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価格理論 (消費者/生産者/均衡理論)

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ミクロ経済学の主要分野の1つである価格理論に関する記事のまとめ。消費者や企業の行動、そして両者が直面する市場メカニズムの特徴に関する原理・原則を学ぶ。
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2024年2月の記事一覧

価格理論のエッセンス | 日曜経済学者

連載シリーズ「価格理論(消費者理論・生産者理論・均衡理論)」の全章をリスト化し、それらのエッセンスを章別に概説した。理論の全体観の整理や各章の要点確認など学習の参考になれば幸いである。また、記事作成にあたり収集した参考文献も末尾に全てリストアップしている。 「価格理論」とは価格理論の本質を一言で表せば、我々個人や社会全体が満足度を最大化するために、「市場」という資源配分メカニズムを採用すべきかを問うことである。逆に「市場」が有効に機能を果たすためには、消費者や企業、政府がど

均衡理論(6):私有経済

前回までに厚生経済学の第一・第二基本定理を導入した。今回は、単純な私有経済モデルであるEdgeworth Box経済とRobinson Crusoe経済から、価格メカニズムが如何に需給を調整し、それが動学的なマクロ経済モデルに如何に応用されるかに関する基礎的な議論を取り扱う。連載はこちら。 私有経済とWalras均衡私有経済とは誰が何を所有しているかが定まっている経済のことである。つまり、各消費者$${i=1, \cdots, I}$$の財の賦存量$${\omega_i \

均衡理論(7):Walras均衡の存在

前回までは、Walras均衡が成り立っている時に満たされる様々な性質について論じてきたが、そもそもWalras均衡の存在は常に保証されるのだろうか。今回は、Walras均衡の存在定理とそのために必要な条件について議論する。これまでの連載を含めたエッセンシャル版はこちら。 超過需要関数以下では純粋交換経済:$${Y_1=\cdots= Y_J=\{0\}}$$について論じる。また、$${\forall i \in \{1, \cdots, I\}:X_i = \mathbb