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アンビグラムまるわかりノート!!①


 こんにちは。オルドビス紀と申します。普段は主にX(Twitter)上でアンビグラムを投稿しています。

 とうとう本日12/1から、いがときしんさん主催の企画 アンビグラム Advent Calendar 2023 が始まりましたね!クリスマスまでの25日間、担当の者たちによりアンビグラムに関連する何らかが毎日投稿されるお祭りです。
 私は初回担当ということで、現在広く見られるアンビグラムの型について、既存の命名法をもとに私なりに網羅的・体系的な紹介をしていこうと思います。
アンビグラムを知りたての方からまだ見ぬ型の探求者の方まで、幅広く楽しんでいただければ幸いです…!

アンビグラムってなに!?

 アンビグラムの分類に入る前に、アンビグラムとは何か、今一度考えてみましょう。
 アンビグラムを一言で表すと、「見方を変えても読める文字」となります。簡潔ながらこれが一番大事な要素で、アンビグラムのあらゆる対応型はこの原則に基づいて説明可能です。とはいえこのままでは表現があいまいなので、「見方を変えて読める」とはどういうことか、もう少し正確に見ていきましょう。

 2つの文字がアンビグラムの関係であるとは、その2字が

   図形の変換 と 認識の切り替え 

を経て一致する、ということです。

  図形の変換はその名の通り文字図形の変換で、主要の3つの無変換・回転・鏡映、そして敷詰(とそれに伴う並進)が今回のメインです。
 認識の切り替えとは図形の変換によらない部分の話です。文字図形の捉えなおしといえるかもしれません。特に図地反転は代表的な切り替えです。

 …少しわかりづらいですね。下の例で考えてみましょう。

『字』180°回転同一型

「字」と読める図形を180°回転させ(図形の変換:回転)、通常の向きとして捉えなおす(認識の切り替え)ことで「字」と読めますね。

では次の例はどうでしょう?

『A/i』図地反転振動共存型

黒字の「A」と読める図形をそのままの向きで(図形の変換:無変換)、図と地を切り替える(認識の切り替え:図地反転)ことで白地の「i」と読めます。

 いかがでしょう、何となくは伝わりましたでしょうか…?
それでは今から、この図形の変換:無変換・回転・鏡映敷詰と、認識の切り替え:図地反転の観点でアンビグラムの基本対応型を順に見ていこうと思います!

これが今回用いる雛型です



1-1. 振動型・回転型・鏡像型

左から
『ねこ/ネズミ』振動型(振動共存型)
『ただいま/おかえり』回転型(180°回転共存型)
『統一感』鏡像型( | 軸鏡像同一型)

 これらはアンビグラムの中で最もシンプルなものたちです。
 無変換で一致するものを振動型、回転で一致するものを回転型、鏡映で一致するものを鏡像型と呼びます。
 「振動型」の語は、2つの読み方を揺れ動くイメージです。図形の変換を伴わないので、認識の切り替えだけを働かせる純粋な型と言えますね。

1-2. 図地反転型

左から
『A/i』図地反転振動共存型
『雨合羽』図地反転180°回転同一型
『輝石』図地反転─軸鏡像同一型

 先ほどの型に図地反転の要素を加えたものをまとめて図地反転型と呼びます。
 図と地を合わせた全体領域は、シンプルな図形であることが多いです。


同一・共存って?

 先ほどから「〇〇同一型」「〇〇共存型」と何の断りもなく表記していましたが、これは単に対応する2字が同じか違うかを示すものです。 ただしこの「同じ」は文字図形もその読みも、どちらも同じでなくてはなりません。同じ読みでも図形が異なれば(=非対称な図形)共存型です。

左:『8』180°回転同一型 右:『8(/8)』180°回転共存型
左右ともに回転させても同じく「8」だが、右は非対称であり、回転の前後で形が異なるので共存型。


2-1. 敷詰型(重畳型・交換型)


 先ほどまで文字は単体でしたが、文字の敷詰を考えることでさらにアンビグラムの幅が広がります。

 文字の敷詰同士がアンビグラムの関係にあるものを敷詰型と呼びます。

 アンビグラムにおける「敷詰」は文字を等間隔で規則的に配置することを指し、並進敷詰環状敷詰の二つが存在します。(どちらも文字列として無理なく読める、妥当な敷き詰め方に思えますね~)

「並進敷詰」「環状敷詰」をそれぞれ並進敷詰・環状敷詰したもの

 それでは具体例を見ていきましょう!

『外/内』並進敷詰振動共存型(Σさん作。アンビグラム情報局より画像をお借りしました)

「外」の敷詰と「内」の敷詰が、並進で一致します。

『計』並進敷詰回転同一型(同上)

「計」の敷詰が、180°の回転で一致します。

『下心』環状敷詰回転同一型(同上)

「下心」の環状敷詰が、90°回転で一致します。

『コラー』並進敷詰鏡像同一型

「コラー」の敷詰が、鏡映と並進で一致します。


 いくつかの敷詰型には別名が存在します。『下心』の例は重畳型、そして『外/内』の例は交換型
 重畳型には複数の同一パーツを適切に組み合わせて出来るもの、交換型には複数のパーツを適切に組み替えてできるものというようなルールがあるのですが、注意すべき点がいくつかあります。これは後の回で説明しようと思います。



2-2. 敷詰図地反転型(充填型)

 敷詰型に図地反転を組み合わせたものを敷詰図地反転型と呼びます。
図と地、それぞれの文字の敷詰で平面が隙間なく覆いつくされるところから充填型の別名もあります。

  (ヒイイ作例が間に合いませんでした…!用意でき次第ここに載せます。どなたか提供くださると大変助かります。)




次回:アンビグラムの構成~単一型・複合型・混合型~


 今回紹介した型は、単一型アンビグラムといわれる「見方を変えても~」というアンビグラムの原義に極めて忠実なものたちでした。
 次回は単一型に対する複合型、さらにその先の混合型の紹介をしようと思います。お付き合いいただけると幸いです。


 それでは今日から始まったアンビグラム Advent Calendar 2023、明日以降も楽しんでいきましょう~!!!!
 以上、オルドビス紀でした。


5/8:
「○○式同一型」「○○式共存型」の表記を「○○同一型」「○○共存型」に修正


誤りの指摘や感想、是非ともお待ちしております。


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