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クリニックで本物のIQテストを受検した話

※受検こそしたものの、筆者はこの手の分野の専門家ではありません。実際の体験や、ある程度調べたことからなるべく正確な内容で記事にしているつもりですが、一部誤った内容を記載している可能性もゼロではありませんのでご了承ください。


はじめに

IQ(知能指数)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

まあ大体ありますよね。
自分と年齢が近い人だったら”IQサプリ”という番組を見たことがある人も多いでしょうし、Vtuberの配信を見る人だったらにじさんじのライバーがネットのIQ診断みたいなのをやってたのを見たことがあるかもしれません。
中には自分でそれ系のサイトでやったことあるよって人もいるかもしれません。(私もやったことはあります)

じゃあタイトルにある”本物のIQテスト”って何なの??って話なんですけど、そもそもIQテスト(知能検査)というものは、個人の個性や特性を知るためだったり、知能や発達の水準を客観的に判断するために行われたりするもので、基本的にはメンタルクリニックや病院等の医療機関で行われるものです。(検査の方式は何種類かあります)
専門の心理士の方との一対一で、およそ2時間程度かけて様々な問題に取り組み、その結果を心理士の方が分析・判断し、「あなたはこういった能力が高く、このような事が得意な傾向がありますね」といったようなことを客観的に診断してくれます。その客観的な判断の基準として用いられる数値がIQなんですね。

ちなみに、ネットでよくある非公式のサイトの↓こういうやつ↓で計測できるIQは、正規の方法で診断されるIQとは全くの別物だと考えて良いです。

ちなみに答えは”C"

このような問題が実際に全く出題されない訳ではないですが、もっと色々な問題を解くのが知能検査であり、こういった問題だけでは正式に計測できないと思われます。こういうネットのやつで測れるのは、あくまでもそういう問題がどれくらい得意かというものだけで、ネットでIQ160って出たからといって正式検査で同程度の値が出るとは限りません。というか検査の方法が全然違うので、近い数値が出てもたまたまです。
(ちなみに、自分が受けた検査ではIQ156以上は正確には測れないっぽいです)


ウェクスラー式知能検査について

正式な知能検査の方法のうちの一つにウェクスラー式知能検査というものがあります。世界中でも広く使用されているテストだそうです。
自分が受検したのもウェクスラー式知能検査で、16-90歳はこの中でもWAIS-IV検査というものを受けるそうです。

WAIS-IVでは、おもに全体的な知的能力(IQ)と4つの能力を測定出来ます。各項目で2~3個、計10個くらいのテストを受けてそれぞれの分野と全体的な結果が計算されます。
それぞれの結果はIQパーセンタイル(全体の中で何%くらいの位置にいるのかという数値)、信頼区間(このテストを100回受けた場合、90回はこの範囲に入るという数値)によって表されます。

加えて、心理士の先生による結果考察みたいなフィードバックが書かれた診断書のようなものがもらえました。どこが強み(弱み)なのかや、どういった作業が得意(苦手)なのかということを、問題を解いている様子なども交えて教えてくれました。
そもそも、知能検査というものは興味本位で受検をするようなものというよりは、何かしらの悩み等を抱えていて相談に行った際に、発達障害等の傾向があるのかといった事への判断材料として受検するものみたいです。(近年ではコロナの影響でMENSAの試験が行われていないので、団体への入団審査のために受検して診断書をもらうこともあるそうです)


IQが高いとはどういうことなのか

そもそも、IQが高いとはどういうことなのか。
昔のテレビ番組”IQサプリ”では、出題の難易度の指標として「東大生平均=120」というような表現をしていたような記憶があります。IQが高い人は”頭がいい”とか、”勉強が出来そう”みたいなイメージがありますよね。
実際のところ、必ずしもそうという訳ではないものの、大きく間違ってもいないという表現になりそうな気がします。
IQ(知能指数)という言い方をしていますが、そもそも賢さというものの定義付けが難しいため、いくつかの能力を取り出して賢さのような何かを測定しているという表現が近いような気がします。
前述した画像の中にも書いてありますが、単純作業の速さや一時的な記憶の保持、語彙の豊富さや言語化の能力、並行作業のパフォーマンス等、賢さというものに近そうなものを測定して結果を表示していますが、音楽的あるいは芸術的なセンスだとか、コミュニケーション能力の高さ、空気読みの上手さみたいなものは直接は測れないということですね。
ただ、記憶力した物の操作能力の高さや計算力の高さ、表現力の豊富さみたいなものは勉強に関連する能力ではあるので、IQの高さはある程度は学力偏差値との正の相関があるとはいえると思います。(賢さをどうにか数値化しようとして研究された試験なので、それはそうと言えばそうなんでしょうけどね)


検査の流れ

他の病院等で変わるのかはわかりませんが、自分が受検したところでの流れを説明します。

1日目:カウンセリング(所要時間1時間弱程度)
心理士の先生との顔合わせの日。どうしてこの検査を受けようと思ったのか、この検査でどういうことを知りたいのか、と言ったことを話したり、この検査でどういうことが知れるのかを説明してもらった。

2日目:検査当日(所要時間約2時間半程度)
10項目(プラス補足テスト2項目)の検査を受ける。1項目終わるごとに、「どういうところが難しかった」とか「これ得意そうだったけどどうやって解いてた?」とかお話ししながらテストを受ける。
検査終わりに、その時点でのなんとなくの評価を話してもらった。(こういうところが苦手そうな雰囲気あるねとかくらい)

3日目:フィードバック(所要時間30分程度)
検査結果の用紙を返される。テスト全体の振り返りをしつつ、それぞれの分野と全体的な総評のお話をされる。
検査当日から2~4週間ほどの間隔があり、その間に心理士の先生が具体的な評価を整理してくれる。

本当に何かの診断や検査のように、数日間に渡って行いました。
カウンセリングの日や検査の日の予約もなかなか取れず、一番最初のメールでの予約から最後のフィードバックまで2か月弱くらいはかかったと思います。


自分の診断理由

以降は自分語りみたいになりますので、それでも読みたい方は読んでください。(自分と何かしらの絡みがある人は、「へ~、この人のIQはこれくらいなんだ~」みたいな基準にはなるんじゃないでしょうか)

今回の試験を受検した理由としては、自分が実は本当にどうしようもなくポンコツなのではと不安になったからです。

  • 昔からケアレスミスが多く、学校のテストでしょうもない減点が多かった。

  • ちょくちょく忘れ物がある。ついさっき置いたスマホがどこに行ったか分からなくなることがある。

  • 手に持っている荷物を置いたまま忘れていることがある(友達に上げるために買った手土産を、途中で寄った飲食店にそのまま忘れていく。普通に財布も失くす。)

  • 細かな変化に気付けない。人が髪切ったとか全然わからん。

学生時代はまあ別にと思って生きてきたけど、社会人になってからはそうもいかない。
仕事内容的には、書類や工事現場のチェックや、設計図と積算内訳書のチェックが主になるのだが、チェックする立場においてのケアレスミスや細かい部分の見落としというのが多発すると、現場施工や設計積算をしている業者側にも負担がかかるし、上司にもそれなりに迷惑がかかる。
上司からは「間違いに後からでも気付ければ次は気を付けようを思うわけだし、そうやって成長していけば大丈夫だよ」とは言われるものの、そもそも経験が浅い事に起因するミスでもないし、何をチェックするかという項目そのものが頭から抜けるし、チェックリストを作ってもそれを確認することを忘れたりするのでどうしようもない。

という訳で、自分が本当に何か欠落しているのか、実は他の人も同じくらいの能力だけど気にしていない(気にしているけど表情に出していない)だけなのか、客観的な判断が欲しいということでIQテストを受けることにした。
上司から「大丈夫だよ」とは言われるものの、お世辞でもとりあえずはそう言うだろうし、そういう分野の専門じゃない人に相談しても分らないでしょ、って思った。その人が自分と似たような経験をしたことがあるかどうかも分からないし、どこまで本音で喋っているかも分からない。(そもそも、「人間みんな口では何とも言えるでしょ」とまで思っているので)


診断結果

具体的なテスト内容までは公表できないので、なんとなく項目ごとの結果と総評を書いていこうかと思います。
ちなみに、ざっくり先に言ってしまうと、上記で上げた苦手分野は確かに得意ではないものの、客観的に見て凄く劣っているということはないらしいです。
正直、「マジかよ」ってなってる。良いのこれで。体感としては苦手なところは割とそこそこダメだと思ってたのに、別に言うほどでもないという評価で逆に心配になってきた。それなりに有名なところの公務員として勤めているが、これでおよそ平均的な仕事が出来るとしてしまって良いのか。
得意なところは他人より出来るという自信はあったので、そこは置いておくとして。

表記としては、
【分野:IQ数値(パーセンタイル)】下位検査内容:評価点
という形にします。
評価点というのは、0~20の間で点数が付けられ、一つのテスト(下位検査)がどれくらいの出来だったのかを表すものです。10点が平均点、10±2までが平均的な範囲です。

【言語理解:122(93)】類似:15 単語:15 知識:12
【知覚推理:128(97)】積木模様:17 行列推理:15 パズル:12
【ワーキングメモリー:122(93)】数唱:15 算数:13
【処理速度:114(82)】記号探し:13 符号:12
【全検査IQ:128(97)】
以下、補足テストとして結果が知らされていますがIQの測定には含まれていないものです。
絵の完成:9 
かなひろいテスト(無意味つづり):16
かなひろいテスト(物語文):9
補足テストについて少し解説をすると、【絵の完成】はイラストの中から足りないものを見つけ出すというものです。眼鏡をかけているのにブリッジがない、砂浜を走っているのに足跡がついていない、スニーカーを履いているのにヒモがない、みたいなものを制限時間内にいくつ見つけられるかというものです。
【かなひろい】は、文字の羅列のなかから「あ・い・う・え・お」を見つけて〇をつけるというものです。物語文の方では、文字の羅列が物語になっているので、内容を読みながら〇をつけていくというマルチタスクを行うものになっています。

【総評】(診断書の心理士の先生の記述の原文ママ)
全体的に平均上限~上回る結果を出す力があり、弱みとするものでも平均範囲内におさめることができています。語彙力や説明力、短期記憶、組み立てる力、推理力を特に強みとしています。また、応用力があり、積み木や数唱では「やりやすい方法を見つけて対処していった」と話しており、問題を解きながらよりやりやすい方法、最適な方法を見つける対応力の高さがうかがえます。
 一方で、物事の変化に気づきにくい、マルチタスクが弱みとして挙げられます。パッと見たときに合っているのか気づきにくいところが”ケアレスミスが多い気がする”といった感覚につながっているのかもしれません。また、マルチタスクになるとパフォーマンスが低下しやすい傾向にあり、”記載漏れがないか確認しながら、文章の誤りもチェックする”といった場面ではいつもよりスピードが発揮しにくいかもしれません。とはいえ、平均的な成績を出すことができているため、あまり気にしすぎなくても良いと思われます。
 また、後半になると全体的に成績が低下傾向にあります。意識的に休憩を取りながら、パフォーマンスを維持しけるといいかもしれません。

個人的な感想としては、得意なものと不得意なものの区別は自己評価通りでしたが、出来ないものはもっと出来てないと思っていました。
苦手な分野は、客観的に見ても平均範囲内と言える程度ではあるものの、得意分野とのギャップがあり、苦手意識が強まっているようでした。
いくつかは問題に答えた直後に間違いに気づくといったこともあったので、もう少し良い結果もあり得たかもしれませんが、結局は信頼区間内での誤差範囲な気もします。


お前のIQとそれ以外の成績はどんなもんなんだ

全検査IQ:128(パーセンタイル97)というのは、MENSA基準には及ばないですが、上位3%といえば充分高い数値という評価です。

QuizKnockのふくらPはIQ146らしい

序盤でも少し話をしましたが、必ずしもIQが学力等と一致する訳ではないが、それなりの正の相関はあるだろうという話です。
IQ128を偏差値に変換すると、大体69くらいになりますが、とあるサイトによると高校の偏差値は60-68、大学の偏差値は55-60くらいです。
文系科目が全然出来ないので、大学受験は私立理系しか受験していません。
ちなみに化学もできないので、高校の化学Ⅱの中間テストで6点(提出時に答え全部消したので記録上は0点)を取ったこともあります。
得意科目は普通に好きだったので、小学校の頃から中学数学をやったり、大学受験期のセンター過去問で英語は190点くらいまでは取れました。

趣味で言うと、普段はゲームやボードゲーム、謎解き等で遊びますが、別にゲームが特別に強いということもなければ、謎解きが早いこともなく、ボードゲームも普通だと思っています。
流石に長年ゲームをやってるのでそれなりには出来ますが、他の人たちが本気で自分を抜かそうと思ったらそう難しくないレベルだと思います。

…と、自分では思っていますが、自己評価と客観的評価のギャップは今回の検査で感じたばかりなので、自分が思っているより周りから見たら上手いというのはあるかもしれません。もう分かんねぇなこれ。


以下(雑)

長々と書き連ねてきましたが、”IQテストって結構ちゃんとしっかりした検査なんだよ”っていうのと”参考程度に自分のIQとか学力とかはこんな感じだよ”っていうお話でした。
ちゃんと心理士の先生とコミュニケーションを取りながら行うし、なんなら知能検査だけじゃなくて普通にカウンセリングも出来るし、日々の中で何か悩みがあったら行ってみるのも良いんじゃないでしょうか。少なくとも、自分は客観的な評価によって自分の立ち位置がなんとなく分かったという点での収穫はありました。
MENSAの入団テストとして認められるようになってから、興味本位での受検というのも少しハードルが下がっていそうな雰囲気はありそうなので、自分の能力の高さやそのバランスが知りたい方はやってみるのも悪くなさそうです。


ちなみに全体通して4万円くらいかかりました。 
思ったより高いね。

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