ご相談 その39. 夢がありますが、問題がいっぱいです(後編):マーリンの末裔
書けましたよ〜脚本っ! では早速、お読みくださいませ!
一人芝居用脚本 「マーリンの末裔」
作:はちまん
ナレーション:魔法使いさん
(録音してある音源を再生しながら、演技をします)
音楽:八代亜紀「雨の慕情」
ーーーテーブルを拭いたり、お酒の瓶を並べ替えたり、グラスを拭いたりと、導入ナレーションの間は少し微笑みながら仕事をするママ「カリン」。
この変わった形の三角部屋に、バーカウンターと4席のチェアー。誰が設計したのか、一度お客を入れてしまうと、なかなか出ることができない作りになっている。おかげで長居をされる理由にもなっている。
トイレは外のビルの1階を使わせてもらっているので、その分スッキリして見えるかもしれない。家具の風合いも、使い込まれたグラスの輝きも、いい感じで鄙びている。ここは、昭和歌謡がよく似合うスナック。
お店の名前は、「花梨(カリン)」
店のオープンは夜の8時。午前3時までの8時間勤務をかれこれ30年。よく続いてるもんだと自分でも感心している。
掃除をするたびに愛おしくなるのは、このバーカウンターの一木造り。花梨の木を使っているのだが、このくらいの大きさだと、200万はするだろうと言われたこともあるくらい、まあまあの価値だと踏んでいる。これは、同級生の高田中(タカダナカ)くんから飲み代の代わりにもらった。
壁には古ぼけたアクリルの額が飾られていて、その中には先の尖った木の枝が収められている。
これはだいぶ昔に誰かからもらったものなのだが、それが誰だったのかは忘れていて、どうしてもその由来を思い出せない代物だ。木の枝は45センチもの大きさで、縦長の瀟洒な額の中に一本、ポツンと張り付いている。
これは一体何に使うのかすらもわからないのだが、
「こちら側の壁にかけておきなさい」
と言われたことだけは記憶があり、それからずっと東側の壁にあって一度も動かしていない。お世辞にも芸術的な風合いもなく、所々虫に食われたような跡があって、なんとなくチラホラと金彩が施されたような跡が残ってはいて、おそらく年代物なのだろうなと思われるアンティークな飾りである。
最後に灰皿を3つ、カリンのロゴの入ったマッチを3つ、テーブルに並べて、開店準備完了だ。
からくり柱時計が8時の時報を鳴らした。それと同時に扉が開いて、横島の大ちゃんが入ってきた。
SE:カランコロンとお客様が来た柔らかい音のベル。
カリン:「あら、いらっしゃい。ま、久しぶりじゃない。元気だった? え? あたし? あたしはぜんぜん。疲れてないよ。ただね、なんか人が信じられなくなっちゃって。
ん? ああ、違う違う。騙されちゃいないよ。たださ、人は思い通りにならないってことさ。大ちゃんはお湯割りだっけ? それとも今日は暑かったから、ハイボールにする?
えー! 珍しい。日本酒って、大ちゃんこそ何かあったの?
(準備する)
うん。うん。へえ〜。そうなんだ。じゃあずっと、家で? 引きこもってたの? じゃあここにくるのって、久しぶりに家から出たってこと?
(手を動かしつつ)
うわ〜。おめでとう。乾杯しよう〜〜〜!
(準備し終わってグラスを渡しながら)
うん。そうだね。いいと思うよ。全然いいよ。色々苦手なんでしょ。無理して頑張ったら病気になるよ。そうやってみんな苦しい顔して死んでいくんだよ。だいちゃんは笑ってて。いつもそうやって。ね。それでいいんだって。
じゃあ今日は何も食べてないんじゃ?
やっぱり! じゃ、ちょっと待ってて。お味噌汁でいい? あったかくするね。おにぎりも作っとこうか。
なーに遠慮してるのよ。しんどい時はお互い様っていうでしょう!
SE:カランコロンとお客様が来た柔らかい音のベル。
あ! よっちゃん。いらっしゃい! あんたもおにぎり食べる? オッケー。いくつ食べる? そんなに!? 足りるかな。わかった。まとめて作っちゃう。
(おにぎりを作りながら)
ところでさ。2人とも、私の話ちょっと聞いてもらえる? ふふふ。2人とも、同じタイミングでうなずくのね。かわいいわ。ふふふ。
・・・実はさ。この店閉めようと思ってんだ〜。
・・・てかさ、反応鈍くない?(笑)
もしかして、わかってたの?
うわ・・・。また2人同時にうなずくんだ。でも、なんで知ってたの?
な〜んだ。もう噂になってたのか。じゃあ話が早いね。
なんだかさ、ちょっと疲れちゃって。家族の事とか、家の事とか、親戚のこととか、弟の事とか。つーか、全部身近なことばっかりなんだけどね。私の存在意義というか、なんか誰にも分かってもらえない悩みというか、このお店をやっているだけで済む話じゃなくて、まあここが。。。
(泣きそうになるが我慢して)
ここが逃げ場になっていたっていうのもあるんだけど、ずっと気楽にやっていくこともできなくなってきたなぁと思って。え? どんな悩みがあるのかって?
だからそれをさっき言ってたんじゃないの。詳しくは・・・察してよ。
え。大ちゃん。うん。なかなか言うじゃない。そうだよね。言葉にしなくちゃわからないよね。確かにね。じゃあ、言うよ・・・。
SE:カランコロンとお客様が来た柔らかい音のベル。
なんだよ〜。シゲちゃんじゃないの。いいところで入ってくるんだから。
あはは、悪かないよ。ちょうどよかったんだ。さ、何する? え? 日本酒? 熱燗? 今日はみんな、どうしたんだい?
で? でって何よ。
話の続きって。。。
そんなにあたしの恥ずかしい話を聞きたいのかい?
なんだよ。三人とも真面目な顔でさ。どうしたのさ。よっちゃん。なんだよ。泣いてんのかい?
やめておくれよ。辛気臭い。こっちまで涙が出てきちゃうよ。もう・・・。
わかったよ。わかった。話す。話すけど、もう決めちゃったんだからね。覆ることはないからね。
いいんだね。話すよ。
ほらまた。三人とも同時に頷くのやめてって!
あたしはね。もう自分でできることの範囲を超えちゃったと思ったんだ。本当にやりたかったことが一体なんだったのかもわかんなくなるくらい、疲れちゃった。だってさ、あたしがここでこうして大切なお客さんとお酒飲みながら語り合ってるって、誰が知ってる?
そう。あたしの身近な人たちは誰もそれを知らないんだ。
SE :壁にかけてあった額のガラスになにかが当たる音(大きめの音量)
「ガシャン!」
え?
(東の壁をみて指を指す)
枝が・・・落ちた。
(三人を見ながら)
ね。ね。ねー! なんで?
ああ、固定した糸が切れたのかもね。そうね。だいちゃんの言うとおり。
あ、なるほど。二つの糸が同時に切れることはない。よね。よっちゃんが正しい。
30年前だもんね。シゲちゃんの言うとおり、相当劣化したんだよね。
え? どうすんの? 中の枝を救出? なんで? 出すの?
全然覚えてないんだけどさ。これ、私、誰からもらったか知ってる?
おいおいって、みんな知ってるの?
じゃあ誰?
誰がこれを持ってきた?
え、なにこれ、、、これ、手紙じゃないの?
どこにあった?
裏に? 貼り付けてあった?
ちょっと待って。怖い。どうしよう。よっちゃん、読んでみてよ。っていうかまず封を開けて!
いや、だからあたしは嫌だって。読まないでおこう。知らなくていいのかもしれない。多分そう。知りたくない。
ちょっと!
。。。。。。。。。
(聞いている)
嘘でしょ? 本当に? あたしが? マーリンの末裔? 選ばれたってどういう意味?
そうよね。わかるわけないもんね。え? やり方?
利き手で持って? 縦に振るの? 目の高さから、おへその高さで止める。そこからゆっくり胸の高さまであげて、グリーングリーングリーン。
・・・・・・・それから?
・・・・・・・何かヘンよ。何かヘン!
このあと、なんて言えばいいの?
あたしの、あたしの店。この店を無くしたくない!
あたしは、みんなが集える場所を作りたかった。違うわ。これから作るの。決めた。決めました! あたしは、やる! せっかく場所もあるし、みんなを喜ばせる技もある。何を悩んでたんだろう。あたしの店だよ。何を遠慮なんかいるんだ!
グリーングリーングッリーン。壁を真っ白に!
ーーー風がカリンの下から吹き上がった瞬間、セットの壁の茶色が一気に剥がれ落ち、一瞬で白くなる。
ーーーカリンは満足そうに笑顔になっており、アップにしていた髪の毛はいつの間にか下ろされて美しい魔女になっている。声の質も変わり、ゆったりとして上品な声になって、気高さすら感じられる。
ーーーマ-リンの杖はいつの間にか真っ白い柄に蒼い3本の線と、金色の4本の線のマジックワンドになっている。
我はマーリンの末裔なり。皆様のおかげでようやく気づくことができたようです。びっくりしすぎよ、シゲちゃん。よっちゃん。だいちゃん。これからも通ってくれる?
ふふふ。また同時。三人とも、大好き。
ナレーション :BGMは小林明子の「恋に落ちて」
エンドロール
おわり
最後に質問返し
僕:「ありがとうございました!」
八幡様:「こちらこそ。では、魔法使いさんにお尋ねします。
誰もが外敵に脅かされず、安心して本来の自分を思い出す場所はどこに作りますか?
本音を出し合える仲間が、自由に表現し合える場を作る場合、教室代はおいくらで設定しますか?
お金はチケット制にしますか?
その場所は不登校の子も来れる、コワーキングスペースも創れる場所でしょうか?
そこで立ち上げる企画はどんなものがありますか?
その中に、魔法使いさんのお芝居を見られる企画も入れられますか?
アニキの赤鬼ゴンちゃん人形劇も大丈夫でしょうか?
占いと整体のオプションはつけられますか?
映像の機材を置いて、いつでもライブ配信できるようにはできますか?
LINEなどで、ご縁のある人を繋げて、マッチングできますか?」
僕:「おお! かなり具体的ですね!」
八幡様:「これは全て、魔法使いさんの頭の中にある魔法です。あとは、棒を振るだけです。やりたいと思ったことをストップさせているものは、ご自分の心の中にあるだけです。本気でやるなら、よく考えて、実行に移しても良いと思います。もしそれがダメでも、その場所が活かせる作戦も立てておけば良いのです」
僕:「あ、じゃあダメだったとしたら・・・というパターンも考えなくてはいけないのでしょうか?」
八幡様:「もちろんです。なんでもそうですが、新しいことを始めようとする時、たくさんのリスクがあります。それをあらかじめ回避させることができる場合もあります。やり始めて修正していく方法もありますし、失敗してこそ成長することも考えられます。どんなことをしたいか、を明確に考えていらっしゃる魔法使いさんは、あとはどこでどうやって進めていくか、を決めて、ご主人に相談し、動かしていくだけですね」
僕:「たしかに!」
八幡様:「楽しみな未来を想像して動くことで、周りをも巻き込んでいけます。10年後、あの時この道を選んでよかったね。と言えるように、しっかり計画を練り、楽しい選択をしていってください。応援していますよ」
僕:「僕も応援しています! ではみなさん、また次回お愛しましょう♡」
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