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コンサルタントとクリニック経営者(事務長)の親和性

医療業界の市場規模
 

国民医療費年次推移

 厚生労働省は昨年9月26日、平成29年度の国民医療費の概況を掲載した。平成29年度の国民医療費は43兆710億円。前年度(平成28年度)の42兆1,381億円に比べ9,329億円、2.2%増加した。
 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.87%(前年度7.85%)、国民所得(NI)に対する比率は10.66%(同10.77%)となっている。(厚生労働省 平成29年度 国民医療費の概況より) 

医療機関では、医師をはじめとする医療人と経営・運営を担う事務方の両輪が重要視されています。実際、医療法人の人件費率は6~7割と他の産業と比較して非常に高い割に事務方の人材面の整備が遅れています。

事務長は事務方のトップであり経営責任者

多くの医療機関の場合、医師である院長が診療の責任を負い、事務長が経営の責任者となります。事務長は事務方のトップであり、一般企業でいう、経営企画・財務・総務・人事・営業を一手に引き受けマネジメントしていく力が求められます。医療法・行政手続・不動産・地方自治・労務・金融など様々な知識と経験が求められます。企業の場合、それぞれの部門に部長がいますが大手医療法人グループ以外の医療機関の場合、事務長が兼務することも多いです。仕事ができる事務長は、非常に優秀な方ばかりですが、極めて人材不足の状況です。

【事務長の平均年収】
 事務長の年収は、勤務先の規模や属性によって大きく異なります。大手医療法人グループが高いというわけではなく、経営手腕によるところも多いです。
 平均年収は、800万円~1,200万円といわれています。ただ、転職サイトでの募集をみると400万円~500万円でスーパーマンを求める求人が多いです。

【事務長を目指すには】 
 医事課、総務課のスタッフとして経験を積んで将来的に事務長になるケースが多いです。一部の法人グループでは、事務長の育成に力を入れているところもありゼミなどで指導されているとことろもあります。(教育できる事務長や理事がいる場合)ただ、同じ機能の病院でないと経験が生かせない場合があり、転職の際思うようなキャリアアップが図れないこともあります。DPC導入病院への転職、急性期から慢性期への転職など。

コンサルタントが事務長に就任するケース

 一部の経営コンサルタントが、現場支援の経験や医療関係の資格を取得した上で、ビジネスモデルの見直し・不動産・ファイナンスなどの知識を活かして転職するケースも増えています。この場合、年収レンジが1,000万円~1,200万円になることが多いです。


【医療業界未経験での事務長への転職事例】
 セミナーに参加されていた30代前半の方は、元々、大手百貨店のご出身でした。接客・接遇のプロフェッショナルで、話し方、接し方が素晴らしい方でした。商品の在庫管理・発注、ディスプレイ、企画、採用の経験がおありでした。キャリアバランスシートでみると、いくつか弱点があり行政手続、医療業界の理解の穴埋めが必要でした。しかしながら、こういった点はインターネットや書籍で調べて分かるということだけではなく、実際に経験することが大切です。そこで、転職希望先の医療機関にはこの方を事務長候補としてご採用いただくと同時にあることをしました。結果、初年度こそ年収600万円でしたが、2年目には1,000万円となりました。

~まとめ~

 医療・介護・福祉の安定は、生きていく上でとても大切です。医師の方をはじめ、多くの医療人が自己犠牲を払って守ってくれているからこそ安心して暮らせています。医療崩壊が懸念されている今だからこそ、目的意識を持って貢献できる環境に身を置けるように勉強していきたいと思います。


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