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おりおりいっぴつ #030 (天ノ磐船の正体)

岩船に乗りて

渡った先人をリスペクト


「天ノ磐船」(あまのいわふね)

という言葉を時折聞くことがありますが、全国の神社を廻っていると、その形状は本当に様々だということがわかります。

石を積み上げてできた船のような形の造形物だとか、すごく細かな工程で作られた石の船形だったりだとか、これのどこが船なんだろう? と思えるような大きな丸い石だったり、そもそもなぜ人はこれを船と呼んだのかわからない位の小さな石だったり。

実際のところ、その伝説の出所は何なのか。八幡様に岩舟の正体をお聞きしました。

僕:「大きな岩は本当に空を飛んだのでしょうか?」

八幡様:「はい。人々の記憶には、たくさんの石の船が飛んでいるイメージが残っていますね」

僕:「わ! やっぱりほんとに飛んでたんだ!」

八幡様:「その人々の記憶の切れ端を全てリスト化してみると、同じものはひとつもありません」

僕:「・・・ちょっと、言ってる意味が分かりません」

八幡様:「つまり、すべては人それぞれにある、想像上の空飛ぶ岩の船だということです」

僕:「あ、現実ではなく、みんなそれぞれに想像してるだけってことですね?」

八幡様:「はい」

僕:「・・・なんか、ちょっとがっかりだな。僕はてっきりUFOか何かが降り立つのを見た人たちがいて、それを発祥に、『大きな岩に乗って偉い人がやってきた』という勘違いに発展したんだと思ってました」

八幡様:「それはいわゆる、情報操作です」

僕:「情報操作?」

八幡様:「こんなシーンを想像してください。未明のことです。まだ日が昇らない時に、軍隊は静かに進行。なるべく誰にも知られず、戦いを避けるため、月の明るい夜に静かに前へ進む作戦です。人々が起き出す頃には、いつの間にやら、突如現れた大軍団がそこにいるわけです。人々は驚愕し、いつの間に来たのかと問います」

僕:「あ! そうか。そこで、空を飛んできたと!」

八幡様:「そうです。ありえないことを誠しやかに伝え、自分たちが神の軍団であることを世の中に知らしめるため、その情報を流布したのです」

僕:「なるほどお〜! そういうことだったんですね。」

八幡様:「それをすれば、人の血を流さずに、人を畏怖させることができ、政治がやりやすかったのです。人々の信仰心や、優しさがその噂を広く伝え、讃え、わが国の強さを誇りました。その感動が飛び火して、船の形をした岩は・・・?」

僕:「その軍団が乗ってきたものだという伝説が作られたのですね!」

八幡様:「そうです。人々はそうやって、口伝えで聞いたことを、自分の記憶に置き換えて、それをまた人に伝えてきたのです。よほど感動した出来事は、どんどん大きくなっていくものです。人間の可愛いところですよね」

僕:「なんかすごい話ですが、僕は実際に飛んでいなかった岩の船が、本当に飛んでいたとする伝説になり、それが残っていったことに尊敬を覚えます。ですので、僕はあえて信じることにします。天ノ磐船は、実際に空を飛びました。と」


八幡様は、こうして歴史の真実を教えてくださる時があります。

でもそれは、今回のような歴史のロマンを感じることはあまりなく、例えば人間のエゴだったり、したたかさだったり、強い悲しみだったり、たたりを恐れる恐怖感だったり、今の人間と変わらない心模様を理解するためのお話が大半を占めています。

そういうリアル系のお話は僕としては苦手なので、へーそうだったんだ。に留め置きますが、ロマン溢れる伝説や感動的な歴史となると、僕は一気に魅了されます。

ですから、今回のような「伝説の由来」も面白いですよね。そこで人間の愛らしさもプラスで再確認することで、聞く楽しみを増やしております。

皆様からもし、リクエストがあれば、またこういうお話もさせていただこうと思います。コメントで、お知らせ下さいね。

今日も、あなたに幸あれ。

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