営業利益98%減!モスバーガーは大丈夫なのか?
こんにちは!
株式会社Origin.の奥平です。
今回はモスバーガーの決算発表をテーマにしていきます。
先日
「モスバーガー営業利益98%減」
という報道がありました。
「モスバーガーやばくね?」
「みんなでモスに行って応援しよう」
みたいなコメントを多く見かけますが、ちょっと待ってください。
そもそも98%減ってどこの数字に対して98%減なのでしょうか?
計画に対して?前年に対して?
(答えは前年に対してです)
また
対前年98%減って鬼ヤバイ数字です。普通はありえません。
売上がバカみたいに下がった以外ではあり得ない数字なのですが
売上は昨対108%と好調なのです。
つまり
「増収+超減益」状態なのです。
企業は本来「減収+増益」の構造を目指していくべきで、その理由は
売上という外的要因が大きく左右することへの依存度を下げるためです。
今回は
・増収なのに何故超減益なのか?
・飲食店の収益構造
・今後のモスバーガー
についてお伝えしていきます。
飲食は脱サラ起業の中で最も参入数が高い上に廃業率も高いので
ビジネスモデルの構造をしっかり理解しておきましょう。
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①モスバーガー大赤字の要因
売上が上がっているのに利益は大幅に下がっているのは何故なのか?
報道では原材料の高騰、エネルギー価格の上昇、人件費の高騰の3つが
言われています。
それらをもう少し掘り下げていきましょう。
〇原材料費
昨年51.9%に対し今年は54.6%
これは仕入れ価格の高騰もありますが、昨年末から1月中旬に販売した
和牛バーガーの影響があるでしょう。
これ多分原価60%はあると思います。
これは異常でしたね。
本来の価値より価格を下げて売ることで誰かにしわ寄せがいきます。
生産者なのか、卸業者なのか、会社なのか。現場で働く人たちなのか
まあこのことは本題ではないので置いておいて
原価が昨年並みで推移していたら
売上850億に対して原価率51.9%で441億
今年の実際の原価が464億なので
原材料費高騰の影響は23億円となります。
モスの施策の影響もありますがかなり大きな数字になっています。
〇販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費が昨年より40億増えています。
これの内訳を見ていきましょう。
・人件費
飲食店共通の課題として「人員不足」があります。
人員が揃わないことで時給を上げたり求人広告を出したりしますが
その費用が約14億増加したのです。
一般的に言われる人員不足への対策が大きいのですが、モスバーガーの
オペレーション上売上が上がれば上がるほどその分人員が必要になるのです。
手作り感=バイオーダー(注文があってから作る)ので、効率化が難しいのです。
例えばマクドナルドでポテト担当がいて、売れる時は一気に調理してストックを増やせば同じ人数で対応できますが、モスバーガーはそうはいかないので売上が上がるだけ人員が必要になります。
サイゼリアのようにセントラルキッチン(外部で調理されたものを入荷する)仕組みがあるチェーン店は効率化がしやすく人件費がかさみにくいのです。
・その他
新店や改装9億、販促費8億、光熱費などのエネルギーコスト7億
これらが全て重なり前年利益から98%減となっています。
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②飲食店の収益構造
ここでは一つだけ覚えておいてもらえたらと思います。
飲食店の大きな経費は
食材原価(フードコスト)
人件費(レイバーコスト)
合わせてFLコストと言われているのですが、
FLコストは売上の「60%以内」の抑えることが重要とされています。
基準としてはフードコスト35%、レイバーコスト25%くらいが妥当なところでしょうか。
つまりフードコストが50%を超えるような業態は収支構造が良くないということです。
高原価率で有名なのはモスバーガーを筆頭に
スシローなどの回転寿司、いきなりステーキ、俺のイタリアン、フレンチ
などがあります。
高原価率は「薄利多売」で儲かる仕組みなので
売上が少し下がったり、経費が少しが上がったりすると一気に経営危機に
なるのです。
人件費はまだコントロールの余地はありますが、原価率は最初に設定してしまうとコントロールがほぼできません。
いきなりステーキが良い例で、元々は立ち食いスタイルで回転率を高めて売上を上げる戦略でしたが、立ち食いで高単価なステーキを食べることが浸透せず今ではほとんどの店舗が着席スタイルです。
他にも原因はありますが全体的に売上が下がったので「ペッパーランチ」という業態を売却し一時的にキャッシュを得て何とか運営していますが、数年度には消滅している可能性があります。
モスバーガーも同様、何か施策を取らなければこのまま衰退してしまう可能性が高いです。
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③モスバーガーの今後の戦略
とことん売上を上げるために今の原価率で勝負するのか
値上げをして原価率を抑えにいくのか
オペレーション改造して作業効率化を図るのか
いくつか考えられますね。
原材料コストは下げれないので価格を上げることで原価率を抑えていくのは
最も重要なことですが、価格をこれ以上上げることは一気に売上が下がる可能性もあるのです。
現状のメニューですが、これ以上があると1000円を超えてくるんです。
1000円を超えると高級ハンバーガーの領域に入ってきますが、チェーン店でそこまで消費者が価格を出すかは疑問です。
今までモスのファンだった層が少し安めのマックに流れる可能性があります。
個人的には
・原価を抑えることができて客数増に繋がるキャンペーンを行う
・サイドメニューやカフェ需要の強化。モスでか味わえない商品開発
・店内オペレーションの変更
人数を増やさなくても回せる仕組みを作る
これらかなと思います。
言うのは簡単ですが開発するにはハードルが高く、新アイディアはすぐに他者にパクられるので、モスの特性を活かした施策ができたらいいなと思います。
このまま変化をせずに運営していくと数年後は廃業の可能性もあるので
なにかしら手は打ってくると思いますので、今後の動向を楽しみにしておこうと思います。
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④起業を目指している人へ
飲食店の構造は他に比べて簡単で、日頃触れる機会も多いのでイメージ付きやすいです。
こういった報道から少し興味を持って深堀りしたりすることで知識も付いてくるし見える世界が変わってきます。
是非興味関心を持って日頃のニュースを見ていってほしいと思います。
「ニュースは情報操作されているから見たらダメだ」
と言う人がいますが、それは情報を受け取るための基本知識がないだけで
自分なりに解釈していけばいいのです。
(これ言う人は大体詐欺師がペテン師ですw)
起業する人はインプットのアンテナを高くしてもらい日々成長していって
もらえたらと思います。
本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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