おりおりいっぴつ #029 (古墳の成り立ち)
大切な人を
亡くした時
涙と一緒に
埋めましょう
日本には、古墳がいっぱいあります。その古墳の成り立ちを、八幡様は僕に教えてくれます。
八幡様:「この平野に点在しているこんもりとした小さな山は、なんだと思いますか」
僕:「古墳ですよね? 昔の偉い人のお墓だそうです。」
八幡様:「そうなのですが、厳密に言うと、ただのお墓ではありません。」
僕:「またまた〜。だって前方後円墳。墳墓ですよ。お墓ですよね?」
八幡様:「はい、お墓ですよ。しかし、どうしてそこに、突然山ができるのでしょう。」
僕:「ちょっと、そんなことも知らないんですか? それはですね、もともとそこにちっちゃい山があったとか。あ、あとは権力の象徴だから、たくさんの人にそこに土や石を運ばせたとか、ですよきっと」
八幡様:「たくさんの人が関わった事は事実です。では権力者がなぜ、そこにたくさんの土を運ばせたのでしょうか。重い石を運ばせたのでしょうか」
僕:「あ、この流れでいくと・・・どうやら権力の象徴だけではないということですね。じゃあ例えば、治水工事とかで出た土砂を置く場所が必要だったとか。あはは冗談です」
八幡様:「正解です。」
僕:「ぶはっ! まじれすか?」
八幡様:「はい。時の権力者は、民が食に困ることがないように、どんどん開墾を進めました。開墾していくと、大きな石やたくさんの土や木の根っこがどんどん溜まっていきます。田んぼを作るときも、使わない土や石などが大量に出てくるのです」
僕:「あ、だからそれを集めて」
八幡様:「大きな山にしていきます。その山を丁寧に固め、権力者はいずれこの山を私の墓にしよう。だから皆様、よろしくお願いいたしますと、お金を払って、さらなる雇用を生んだのです」
僕「ななんと・・・。そんな背景があったとは・・・」
八幡様:「その古墳が今でも美しく残っているということは、人々がそれを大切にしてきたからです。大切なものは、後世に残りやすいのです。作った人たちの魂が、それを壊すことを許さないのです」
僕:「え。でもたまに、盗掘されたりしてませんでしょうか」
八幡様:「それありきで作っているので、問題ありません」
僕:「心ひろーーーーーっ!!!」
八幡様:「むしろ、お墓を開いてみたときに、こんなに大切にしてきたんだなぁと思われるような装飾品などを詰め込んでいます。人は人を愛し、亡くなってからもその尊敬はやまなかったということを証明したかったと思ってのことです」
僕:「それって、もう、タイムカプセルですね」
八幡様:「それはうまい表現ですね。たしかに、そのような意味合いもあり、そこに副葬品として入れたものは、後々の世の中に役に立つであろうと思いながら入れている節があります」
僕:「・・・」
八幡様:「起きなさい」
僕:「寝てないです! でも、けっこう衝撃で、思わず目をつぶって思いを馳せてしまいました。しかし昔の人って、本当にすごかったんですね。心のあり方が一本筋が通っているというか。未来に優しいというか」
八幡様:「そうですね。とてもシンプルで、相手を心から思いやり、大切にした時代がありました」
僕:「それは今も、人間にちゃんと受け継がれていますでしょうか?」
八幡様:「もちろんです。すぐに思い出せるようになっていますよ。思い出すための鍵を使えば特に」
僕:「思いやりを思い出すための鍵、ですか?」
八幡様:「そうです。神社や、お寺や、お墓の前に行ってする事はなんですか?」
僕:「手を合わせます」
八幡様:「そうです。手を合わせることです。謙虚な気持ちで、慎みを持って、感謝するときにやる仕草です。人間は、自然に手を合わせるようになっています。それはちょうどいいバランスで、エネルギーが一気に放出される形なのです」
僕:「手合わせは思いやりや感謝の証・・・・・そういうことだったのか」
八幡様:「大切な人が亡くなって、手を合わせ、流れる涙が枯れる頃、皆でその棺に土をかぶせます。ポタポタと落ちる涙は、その土の中に染み込んでいきます。それを見て人は、この悲しみを一緒に埋めてしまおうと考えます。悲しみを引きずっていては、毎日の生活ができなくなるからです。土を埋めながら、人は、心を正常に保っていこうとしていたのです」
僕:「なるほど。。。これから古墳を見る目が劇的に変わりそうです」
八幡様は、昔の人々の心を時折こうやって、教えてくださいます。僕に教えながら、今の自分の生き方を見つめ直すようにと言っているようにも聞こえます。
いまは田園地帯と言われている、広い平野。そして、古墳。それは、昔の人々から今へ贈られたプレゼントだと思えば、その美しさは、格別です。
あなたに、今日も幸あれ。
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