見出し画像

池袋暴走事故から裁判の仕組みを学ぶ

こんにちは!
株式会社Origin.の奥平です。

今回は最近第一審の判決が出ました「池袋暴走事故」から裁判の仕組みを学んでいきたいと思います。

基礎教養があることで1つ1つのニュースがしっかり捉えられるようになりますし、逆に今回のような分かりやすいニュースから基礎教養を学びなおす機会を作っていくことができます。

今回は後者ですね。
事件に沿って裁判の仕組みを学んでいきましょう!


①池袋暴走事件とは


2019年4月、当時88才の飯塚氏が運転する車が、赤信号を無視して交差点内の歩道に突っ込み、2人を死亡、9人を負傷させたとして刑事事件となっています。

飯塚氏の言い分はこうです。

画像1

ブレーキを踏んだけれど効かなかった。ブレーキとアクセルを踏み間違えたのではない。よって私は無罪だ。

つまり、車に異常があったと主張したのです。

現地からの証言や、車メーカーのトヨタからも車の異常ではないことが明らかになっており、苦しい主張となっていました。


それに対し、今回の事件で2人の家族(妻、娘)を亡くした松永氏は亡くなった家族の無念を晴らすために、検察側に立ち飯塚氏を有罪にすべく戦います。

画像2

飯塚氏は「踏み間違いではなく車の故障だ」

松永氏は「自分の罪を認めて刑を受けてほしい」

両者がこのように主張していましたが、9月2日に第一審の判決が出ました。

-----------------------------------------------------------------------------------

②裁判の仕組み


ここで一旦裁判の仕組みを整理しておきましょう。

・刑事と民事
裁判には「刑事裁判」と「民事裁判」があります。
刑事裁判は、有罪か無罪を決めるもので、有罪である場合は刑罰を決めます。刑事裁判の場合訴えるのは「検察」で、今回の場合は松永氏ではありません。松永氏はあくまで裁判を見守っている側です。

民事裁判はトラブルを解決する裁判で、両者が和解した場合判決が出ずに裁判を終えることもあります。

・三審制
今後の飯塚氏の対応でここが重要になります。
裁判は最高3回行われ、判決に納得できなければ申し立てをすることができます。1回目の裁判(第一審)の判決に納得できない場合は「控訴」を行うことにより2回目の裁判(第二審)にて再度判決を受けることができます。
第二審でも判決に納得できない場合は「上告」を行うことにより3回目の裁判(第三審))に進むことができます。

*第三審に進むためには(上告)、第二審の判決が憲法や判例に違反している可能性がある場合で、第二審の判決で確定する場合が多いです。

この基礎を頭に入れた上で今回の判決を見ていきましょう。

--------------------------------------------------------------------------------------

③今回の判決


今回は禁固5年の実刑判決となりました。

禁固刑とは、労務作業がない身柄拘束のことで、刑務所内で労働作業をしなくて良いということです。
逆に懲役刑は刑務所内で労働しなければなりません。

飯塚氏は90歳と高齢なので禁固刑となったのでしょう。


今回の判決に対し松永氏のコメントを抜粋します。

被告人側の主張に苦しめられましたけども、私としても救われる気持ちになった。感謝しております。これで命が戻ったらどんなに良いか…むなしくなって涙が出たが、判決は前に向いていけるきっかけ。大変、つらったけれど、被害者参加制度を使って参加して良かった。一生懸命、伝えたことが裁判官に伝わった印象が持てた。さまざまな人に支えられ生きてこられた。感謝しております。被告人に権利があり、続くか分かりませんが、どんな結果でも出来ることをやっていきたい。2人の命を無駄にしないために。

松永氏の気持ちを考えると涙が出てきそうですね。。。

-------------------------------------------------------------------------------------

④飯塚氏の今後の対応


注目すべき点は、飯塚氏が「控訴」をするかどうか。

つまり今回の判決を受け入れて5年間刑務所に入るかどうかです。

控訴をすると第二審までの判決までに最低でも1年ほどかかります。

第二審での判決が同様だとしても「上告」することで更に時間がかかります。(第三審に進めなくても手続き等で時間が稼げる)

つまり、90歳の今から5年間刑務所で過ごすよりも、ここ数年の時間を稼ぎ刑務所に入る時期を遅らせていくのではないかという予測です。

飯塚氏の立場からすると、今5年入って刑務所で人生終えるよりも、まだ少しでも元気な状態のうちに通常の世界で生きていきたいと考えるのは自然なことでしょう。

------------------------------------------------------------------------------------

⑤今回の判決での裁判長の言葉


今回判決を言い渡す際に、控訴させないための布石のように裁判長がこのように述べています。

裁判に納得がいったなら、遺族に謝って下さい。納得できないなら2週間の間に控訴の権利があります

言い換えると、「謝罪の気持ちがあるなら控訴するんじゃねえよ」

と汲み取れます。

この異例とも言える裁判長の言葉により、飯塚氏が控訴するのかどうか、非常に注目です。

-------------------------------------------------------------------------------------

⑥まとめ

今回の事件で

「上級国民だから逮捕されないのか」
「こんな最低なやつ早く逮捕しろよ」

などの声が世論を斡旋していますが、裁判の仕組みを理解して上で見ていく必要があります。
(もちろん気持ちは理解できます)

裁判の仕組みも理解せずに感情論だけで意見することがないように、こういう事件をきっかけに基礎教養を身に付けていってほしいと思います。


今回は以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?