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すゆばなし しばしの物語 004

坊主が経を上げる間中、焼香台の傍にあった揺れぬ焔《ほのお》の蠟燭《ろうそく》を見ていた。納骨堂は本物かと見間違う造花が飾られ蠟燭も線香も電池式となっていた。本堂の蠟燭も偽物かと、焼香の終わり際、ふっと息をかけたら、焔が揺れた。本物と知れた途端、涙が頬を伝った。

朗読歌劇そらのおと座付き作家・原田佳夏が書く120字小説を、女優で歌い手の日高恵が読み、作曲家で主宰の杜哲也のジングルに乗せてお届けします。【YouTubeチャンネル】https://youtube.com/channel/UCIX0DuHVDeWDufFVpi5TrkQ