせることなんてできないけど、
多分その場を和ませることができる。
と思いつつ、自分に何ができるか悩みながら、大それたことができるわけじゃないけれど、誰かが喜ぶことをしたい。
でも、何をやったとしても、私で良いのだろうか。
私が何かを表現してもいいのだろうか。
私が誰かのために動いても良いのだろうか。
そうやって、同じ場所に居続けていいのだろうか。
もしこれが楽になってしまっているとしたら、困る。。。
そんな風に思っているはなさんが、自分では考えもつかないような、思いもよらないような提案をされた時、私には無理、だめ、と思わず、それをただ素直にやってみることで、火がつくことがあるのです」
僕:「なるほど、そういうことか。はなさんの思いに対して八幡様は、着火剤を投げかけたんですね? 何かをきっかけにして火がつけば、もしかすると大きく動き出せると。だから、はなさんにパントマイムをどうしてもやってほしいとは思っていないということですね。そのきっかけを自分で探しなさいと! しかも、八幡様だけではなく、他の誰かから提案されたら、それを素直にやってみなさいと! そこで気づくことがありますよ、ということをお伝えしたいと」
八幡様:「そうです。はなさんには今、ある種の”勢い”を感じます。開き直ったら強い方です。今までやってきた中で、途中でやめたこと、諦めたこと、やろうと思ってはいるけれどもまだ動き出せないこと、いろいろあると思うのですが、それをどこかで時間を作ってやってみて欲しいのです。ただ、黙ってこっそりやるのではなく、宣言してから初めてみるのです」
僕:「宣言! 誰にしましょう?」
八幡様:「親でもいいでしょう。友達でもいいです。このおりられ荘のメンバーに宣言してもいいと思いますよ。私はこんなことを始めました。とね。途中で終わってもいいです。ダメになりました。ごめんなさい。で良いのです。必ず最後までやりぬかなくてはならないという思いは捨ててください。やってみて、
面白かった
おっかなびっくり経験したらこんな学びがあった
途中でダメになったけど、次の目標が生まれました
やばい、めっちゃ楽しい!
という感じで良いのです」
僕:「そういうことなんですね。同じ場所に踏みとどまっていないで、動くことなんですね」
八幡様:「動くといっても、最初は小さく始めれば良いのですよ。大きな目標を立て過ぎて、何が何でもそれを成功させるぞ! みたいな気概は要りません。はなさんは、どうか、がんばりすぎないように気をつけてください。ある程度慣れてきたら、それを思い切って人に見せること。宣言したら、その宣言した人にまずは見せてあげてください。そして、感想をもらうこと。その感想からまた何かを得て、次につなげようとすることです」
僕:「よくわかりました。ありがとうございました」
なりきり上手
八幡様:「ああ、それと、もう一つ。パントマイムで大切なことを言い忘れておりました」
僕「あれ? やっぱりパントマイマーになってもらいたいとか?」
八幡様「いいえ。パントマイムで、一番大切な事です」
僕:「おお、それは聞いておきたい!」
八幡様:「アニキはできていますよ。なりきる。ということです」
僕「なりきる! ですか? いやいや、僕もまだまだですが・・・」
八幡様:「パントマイムができる人は、何にでもなれる資格を持っています。天性の優しさと、受容の心を持っているからです。そして、はなさんのようにちょっと恥ずかしがり屋さん的な要素をお持ちの皆さんが一様に持っている能力というのが、『観察力』なのです」
僕:「観察力・・・」
八幡様:「想像力の中で、自分をたくみに操作できてしまう力を持っています。実際に体は動いてませんが、頭の中でシミュレーションできてしまいます」
僕:「そ、そうなんですか? 恥ずかしがり屋さんって、そんな能力が!」
八幡様:「恥ずかしいということがわかるのは、よく観察している証拠ですし、頭がとても回転していて、賢いのです。恥ずかしいとき、両手で顔を隠しながら、隙間からドキドキしながら観察してしまうことってありませんか?」
僕:「あはは。みてはいけないものだと頭が働いてるのに、指が勝手に開いて、目が見てしまうってやつですね?」
八幡様:「観察してしまうということは、興味があるからなのです。興味があるということに、向き合うだけで、これからの動きが変わります。あなたは、パントマイマーの精神を持ってして、動いているもの、動かないものにも、同様の愛を注げる人なのです」
僕:「愛を注げる人・・・すごい」
八幡様:「そのすべてに憑依することができるのがパントマイムです。つまり、なりきることができるのです。深くその物体を見つつ、愛情を持って観察すれば、そのものの良さがわかり、そのものを自分なりに模倣し、愛を持って表現することができるようになります。遠慮せず、真似をして、自分のオリジナルとして卓越してしまってください。これでヒントは以上です」
僕:「そうか。パントマイマーになるということではなく、はなさんなりの表現ができるようにするための近道のヒントだったんですね。なりきり上手になって、その観察眼をどんどん成長させていってください! 八幡様、ありがとうございました」
おわりに
八幡様のお言葉は、いつも示唆に富んでいます。いつも突拍子もないことを言っているようですが、重要なヒントが隠されている気がします。はなさん、どうぞお受け取りくださいね。
実をいうと僕は、一度だけパントマイムをしたことがあります。保育園での人形劇公演が入っていたのですが、その1週間前に風邪をひいて、熱もひき、鼻水も止まったのですが、咳をし過ぎて声が出なくなってしまった時があったんです。
はい。こともあろうに、人形劇で一番大切な、喉だけが復活しなかったのです。直前だったので、お断りもできず、考えて、考えて、考えたあげく、言葉のない人形劇をしてみようと思い立ったのです。
つまり、セリフがゼロ。掠れ声で、あーとか、うっとか、ええー! とかは言えましたが、あとは全部動きだけで人形劇をするという、僕にとっては大きなチャレンジでした。
ストーリーは、赤鬼ゴンちゃんが種(もちろん透明の種です)を拾うところからスタートします。
これは一体何の種なんだろう? と首をかしげるゴンちゃん。
子どもたちも一緒に悩みます。
思いついたゴンちゃんは、その種を投げたり落としたり遊び始めます。
やがて、それを土に埋めて、上から土をかけます。
また思いついて、川から水を汲んできてその種が埋まった場所に水をやります。
しばらく待ちます。
あくびをしながら待ちます。子どもたちも待ちます。
突然ゴンちゃんがびっくりします。芽が出てる。指をさして感動。子どもたちから大きな声があがります。
「芽が出てきた〜!」
それがどんどん成長していきます。
ゴンちゃんが抱きついても届かないくらい大きな幹です。
見上げると、花がたくさん咲いてます。
うっとりするゴンちゃん。
匂いをかいで気持ちよさそうです。
そしてまた時間がたちます。ゆっくりと木の周りを巡りながら、水をやり続けます。
すると、ゴンちゃんがまた何かを見つけます。りんご? もも?
小さな丸いものがなっているよと、ジェスチャーで伝えると、子どもたちは
「りんご〜!」
ゴンちゃんはそのりんごを一つ、背伸びをしてもぎ取ります。
そして、かじります。美味し過ぎて、ほっぺが落ちます。
ゴンちゃんが木の上を見上げると、まだまだたくさんなっています。
思いついたゴンちゃんは、そのりんごを懸命にとり始めます。
両手いっぱいになったりんごを、子どもたちに配ります。
「うわあ! おっきなりんご〜!」
子どもたちはその両手を使ってそのりんごを持って、食べ始めます。
美味しい! 甘い! おっきいね!
僕は、黒子の中で号泣しておりました。子どもたちは、想像の中で、種が大きな木に成長し、実がなって、それを観察して、最終的に一緒に食べて、美味しい美味しいと笑顔で頬張ってくれたのです。
言葉でありがとうもいえず、僕はその光景を見ながら、子どもたちの嬉しそうな笑顔と裏腹に、涙が溢れて止まりませんでした。
そのあと、先生がフォローしてくださり、美味しいりんご、まだまだなってるね〜! みんなで一緒に食べちゃおう〜! と言って、場を盛り上げて、人形劇を終わらせてくださいました。
僕はホールからはけて、職員室で嗚咽。
パントマイムとは、言葉がないのではなく、人の想像力を使って芝居をし、観客から言葉を生み出させる究極の表現であることを体現しました。
僕は、その劇をやっている時に、りんごの木にずっと感謝していました。
水をあげながら、大きくなれよ、ここは日当たりがいいからすぐに伸びるぞ。と思いながら、演じていました。言葉がないぶん、感情移入が強く、楽しく、子どもたちの反応が面白く、やりながら、これなら海外でもできそうだな、なんて思いました。
言葉に頼ることなく、相手の頭脳に頼る。そのためのスキルを身につければ、自分の能力以上の仕事ができる。
そう気づくことができたのです。
はなさんも、パントマイムではないにしろ、きっと何かで気づけると思います。
気づいたらまた教えてください。
よろしければここで宣言してみてください。
ワクワクするような何かを探してみてください!
お待ちしております。
それではまた次回、お愛しましょう!
たくさんのレビュー、感涙です! 書店でご注文いただいたり、周囲に広めてくださっている方にも心から感謝しております。書いてよかった!
本当にありがとうございます!
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