ひとつ歳を重ねて思うこと

もうまもなく誕生日をむかえる。
またひとつ、歳を重ねる。

年度が切り変わるあわただしい時期に生まれたので、友人にも、家族にも、夫にも、ときどき誕生日を忘れられる。もともと記念日にこだわらないタイプだから、自分でも「そういえば誕生日だったな。」と翌日になって気付くこともあった。

20代の頃は、歳を重ねるのが少しこわかった。
仕事を覚え、やりがいが出てくる。何をしていても楽しい。けれど、自分がおばさんになってゆくのがなんとなく受け入れられなくて、焦ったものだ。

30代は、年齢を気にすることなく、突っ走っていた。
夫の仕事のサポートと、自転車競技のシクロクロス。大人になってはじめて、何かに夢中になる楽しさを知った。
運動音痴が、本気で競技に打ち込んだ。来年も頑張って、もっと強くなろう。もっとできる、もっと、自分を超えたい。
子どもがいないことに対して、申し訳なさや後ろめたさを感じていた。だから、心のどこかで年齢を忘れていたかったのかもしれない。

そして40代。
人間ドックの問診票を記入する手が止まる。あたし43だっけ、あ、42なの。自分がいくつなのか、わからなくなってくる。あんなに年齢を気にしていたのが、うそみたいだ。

身体的な変化を感じる。
ちょっと早歩きをしただけで息切れするし、なにもないのに無性にイライラする。
手指が乾燥して手提げビニール袋をパッと広げられない。こうなったら人生の先輩方のように指をペロリとしちゃおうかと頭をよぎる。いやいや、いかん。

忘れっぽいし、判断も遅い。こう書くのもなんだが、見た目も行動も母に似てきて、ちょっとおかしい。

それでも、気持ちは若くいたいものだ。
楽しいものやおもしろいものへのアンテナはぴんと張っていたい。けして流行を追うとかではなく、あくまで自分が興味のあるものを、探して、学んでいたい。

そして家族を大事にする。
夫とはぶつかることが多くて、かーっとなる。けれど、感謝しているし、本音は穏やかに仲良くしていたいのだ。それに遠く離れた互いの親のこと、将来のこと。大切にしなくちゃいけないものは、よりシンプルになってゆく。

なにより心身ともに健康に、豊かに過ごすこと。ときに泣いたり、笑ったりながら。

あとは、出来るだけ綺麗でいたいなあ。

お客さまから手作りのアップルパイをいただいいて、思いがけず誕生日ケーキになった。

日中、仕事で初歩的なミスをしてしまい、夫は呆れ、ぷりぷり怒った。
自分が情けない。
だけど、夕飯前に「（誕生日は）忙しくなりそうだから。」とプレゼントをくれた。夫は怒ったり、優しかったり。わたしはしょんぼりしたり、喜んだり。

45歳。アラフォーでもアラフィフでもないお年頃だ。
誕生日だといって何かが変わるわけでもなく、ただ、いつもと同じ日を送るだろう。
楽しく歳を重ねていきたい。