大学数学への接続 微分積分編 回答・解説

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この記事はおーだーが個人的に作成している教材の回答編となっています。本編教材のpdfが欲しい方は直接おーだーに連絡をお願いします。

この教材の目的

この教材は大学数学に必要な基本的な用語の理解と、高校数学と大学教養数学の接続を目的として作成する。
よって意図的に省いている分野が存在するので、学習の際は注意されたし。

1⃣  基礎用語①

本文補足i (重要度-無)

Bertrand's Postulate (ベルトランの仮説) は 1845年にジョセフ=ベルトランが発表した定理で、ベルトラン自身は $${2 \leq n \leq 3000000}$$の範囲において証明したのちに、一般の場合についての予想を発表した。
仮説とされているがこの命題は証明されており、1852年にチェビシェフ(チェビシェフ多項式の人です)がその証明を与えている。
また、1932年にポール・エルデシュによって、背理法を用いた初等的な証明が与えられている。

[練習1]

$${a^p \equiv a \pmod p}$$ $${p\in \mathbb{P},a \in \mathbb{N}}$$

本文補足ii (重要度-☆☆☆)

$${\forall}$$ は全称記号、$${\exist}$$ は存在記号ともいう。
また、記号を用いた後の区切り文字は $${\forall a;}$$ の他に $${\forall a,}$$ が用いられるほか、区切り文字が無い場合もある。

[練習2]

(1) $${\exist  x \in \mathbb{C};x^2\leq0}$$
(2) $${\forall a \in \mathbb{Z}; \forall b \in \mathbb{Z} ; (a+b)\in \mathbb{Z}}$$
(3) $${xy=0}$$となるような 少なくとも一つの実数$${y}$$と任意の自然数$${x}$$が存在する
(4) 任意の$${0}$$より大きい実数$${\epsilon}$$に対して、ある$${0}$$以上の実数$${N}$$が存在して、実数$${n}$$が$${N}$$以上であるとできる

[練習3]

(1) $${\forall x>0; \exist! y>0;xy=1}$$
(2) 任意の実数$${x}$$に対して $${f(x)=x^2}$$ となるような実数 $${f(x)}$$がただ一つ存在する。 

[練習4]

偽 ($${\because f(x)=4}$$ のとき $${x=±2}$$ となり、ただ一つの$${x}$$ではなくなる)

1⃣ 基礎用語②

[練習5]

上界:$${3,3.1,10000}$$
下界:$${-10000,-2.1,-2}$$

[練習6]

(1) 有界でない
(2) 有界でない(上に有界ではあるので、上界:$${\sqrt{2}}$$)
(3) 有界(上界:$${\sqrt{2}}$$ 下界:$${-\sqrt{2}}$$)

[練習7]

(1) 有界でないので上限、下限はない
(2) $${\sup B=\sqrt{2}}$$ (下限はない)
(3) $${\sup C =\sqrt{2} \quad \inf C = -\sqrt{2}}$$

2⃣ epsilon-N論法①

2⃣ epsilon-N論法②

[練習8]

$${\epsilon > 0}$$ を任意に取る。このとき$${N\in \mathbb{Z}}$$ を $${N=[\frac{1}{\epsilon}]}$$ ととると
$${|x_n -1| = \frac{1}{n+1} \leq \frac{1}{N+1} = \frac{1}{[\frac{1}{\epsilon}]+1}< \frac{1}{\frac{1}{\epsilon}}=\epsilon}$$
よって $${|x_n-1|< \epsilon}$$ は示されたので、題は示された。

2⃣ epsilon-N論法③

本文補足i (重要度-☆☆☆)

今回出てきた ε-N論法や後に出てくる ε-δ論法は、数学科に進学する予定でなければ、何が目的で何をしようとしているかだけ分かれば基本的には問題ない。
しかしながら、ε-N や ε-δ などを用いた証明問題などは最初の内は一体何をさせられているのか、何を示せばよいのかという問題のゴールが見えづらく、雲をつかむような感覚である。
ただ、実際にはそういった問題の殆どが「$${\epsilon}$$という許容できる誤差の値から $${|a_n-\alpha|}$$ が逸脱していないか」を最終的に考えるのであり、結局はなんとかしてNと$${\epsilon}$$の(あるいは$${\delta}$$と$${\epsilon}$$の) 関係性を利用して $${|a_n-\alpha|<\epsilon}$$ となるように式変形をしていけばよい。

本文補足ii (重要度-☆☆)

アルキメデスの原理とは、「大小二つの数があるとき、小さい方を何倍かすれば、必ず大きい方を超える」という至って当たり前な主張である。
今回は「定理」として紹介したが、「公理」としても扱われるときがある。公理とは、定理の中で「証明しなくとも正しい」とされるものであり、ある議題を論ずるための”前提”と捉えることが出来る。

本文中にも記述のあるとおり、「実数の連続性」を認めることによってアルキメデスの原理は与えられる。また、「実数の連続性」は幾つかの同値な定義があり、アルキメデスの原理もそのうちの一つである。したがって、アルキメデスの原理は公理として扱われることがある。

実数の連続性についての説明は非常に難解なものとなるので、ここではあえて省く。ここでは、アルキメデスの原理が成立するものとして進めていくものとする。

「デデキント切断による実数の連続性の議論」や「実数の連続性からアルキメデスの原理の証明(同値性)」は以下のサイトを参考にするとよい


[練習9]

(1) 任意の$${\epsilon>0}$$ $${(\epsilon \in \mathbb{R})}$$ に対して、アルキメデスの原理より、$${N>\frac{1}{\epsilon}}$$ なる $${N\in \mathbb{N}}$$ が存在する。よって、任意の正の数 $${\epsilon}$$ に対して $${N>\frac{1}{\epsilon}}$$ である $${N\in \mathbb{N}}$$ をとると、$${N \leq n}$$ $${(\frac{1}{n} \leq \frac{1}{N})}$$ ならば $${\frac{1}{n} \leq \frac{1}{N} < \epsilon}$$ である。

ゆえに、$${|\frac{n}{n+1}-1|= \frac{1}{n+1} \leq \frac{1}{N+1} < \frac{1}{N} < \epsilon}$$
したがって今、任意の$${\epsilon}$$に対して、ある$${N}$$が存在し、$${n \leq N}$$ のとき、その任意の$${\epsilon}$$に対して、$${|\frac{n}{n+1}-1|< \epsilon}$$ が成立しているので 題の数列は $${1}$$に収束することがわかる。


(2) 任意の$${\epsilon>0}$$ $${(\epsilon \in \mathbb{R})}$$ に対して、アルキメデスの原理より、$${N>\frac{1}{\epsilon}}$$ なる $${N\in \mathbb{N}}$$ が存在する。よって、任意の正の数 $${\epsilon}$$ に対して $${N>\frac{1}{\epsilon}}$$ である $${N\in \mathbb{N}}$$ をとると、$${N \leq n}$$ $${(\frac{1}{n} \leq \frac{1}{N})}$$ ならば $${\frac{1}{n} \leq \frac{1}{N} < \epsilon}$$ である。

ゆえに、$${|\frac{1}{3n}-0|= \frac{1}{3n} \leq \frac{1}{3N} < \frac{1}{N}< \epsilon}$$
したがって今、任意の$${\epsilon}$$に対して、ある$${N}$$が存在し、$${n \leq N}$$ のとき、その任意の$${\epsilon}$$に対して、$${|\frac{1}{3n}-0|< \epsilon}$$ が成立しているので 題の数列は $${0}$$に収束することがわかる。


(3) 任意の$${\epsilon>0}$$ $${(\epsilon \in \mathbb{R})}$$ に対して、アルキメデスの原理より、$${N>\frac{1}{\epsilon}}$$ なる $${N\in \mathbb{N}}$$ が存在する。よって、任意の正の数 $${\epsilon}$$ に対して $${N>\frac{1}{\epsilon}}$$ である $${N\in \mathbb{N}}$$ をとると、$${N \leq n}$$ $${(\frac{1}{n} \leq \frac{1}{N})}$$ ならば $${\frac{1}{n} \leq \frac{1}{N} < \epsilon}$$ である。

ゆえに、$${|\frac{1}{2^n}-0|= \frac{1}{2^n} \leq \frac{1}{2^N} < \frac{1}{N}< \epsilon}$$
($${\because x>0}$$において、$${x > log_2x}$$となるため、左の式に$${2^N(>0)}$$を代入すると、$${2^N > N}$$ よって $${\frac{1}{2^N}<\frac{1}{N}}$$ となる)
したがって今、任意の$${\epsilon}$$に対して、ある$${N}$$が存在し、$${n \leq N}$$ のとき、その任意の$${\epsilon}$$に対して、$${|\frac{1}{2^n}-0|< \epsilon}$$ が成立しているので 題の数列は $${0}$$に収束することがわかる。

[練習10]

(1) 
もし $${a_n=\frac{(-1)^n}{2}}$$ が実数 $${\alpha}$$に収束するならば $${|a_n-\alpha|<\frac{1}{2}}$$が成立するはず。
特にある自然数$${N}$$について$${|a_N-\alpha|<\frac{1}{2}}$$かつ$${|a_{N+1}-\alpha|<\frac{1}{2}}$$ である。
ところが、$${|a_N-a_{N+1}|=|\frac{(-1)^N}{2}-\frac{(-1)^{N+1}}{2}|=|\frac{(-1)^N}{2}(1-(-1))|=|\frac{(-1)^N}{2}(2)|=|(-1)^N|=1}$$
$${|a_{N+1}-\alpha|=|(a_N-\alpha)-(a_N-a_{N+1})|\geq||a_N-\alpha|-|a_N-a_{N+1}||\geq|\frac{1}{2}-1|=1-\frac{1}{2}=\frac{1}{2}}$$
これは $${|a_{N+1}-\alpha|<\frac{1}{2}}$$に矛盾する。よって与えられた数列は収束しない。

(2)
もし $${a_n=2n}$$ が実数 $${\alpha}$$に収束するならば $${|a_n-\alpha|<1}$$が成立するはず。
特にある自然数$${N}$$について$${|a_N-\alpha|<1}$$かつ$${|a_{N+1}-\alpha|<1}$$ である。
ところが、$${|a_N-a_{N+1}|=|2N-2(N+1)|=|-2|=2}$$
$${|a_{N+1}-\alpha|=|(a_N-\alpha)-(a_N-a_{N+1})|\geq||a_N-\alpha|-|a_N-a_{N+1}||\geq|1-2|=2-1=1}$$
これは $${|a_{N+1}-\alpha|<1}$$に矛盾する。よって与えられた数列は収束しない。

(3)
もし $${a_n=(-1)^nn}$$ が実数 $${\alpha}$$に収束するならば $${|a_n-\alpha|<1}$$が成立するはず。
特にある自然数$${N}$$について$${|a_N-\alpha|<1}$$かつ$${|a_{N+1}-\alpha|<1}$$ である。
ところが、$${|a_N-a_{N+1}|=|(-1)^NN-(-1)^{N+1}(N+1)|=|(-1)^N(N-(-1)N-(-1))|=2N+1}$$
$${|a_{N+1}-\alpha|=|(a_N-\alpha)-(a_N-a_{N+1})|\geq||a_N-\alpha|-|a_N-a_{N+1}||\geq|1-(2N+1)|=2N+1-1=2N\geq1}$$
これは $${|a_{N+1}-\alpha|<1}$$に矛盾する。よって与えられた数列は収束しない。

2⃣ epsilon-N論法④

2⃣ epsilon-N論法⑤

[練習11]

(1)
(振動することが分かり切っているので)
$${m\in\mathbb{N}}$$に対して
$${n=2m-1}$$のとき $${a_n=-\frac{1}{2}}$$
$${n=2m}$$のとき $${a_n=\frac{1}{2}}$$
よって数列$${{a_n}}$$は振動する。

(2)
(-∞に発散しそうである)
アルキメデスの原理より 任意の実数-Mに対して$${-2N<-M}$$となる自然数Nが存在する。このとき$${n \geq N}$$となるすべての自然数$${n}$$について
$${-2n < -M}$$ よって、$${\epsilon-N}$$論法における発散の定義より
数列$${{a_n}}$$は負の無限大に発散する。

(3)
(∞に発散しそうである)
アルキメデスの原理より 任意の実数Mに対して$${\frac{1}{2}N>M}$$となる自然数Nが存在する。このとき$${n \geq N}$$となるすべての自然数$${n}$$について
$${\frac{2}{1}n > M}$$ よって、$${\epsilon-N}$$論法における発散の定義より
数列$${{a_n}}$$は正の無限大に発散する。

(4)
(∞に発散しそうであるが、直接アルキメデスの原理に持ち込めないので、一工夫する。)
$${e^n\geq n+1}$$ なので、$${n+1}$$の発散を示せば、はさみうちの原理(追い出しの原理)を用いて $${e^n}$$ の発散を示せる。
今、$${b_n=n}$$とすると、
アルキメデスの原理より 任意の実数Mに対して$${N>M}$$となる自然数Nが存在する。このとき$${n \geq N}$$となるすべての自然数$${n}$$について
$${N > M}$$ よって、$${\epsilon-N}$$論法における発散の定義より
数列$${{b_n=n}}$$は正の無限大に発散する。
従って、$${n+1}$$は正の無限大に発散するため、$${e^n}$$も正の無限大に発散する。

※本来は追い出しの原理もε-Nを用いて示す必要性があるが、今回はそれを求めない。ただ、ε-Nの理解が出来ていれば非常に簡単な証明である。


[練習12]

(1)

3⃣ 単調数列とコーシー列

[練習13]

$${a_n}$$は有界であり、単調減少するので収束する
$${b_n}$$は有界であるが、単調ではないので収束しない

4⃣ epsilon-delta論法①

参考資料

$${\epsilon-\delta}$$論法がマンガになっている。
どうやら、$${\epsilon-\delta}$$論法を知らないとマンガすら楽しめない時代が来ているらしい。(そんなことはない)


[練習14]

$${\epsilon=0.001}$$のとき、$${f(\sqrt{0.999})=1.999, f(\sqrt{1.001})=2.001}$$ より、
$${1-\delta < x < 1+\delta}$$となるすべての$${x}$$に対し
$${2-\epsilon < f(x)< 2+\epsilon}$$ が成立する条件は
$${1-\delta\geq\sqrt{0.999}}$$ かつ $${1+\delta\leq\sqrt{1.001}}$$—①
例えば $${\delta=0.0001}$$とすると、
$${(1-\delta)^2=0.9999^2=0.99980001\geq0.999}$$ より $${1-\delta \geq \sqrt{0.999}}$$
$${(1+\delta)^2=1.0001^2=1.00020001\leq1.001}$$ より $${1-\delta \leq \sqrt{1.001}}$$
より①を満たしている。

[練習15]

★注意★
$${\epsilon}$$と$${\delta}$$の選び方は1通りではないので、以下の回答以外にも正答は存在する。
したがってこの教材だけでなく、他の教材も参考にすることを推奨する。

(1)
任意の正の実数$${\epsilon}$$に対して、$${\delta=\frac{\epsilon}{5}}$$ とする。
このとき $${0<|x-1|<\delta}$$である。
$${|(5x-3)-2|=|5x-5|=5|x-1|<5\delta=\epsilon}$$
従って、ε-Δ論法の収束の定義より、$${\lim_{\substack{x\to1}}f(4x-3)=1}$$は示された。

(2)
任意の正の実数$${\epsilon}$$に対して、$${\delta=\frac{\epsilon}{2}}$$ とする。
このとき $${0<|x+1|<\delta}$$である。
$${|(2x-1)+3|=|2x+2|=2|x+1|<2\delta=\epsilon}$$
従って、ε-Δ論法の収束の定義より、$${\lim_{\substack{x\to-1}}f(2x-1)=-3}$$は示された。

(3)
任意の正の実数$${\epsilon}$$に対して、$${\delta=-2+\sqrt{4+\epsilon}}$$ とする。
このとき $${0<|x-2|<\delta}$$である。
$${|x^2-4|=|x+2||x-2|=|(x-2)+4||x-2|\leq(|x-2|+4)|x-2|<(\delta+4)\delta=\delta^2+4\delta=\epsilon}$$
(※ $${\delta^2+4\delta=\epsilon}$$を$${\delta}$$について解くと $${\delta = -2±\sqrt{4+\epsilon}}$$となるが、$${\delta>0}$$なので、今回は $${\delta=-2+\sqrt{4+\epsilon}}$$とする。)
従って、ε-Δ論法の収束の定義より、$${\lim_{\substack{x\to2}}f(x^2)=4}$$は示された。

(4)
任意の正の実数$${\epsilon}$$に対して、$${\delta=-1+\sqrt{1+\epsilon}}$$ とする。
このとき $${0<|x+1|<\delta}$$である。
$${|(x^2+1)-2|=|x^2-1|=|x+1||x-1|=|x+1||(x+1)-2|<(|x+1|+|-2|)|x+1|<|x+1|^2+2|x+1|<\delta^2+2\delta=\epsilon}$$
(※ 途中の変形で三角不等式 $${|a+b|<|a|+|b|}$$ を利用した)
(※ $${\delta^2+2\delta=\epsilon}$$を$${\delta}$$について解くと $${\delta = -1±\sqrt{1+\epsilon}}$$となるが、$${\delta>0}$$なので、今回は $${\delta=-1+\sqrt{1+\epsilon}}$$とする。)
従って、ε-Δ論法の収束の定義より、$${\lim_{\substack{x\to-1}}f(x^2+1)=2}$$は示された。

(5)
任意の正の実数$${\epsilon}$$に対して、$${\delta= \log_2{(\frac{1}{4} \epsilon+1)}}$$ とする。
このとき $${0<|x-2|<\delta}$$である。
$${|2^x-4|=|2^x-2^2|=2^2|2^{x-2}-1|\leq2^2(2^{|x-2|}-1)=4(2^{|x-2|}-1)<4(2^{\delta}-1)=\epsilon}$$
(※ $${4(2^{\delta}-1)=\epsilon}$$を$${\delta}$$について解くと $${\delta= \log_2{(\frac{1}{4} \epsilon+1)}}$$となる。)
従って、ε-Δ論法の収束の定義より、$${\lim_{\substack{x\to2}}2^x=4}$$は示された。

[練習16]

追記予定

本文補足i (重要度-☆☆☆)


5⃣ 逆三角関数①

★注意★
以下、この教材で逆三角関数を扱う際は、以下の値域に従うものとする。
$${\arcsin(x)}$$の値域は$${[-\frac{\pi}{2},\frac{\pi}{2}]}$$
$${\arccos(x)}$$の値域は$${[0,\pi]}$$
$${\arctan(x)}$$の値域は$${(-\frac{\pi}{2},\frac{\pi}{2})}$$

本文補足i (重要度-☆☆☆)

これまでさんざんやってきたε-Δに比べれば、高校数学の感覚に似ているため、ここはだいぶ楽になっている。
逆三角関数は、いつもの思考(例:$${\sin(\frac{\pi}{3})}$$は$${\frac{\sqrt{3}}{2}}$$だな) の逆をすればよい。
つまり先述の例でいくと、「$${\frac{\sqrt{3}}{2}}$$は$${\sin}$$だと どの角度で出たかな」と言った具合である。
ただし、本文中にもあるように三角関数は周期関数であるため、値域にはその都度注意しなければならない。
また、基本的に何も書かれていなければ出てくる値はラジアンである。

[練習17]

(1) $${\arcsin(1)=\frac{\pi}{2}}$$
(2) $${\arcsin(0)=0}$$
(3) $${\arcsin(-1)=-\frac{\pi}{2}}$$
(4) $${\arcsin(\frac{1}{2})=\frac{\pi}{6}}$$
(5) $${\arccos(1)=0}$$
(6) $${\arccos(0)=\frac{\pi}{2}}$$
(7) $${\arccos(-1)=1}$$
(8) $${\arccos(\frac{1}{2})=\frac{\pi}{3}}$$
(9) $${\arctan(1) = \frac{\pi}{4}}$$
(10) $${\arctan(0) = 0}$$
(11) $${\arctan(-1) = -\frac{\pi}{4}}$$

本文補足ii (重要度-☆)

左側の三公式を図示化したのが下の単位円の図である。
逆三角関数の性質①について、arcsin と arctan については x軸が縦方向になっていて (arctanに至っては 直交座標上のx=1が軸になっている) 気持ち悪いと感じるかもしれないが、高校時代に慣れ親しんだ単位円に無理やり落とし込んでいる関係上、こう表記するのが一番自然である。
sinθは単位円上ではy軸方向の"高さ"を表す、一方でその高さ(sinθ)から角度(θ)を逆算するのが逆正弦関数であるので、関数の書式 $${y=f(x)}$$の関係上x軸が縦になってしまうのである。
tanθも同様に、単位円上ではx=1での"高さ"をあらわす。一方でその高さ(tanθ)から角度(θ)を逆算するのが逆正接関数であるので、関数の書式 $${y=f(x)}$$の関係上x軸が縦になってしまうのである。
とそれぞれ説明すれば納得してもらえるだろうか。

一方、右側の三公式はいたって当たり前のことを記述している。
(以下書き忘れた超重要なこと)
ただし、$${\arcsin(\sin(100000\pi))}$$ とかされても、値域の関係上 $${x=100000\pi}$$ ということにはならないので注意が必要である。

[練習18]

(1)
公式を利用
$${\arcsin(\sin(\frac{2}{3}\pi))=\frac{2}{3}\pi}$$

(2)
角度が値域外なので、値域の中に無理やり移動させる。
$${\cos(x+\pi)=-\cos(x)}$$と公式を利用
$${\arccos(\cos(-\frac{1}{3}\pi))=\arccos(-\cos(-\frac{1}{3}\pi+\pi)) = \arccos(-\cos(\frac{2}{3}\pi))=\pi-\arccos(\cos(\frac{2}{3}\pi))=\pi-\frac{2}{3}\pi=\frac{1}{3}\pi}$$

(3)
$${\arccos(\sin(\frac{5}{2}\pi))}$$
このままでは性質①の公式が利用できないので$${\sin(\frac{5}{2}\pi)}$$ を何とかして cosにする。
$${\sin(\frac{5}{2}\pi)=\sin(2\pi+\frac{1}{2}\pi)=\sin(\frac{1}{2}\pi)=1=\cos(0)}$$ 
したがって、$${\arccos(\sin(\frac{5}{2}\pi))}$$ = $${\arccos(\cos(0))=0}$$

(4)
※この問題は一番最後に閉じ括弧 「)」 を1つ書き忘れている
今回は $${\arccos(\frac{1}{2})}$$が具体的に計算できるので計算してしまう。
$${\arctan(\tan(\arccos(\frac{1}{2})))=\arctan(\tan(\frac{1}{3}\pi))=\frac{1}{3}\pi}$$

5⃣ 逆三角関数②

[練習19]

定理:逆三角関数の性質②と同様に考えれば問題ない。

[練習20]

(1)
公式を用いる
$${\sin(\arccos(\frac{1}{2})=\sqrt{1-(\frac{1}{2})^2}=\frac{\sqrt{3}}{2}}$$

(2)
公式を用いる
$${\cos(\arcsin(\frac{\sqrt{3}}{2}))=\sqrt{1-(\frac{\sqrt{3}}{2})^2}=\frac{1}{2}}$$

(3)
公式を用いる
$${\tan(\arcsin(\frac{1}{2}))=\frac{\frac{1}{2}}{\sqrt{1-(\frac{1}{2})^2}}=\frac{1}{\sqrt{3}}}$$

(4)
公式を用いる
$${\sin(\arctan(2))=\frac{2}{\sqrt{1+2^2}}=\frac{2}{\sqrt{5}}}$$

[練習21]

(1)
$${\arccos(x)=\arctan(\sqrt{5})}$$
両辺をtanで処理する
$${\tan(\arccos(x)=\sqrt{5})}$$
$${\frac{\sin(\arccos(x))}{\cos(\arccos(x))}=\sqrt{5}}$$
√がだるいので、両辺を2乗して、
$${\frac{\sin^2(\arccos(x))}{\cos^2(\arccos(x))}=5}$$
逆三角関数の性質①および②より
$${\frac{1-x^2}{x^2}=5}$$
この方程式を解くと
$${x=±\frac{1}{\sqrt{6}}}$$
ただし、$${\arctan(\sqrt{5})<frac{\pi}{2}}$$より、$${arccos(x)<\frac{\pi}{2}}$$
よって、$${x>0}$$
したがって、求める$${x}$$は$${x=\frac{1}{\sqrt{6}}}$$

(2)
$${\arccos(x)=\arcsin(\frac{1}{3})+\arcsin(\frac{7}{9})}$$
両辺をcosで処理する。
$${x=\cos(\arcsin(\frac{1}{3})+\arcsin(\frac{7}{9}))}$$
右辺をcosの加法定理で処理
$${x=\cos(\arcsin(\frac{1}{3}))\cos(\arcsin(\frac{7}{9}))-\sin(\arcsin(\frac{1}{3}))\sin(\arcsin(\frac{7}{9}))}$$
逆三角関数の性質より
$${x=\sqrt{1-(\frac{1}{3})^2}*\sqrt{1-(\frac{7}{9})^2}-\frac{1}{3}*\frac{7}{9}}$$
計算をして、
$${x=\frac{1}{3}}$$

6⃣ 双曲線関数

本文補足i (重要度-☆)

双曲線関数は少し前の授業でも話題に出した気がするうえ、逆三角関数ほど難解ではない。どちらかというと、余談のほうが重要である。
自然科学系では片対数グラフや両対数グラフ、回帰分析などで指数や対数を利用することが多い他、情報系では2進数の情報を扱う関係上 $${\log_2}$$を多用するので、覚えておくとよい。

[練習22]

$${\cosh^2(x)= \frac{1}{4}(e^x+e^{-x})^2}$$
$${\sinh^2(x)= \frac{1}{4}(e^x-e^{-x})^2}$$
であるので、
$${\cosh^2(x)-\sinh^2(x)=\frac{1}{4}(4e^xe^{-x})=1}$$
よって題は示された。

[練習23]

基本的に双曲線関数の定義と練習[22]で証明した関係を利用して、(左辺)=(右辺)を証明するだけなので省略。
加法定理については以下のサイトに参考にせよ


7⃣ 逆三角関数と双曲線関数の微分法

[練習24]

訂正:『次の関数f(x)の逆関数f inverse (x) と "その"導関数を求めよ』 という問題文になっているが、
正確には、『次の関数の逆関数 f inverse (x) を求めた上で、その逆関数を利用して f(x) の導関数である f'(x)を求めよ』という問題である。


これら関数の導関数は簡単なのでもちろん直接求めることが出来るとは思いますが、直接求めることが出来にくい関数の微分は逆関数を考えることで解決することがあります。

先生用:ピンと来ていない場合は、(1)を例示してください。

(1)
$${y=x^{\frac{1}{7}}}$$ とする。
$${y^7=x}$$ 
xとyを入れ替えると、$${y=x^7 (x>0)}$$ これが逆関数となる。

$${y=x^{\frac{1}{7}} (x>0)}$$とすると、$${x=y^7 (y>0)}$$が成立するので
$${\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{1}{\frac{d}{dy}y^7}=\frac{1}{7y^6}}$$
ここで、$${y=x^{\frac{1}{7}}}$$であるから、$${\frac{dy}{dx}=\frac{1}{7x^{\frac{6}{7}}}}$$

(2)
$${y=\sqrt{x-1}}$$ とする。
$${y^2 = x-1}$$
$${y^2+1 =x}$$
xとyを入れ替えると、$${y=x^2+1 (x\geq0)}$$ これが逆関数となる。(値域と定義域の入れ替わりに注意)

$${y=\sqrt{x-1} (x\geq1)}$$ とすると、$${y^2+1 =x (y\geq0)}$$が成立するので、
$${\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{1}{\frac{d}{dy}y^2+1}=\frac{1}{2y}}$$
ここで、$${y=\sqrt{x-1}}$$であるから、 $${\frac{dy}{dx}=\frac{1}{2\sqrt{x-1}}}$$

[練習25]

基本的には練習24や例と同じ流れで行く。

(1)
$${y=\arcsin(x)}$$ とすると、$${x=\sin(y)}$$が成立する。
しかし、今 $${(-\frac{\pi}{2} < y < \frac{\pi}{2},-1 < x < 1)}$$ である。
$${\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{1}{\frac{d}{dy}\sin{y}}=\frac{1}{cosy}}$$
ここで、$${-\frac{\pi}{2} < y < \frac{\pi}{2}}$$ より、$${\cos(y)>0}$$ なので、
$${\cos(y)=\sqrt{1-\sin^2(y)}}$$
よって、$${\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\sqrt{1-\sin^2(y)}}=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}}$$

(2)
基本的に上の流れと同じなので省略
$${\frac{d}{dx}\tan(x)=\frac{1}{cos^2(x)}}$$ であることと、
三角関数の相互関係 $${\cos^2(x)=\frac{1}{1+tan^2(x)}}$$ を利用すればよい。
今回の場合は定義域の確認はあまりする必要はない。。

[練習26]

定義の式に立ち返って、微分を行えばよい。
回答略。


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修正・追記履歴

2024/1/25 :回答を一部修正


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