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何故日本だけインフレにならないのか?

こんにちは!
株式会社Origin.の奥平です。

日々「物価上昇」が多く報道されていますが、実は世界基準で見ると日本の物価上昇率は高くありません。

そこで今回は

・インフレについて
・世界的に物価が上がっている理由
・何故日本は物価が上がらないのか

について解説していきます。

経済の基本部分が理解できるので、ここはしっかり抑えていきましょう。

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①インフレについて

インフレとは「物の価値が上がりお金の価値が下がること」を言います。

例えばペットボトルの水が昨日まで100円だったのが、今日が150円になるとお金の価値が下がりますよね?

反対にデフレとは「物の価値が下がりお金の価値が上がること」を言います。

ペットボトルの水が100円から50円になるとお金の価値は上がりますよね?


インフレとデフレどっちがいいですか?

物が安く買えるから「デフレ」という声が多くなりそうですね。

日本は約30年ほどデフレ禍の進んでいるのですが、それは日本の成長にとってはよくないことなんです。

今の日本で起こっている状況は

企業努力によって価格競争になっている→人件費を抑えたい→給料が上がらない、正社員を雇用しない、残業が当たり前→個人の消費が増えない→安くしないと売れないから価格競争する

このループに入っています。

つまり、国民全員で少しずつ貧乏になろうとしているわけです。

政府は国の経済を改善するために「インフレ率2%」という目標を設定しています。

お金を配る→国民がお金を使う→企業が単価を上げれる→企業が儲かる→所得が増える→国民がお金を使う

この流れを作りたいわけですが、今のところ上手くいっていません。

配るお金が少ないことと、配ったお金が消費活動に使われていないことが原因ですが、それを改善するべく日々国会で与党と野党が議論しているわけです。

ここではインフレとでデフレの意味、デフレが続くと経済は停滞、インフレを作っていく必要があることを理解できればOKです。


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②世界的に物価が上がっている理由


アメリカでは前年比10%近く物価が上がっています。

さきほど「国の経済をよくするにはインフレにならないといけない」とお伝えしたので、アメリカはガンガンインフレ進んでて良いことじゃない?

と思われた方もいると思います。

今回の急激な物価上昇の原因を整理して考えてみたいと思います。


・理由① 原油価格の高騰

ガソリン価格が上がっているのは皆さんご存じですよね?
それは原油価格が上がっているからなんです。コロナ禍でこの2年間人の移動が制限されてきました。移動が制限されると「燃料」を使わなくなるので原油の需要が一気に下がりました。原油生産国は「せっかく作った原油が売れないし、保管スペースもないから困っている」状況だったので、一時原油価格がマイナスになりました。(お金あげるから貰ってという状態)
最近になって以前より移動が緩和され燃料を使うようになったのですが、原油生産国からすると同じことになりたくないので「最低限しか生産しない」のです。つまり「需要>供給」の状態のため価格が上がっているのです。(生産国がより利益率を上げるためにわざと生産量を増やしていないのもあります。)
原油価格が高騰すると、燃料を使う輸送の費用が上がり、石油製品も原価が上がっていきます。
つまり、生産者物価(企業の仕入れ値)が上がっていき、販売価格も上がっているのです。


・理由② サプライチェーンの混乱

サプライチェーンとは、モノが生産されるとこから消費者の手に入るまでの流れのことです。人の移動が制限されていたのと同時に、輸出入も制限されていたわけです。そこが一気に解放されてきたため、海で渋滞が起きているのです。

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世界の輸送の90%以上は海を使って行うため、これが渋滞して物が届かなくなり供給が追いつかないので、物の価格が上がっているのです。


・理由③ 人手不足

人の移動を制限したことにより必要な人手が確保できず商品を適正に作れない事態が起きています。
例えば、イギリスにある大きな農家があり、そこは毎年収穫時期だけ近隣の国から労働力を提供してもらっていました。しかし移動が制限され労働する人達が来れなかったことにより収穫することができませんでした。
結果供給が追い付かず価格が上がっている物が多くなっています。


このように「供給不足」が原因の「物価上昇」が起きています。

この物価上昇は企業の利益は増えません。仕入れ値が上がったから値上げしているので、結果労働者に還元されないのです。

物価上昇は所得上昇に繋がらないと意味がなく、物価だけ上がって所得が上がらない状況を

スタグフレーション

と言います。これが続くと所得は上がらないのに物価だけ上がって生活が苦しくなります。

世界では大きな物価上昇が起きているのに日本ではまだ影響は少ないです。
アメリカ8%、ユーロ圏4%、日本1%ほどの上昇率です。

何故日本は物価上昇が小さいのかを解説していきます。

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③何故日本は物価が上がらないのか?


諸外国に比べ日本の物価は上がっていませんが、生産者物価(仕入れ値)が上がっていないわけではありません。

つまり「企業が我慢している状態」です。

何故企業は値上げに踏み切らないと思いますか?

それは「値上げしたら売れなくなる」と考えているからです。

この理由は2つあります。


・値上げしたら売れなくなる理由その①

30年間のデフレで、消費者が安いところから買う習慣を持っているからです。この30年間企業が価格戦略で価格競争を行ってきた結果、我々国民はいかに安く買うかを第一に考えるようになりました。この状況で企業に価格を下げるリスクを取れる勇気はないのです。


・値下げしたら売れなくなる理由その②

政府がお金を国民に配らないからです。他国は国民にお金を配ることで安心感を与え、消費活動を活発化させています。企業側も値上げしても売れると分かっていたら原材料が高騰している分を上乗せして価格を設定できます。
また、国民にお金を配ったとしてもそれを消費してくれないと意味がないわけです。これも国会で日々話し合われてますが、過去に「お肉券」とか「お魚券」といった案が出ていたのは「とにかく消費に回してほしい」という目的のためです。とにかく国民にお金を使わせないと潰れる企業が増えていき、失業率も増えていく可能性があります。


日本だけ物価が上がってないことを国民は良しと捉えていますが、それは大きな間違いであり、日本人のリテラシーの低さを表しています。

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④まとめ


今の世界の状況と日本の状況は理解できましたか?

今回お伝えしたことを踏まえ日々の報道を見ていると感じ方が変わってくると思いますので、是非役に立ててほしいと思います。

今回は以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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