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田島虫の夢日記

ツイッターを眺めていてなにやらnoteというブログのような書き物をしている人がたくさんいることは知っていたが、スルーして日々を暮らして居た。だが思いつきでやってみることにした。

夢は30年以上見ていなかった。人間は生きていれば毎日必ず夢を見ていて起きた途端に忘れてしまうのが本当のところらしい。30年以上毎日見た夢を忘れていたおれはずっとよく眠れて心身共に健康であったか、起きていてもあったことをよく忘れるので単に頭がよろしくない性向なのか、知ったこっちゃない。

ところが最近よく夢を見ることが多くなった。起きた時もその夢を覚えているという事象が多発するようになった。加齢により記憶中枢の調子が良くなったか悪くなったかしたせいであろう。

とある鄙びた町に佇む黒いビルの談話室でおれは作家に会っていた。彼の書いた原稿を取りに行っていたのだ。渋茶の入った湯呑みを安い木目のビニールシートが貼ったテーブルにゆっくりと置き作家は茶封筒の中から新作の原稿用紙を取り出した。おれより年上の初老の男で顔の半分が逆光で撮った写真のように眩しくて見えない。もう半分側はいつか古い漫画雑誌で見た登場人物を実写化したようだった。半分逆光の作家は「大淀太郎虫」という名前だった。おれが原稿を受け取った時、辺りは瞬間的に大きな放送局の食堂に変化した。見知らぬ編集者らしき男が熱弁をふるっている。「俺は太郎虫という名前がとにかくカッコいいと思うんだよ!太郎虫!ああ!太郎虫!」。そう言われてみるとたしかに「太郎虫」という名前がかっこいいように思われた。そこで目が覚めた。

ということでこの夢日記、ペンネームを「田島虫」として連載してゆくことにします。なんの価値もなく、続いてゆくかもわからぬ連載。夢を見たときに時間があれば書きます。

田島虫


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